6 / 127
第1章 異世界召喚
4
しおりを挟む
「キャー!地震よ~。勇~。愛子、怖いよ~。」
「大丈夫だ愛子。揺れは直ぐ収まるさ。」
「私達も貴女を護りますよ。」
「と、兎に角さ。皆、机の下に入ろうよ~。」
そう言って勇達は我先にと社会科準備室にある教師の机の下に入ろうとしたが、社会科の教師はこの学校には3人しかおらず、その為机も※¹3台しかない。よって、椅子取りゲーム宜しく、寺田は自分の机の下に、勇と愛子は押し合い圧し合いで1台の机の下に入ったが、残り1台しかない机の下に、賢と昴は何方が入るか揉めている様だ。
僕はというと、机の下に入る事を最初から諦めていたから、頭だけでも守れたらそれでいいと、資料やら備品やらが入っている戸棚の下の扉を開け、中のガラクタを出した所に頭を突っ込んだ。と言うより、戸棚の中は思いの外狭く(と言うより、僕が太過ぎて)頭しか入らなかったというのが正解だ。
中島は……背後でギャーギャー何か言っているが、何かが落ちる音や倒れる音が煩くて、ヤツか何を言っているのか分からなかった。
暫くして揺れは収まった。僕は恐る恐る目を開け頭を抱えていた手を離し、蹲ったまま首だけ動かして辺りを見渡した。が、そこは見慣れた社会科準備室ではなく、とてつもなく広い大広間だった。
「え?ここはどこ~?」
と間の抜けた言葉を放つ愛子や、
「何だここは?」
と訝しげに言う勇の声が頭上から聞こえるという事は、僕の近くに見える足の持ち主は、さっき迄社会科準備室に居た面々の様だ。
「ようこそ!異世界の勇者達よ!!」
と大声を放つ男の声が僕の背後から聞こえると同時に、僕達の周り以外が仄暗かった大広間が一気に明るくなった。
僕は上体を起こして振り向くと、そこには、まるで絵本の中に出てくるような王様の服を着て頭に王冠を乗せている、でっぷりとした腹をした男が、玉座らしき椅子にどっかりと座っていた。
そしてその男の後ろには、金色の髪を後ろに流し、勲章やらなんやらの装飾をほどこされたキラキラの服を着た長身のイケメンと、同じく金色の髪をおろし、色白の顔に似合うふうわりとしたピンクのワンピース?ドレス?を着た可愛らしい女の子が立っていた。
多分…いや恐らく……いやいや十中八九、僕より一段高い所から見下ろしている3人は所謂王族だろう。
ま、彼等の出で立ちからそれ以外に考えられないんだが。
「俺達が勇者達ってどういう事だ!」
と王に向かって声を荒らげる勇。
「そうです!こんなお巫山戯に付き合っている程、私達は暇では無いんです。」
と言い放つ賢。
それ等の言葉に反応したのは、腰に剣らしき物をぶら下げている騎士だった。
「王に向かってなんたる無礼だ!」
と今にも抜刀しそうな殺気を視線に乗せ、勇達を睨んでいる。
「てかさ~。何で僕達がここに連れてこられた理由を先に言うべきでしょ~?ね?王様。」
と可愛いらしく言いながらも毒づく昴。
中島は
「勇者!俺に相応しい称号だ!」
とほざき、
「王子様てば、超絶イケメ~ン。愛子~好きになっちゃいそう。」
と中島以上にKY発言をぶちかましていた。
そんな彼等の言葉を無視するかの様に、
「それでは司祭よ。例のもの持って参れ。」
と、王の指示が飛んだ。すると、テレビ画面でしか見た事がない、法皇の衣装に似た白い服を着た白髪の爺さんが、大きな硝子の球みたいな物を紫色のクッションみたいなやつに乗せ、仰々しく大広間に入ってくると、僕達の前にある台座に乗せてからこう言ったんだ。
「今から御一方ずつこのクリスタルに手を置いて頂きます。このクリスタルは、貴方方のステータスと魔法属性を見る事が出来るのでございます。」
と。
「ステータスと魔法属性だと?そんなモン見て一体どうすんだよ?」
と言った勇の言葉に、僕達はうんうんと頷いた。だってそうだろ?僕達がこの世界に連れてこられた理由も何もまだ知らされていないのに、やれステータスだ属性だと言われたって混乱するだけだからな。
「そなた達の言わんとする事はよく分かる。父上、この者たちに召喚された理由を話して聞かせるべきかと。」
「そうだなリシャールよ。あい分かった!お前達がこの国に召喚された理由を伝えよう。」
王は、(多分)自分の子供であるリシャールと呼んだ人物の言葉を受けて、僕達がここに呼ばれた理由を話し始めたんだ。
「大丈夫だ愛子。揺れは直ぐ収まるさ。」
「私達も貴女を護りますよ。」
「と、兎に角さ。皆、机の下に入ろうよ~。」
