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第三章 それぞれの魔獣戦

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「アイツを頼む!のぞむ!」
「了解」
僕はカールソンさんに頼まれ、魔銃魔ガンを構え、目の前にいる"バンヴォルフ”と呼ばれる狼の様な魔獣の群れに向け、雷の魔法の銃弾を撃ち込んだ。

僕が撃ち込んだ雷弾によって身体の自由を奪われたバンヴォルフ達は、カールソンさんと僕をパーティーに入れてくれたルードリッヒさんのソードによってとどめをさされた。

「ありがとうな、のぞむ。」
「いえ。ガンナーとして当然の事をしただけですから。カールソンさん。」
「いや。のぞむお前の魔銃がなかったら、今回の討伐は失敗しただろうからな。」
「ありがとうございます、ルードリッヒさん。それよりお二人は、早く怪我を治して貰ってください。」
二人とも、バーンヴォルフに引っ掻かれた傷から血を流している。バーンヴォルフ奴等の爪はとても鋭い。毒を持っている牙も危険だけど、あの鋭い爪での引っ掻き傷もなかなかにエグいのだ。
「魔石の回収と、魔獣の解体は僕がやっておくので。」
と言うと、僕達の後ろで後方支援をしてくれていたヒーラーのミランダさんが、
「のぞむ君の言うとおりですわよ、二人共。早く手当てしないと、治りが遅くなりますわ。」
と言って腕を組んで怒っている。
「はいはい。分かった分かった。ミランダには敵わないな。」
と言って、ルードリッヒさんはミランダさんの頭を撫でる。
「もう、お兄様ってば。頭を撫でないでくださいませ。髪が乱れますわ」
と言ってプリプリ怒るミランダさんの顔を見下ろしながらニコニコ笑うルードリッヒさん。そんな彼等は仲の良い兄妹だ。
僕にも妹いるけど、彼等みたいな仲良し兄妹ではないな。
まぁ、ルードリッヒさんみたいに、僕もカッコイイ兄貴だったら違ったのかもしれないけど……

そんな事を思いながら、ミランダさんから治癒ヒールして貰っているルードリッヒさんとカールソンさんを横目に、僕はバーンヴォルフが落とした魔石を回収する。今日の群れは15匹。その内8個も魔石が回収できた。とてもドロップ率がよくて、僕はニンマリしてしまう。
それが終わると、今度はベルトに付けたガンホルダーに魔銃を戻し(直ぐに魔銃を仕舞わないのは、稀に致命傷を負っているくせにしぶとく生きている魔獣さら、襲われる事があるからだ。)、代わりに短剣タガーをホルダーから出して解体作業に入った。

バーンヴォルフの丈夫な毛皮は、加工して服にしたり鞄を作る材料になる。
また肉は、ちょっと硬めではあるが、野菜と煮込むと とても美味しいシチューになるのだ。
初めの頃はもたついていた解体も、今やお手の物になっていた僕は、ルードリッヒさんから預かっている空間魔法が施された鞄に、さっさと肉や皮、それから魔石を入れた皮袋をしまっていった。

「解体の手際がとても早くなったな、のぞむは。」
そう言って褒めてくれるのはカールソンさんだ。
「あ、ありがとうございます、カールソンさん。だいぶ慣れました」
「あぁ。最初、ルードリッヒ様に連れられてきた時ののぞむは、何も出来なくて、教えるのも大変だったが。今じゃ、俺より魔獣の解体も早くなったもんな。」
「鍛えて頂きましたから。鬼教官に」
と軽口をたたく僕の頭を指でコツンと突くカールソンさんは、僕が推測するに、きっとルードリッヒさんの部下って身分なんだと思う。

なんせ僕以外の三人の服装は、どう見ても平民のそれとは違い、上質な物で出来ているからだ。きっと何処かの偉い人なんだろうと思うけど、この国の王様なんかより、ずっとずっといい人達だと思う。
そんな人達の仲間に入れて貰えた僕は、きっとラッキーなんだろう。

こんな僕に対して、こんなに親切にして貰えたからこそ、僕はルードリッヒさん達に恩返しをしたいと思うんだ。
「のぞむ君。服が汚れてましてよ。『クリーン』。はい!綺麗になりましたわ。毒牙には十分お気を付けなさいませね。」
「はい。ありがとうございます、ミランダさん。」
ミランダさんに洗浄魔法というものをかけてもらい、僕は彼女にお礼を言うと、また黙々と解体作業に取り組んだんだ。
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