そう言って勇達は我先にと社会科準備室にある教師の机の下に入ろうとしたが、社会科の教師はこの学校には3人しかおらず、その為机も※¹3台しかない。よって、椅子取りゲーム宜しく、寺田は自分の机の下に、勇と愛子は押し合い圧し合いで1台の机の下に入ったが、残り1台しかない机の下に、賢と昴は何方が入るか揉めている様だ。
僕はというと、机の下に入る事を最初から諦めていたから、頭だけでも守れたらそれでいいと、資料やら備品やらが入っている戸棚の下の扉を開け、中のガラクタを出した所に頭を突っ込んだ。と言うより、戸棚の中は思いの外狭く(と言うより、僕が太過ぎて)頭しか入らなかったというのが正解だ。
中島は……背後でギャーギャー何か言っているが、何かが落ちる音や倒れる音が煩くて、ヤツか何を言っているのか分からなかった。
暫くして揺れは収まった。僕は恐る恐る目を開け頭を抱えていた手を離し、蹲ったまま首だけ動かして辺りを見渡した。が、そこは見慣れた社会科準備室ではなく、とてつもなく広い大広間だった。
「え?ここはどこ~?」
と間の抜けた言葉を放つ愛子や、
「何だここは?」
と訝しげに言う勇の声が頭上から聞こえるという事は、僕の近くに見える足の持ち主は、さっき迄社会科準備室に居た面々の様だ。
「ようこそ!異世界の勇者達よ!!」
と大声を放つ男の声が僕の背後から聞こえると同時に、僕達の周り以外が仄暗かった大広間が一気に明るくなった。
僕は上体を起こして振り向くと、そこには、まるで絵本の中に出てくるような王様の服を着て頭に王冠を乗せている、でっぷりとした腹をした男が、玉座らしき椅子にどっかりと座っていた。
そしてその男の後ろには、金色の髪を後ろに流し、勲章やらなんやらの装飾をほどこされたキラキラの服を着た長身のイケメンと、同じく金色の髪をおろし、色白の顔に似合うふうわりとしたピンクのワンピース?ドレス?を着た可愛らしい女の子が立っていた。
多分…いや恐らく……いやいや十中八九、僕より一段高い所から見下ろしている3人は所謂王族だろう。
ま、彼等の出で立ちからそれ以外に考えられないんだが。
「俺達が勇者達ってどういう事だ!」
と王に向かって声を荒らげる勇。
「そうです!こんなお巫山戯に付き合っている程、私達は暇では無いんです。」
と言い放つ賢。
それ等の言葉に反応したのは、腰に剣らしき物をぶら下げている騎士だった。
「王に向かってなんたる無礼だ!」
と今にも抜刀しそうな殺気を視線に乗せ、勇達を睨んでいる。
「てかさ~。何で僕達がここに連れてこられた理由を先に言うべきでしょ~?ね?王様。」
と可愛いらしく言いながらも毒づく昴。
中島は
「勇者!俺に相応しい称号だ!」
とほざき、
「王子様てば、超絶イケメ~ン。愛子~好きになっちゃいそう。」
と中島以上にKY発言をぶちかましていた。
そんな彼等の言葉を無視するかの様に、
「それでは司祭よ。例のもの持って参れ。」
と、王の指示が飛んだ。すると、テレビ画面でしか見た事がない、法皇の衣装に似た白い服を着た白髪の爺さんが、大きな硝子の球みたいな物を紫色のクッションみたいなやつに乗せ、仰々しく大広間に入ってくると、僕達の前にある台座に乗せてからこう言ったんだ。
「今から御一方ずつこのクリスタルに手を置いて頂きます。このクリスタルは、貴方方のステータスと魔法属性を見る事が出来るのでございます。」
と。
「ステータスと魔法属性だと?そんなモン見て一体どうすんだよ?」
と言った勇の言葉に、僕達はうんうんと頷いた。だってそうだろ?僕達がこの世界に連れてこられた理由も何もまだ知らされていないのに、やれステータスだ属性だと言われたって混乱するだけだからな。
「そなた達の言わんとする事はよく分かる。父上、この者たちに召喚された理由を話して聞かせるべきかと。」
「そうだなリシャールよ。あい分かった!お前達がこの国に召喚された理由を伝えよう。」
王は、(多分)自分の子供であるリシャールと呼んだ人物の言葉を受けて、僕達がここに呼ばれた理由を話し始めたんだ。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~
中島健一
ファンタジー
[ルールその1]喜んだら最初に召喚されたところまで戻る
[ルールその2]レベルとステータス、習得したスキル・魔法、アイテムは引き継いだ状態で戻る
[ルールその3]一度経験した喜びをもう一度経験しても戻ることはない
17歳高校生の南野ハルは突然、異世界へと召喚されてしまった。
剣と魔法のファンタジーが広がる世界
そこで懸命に生きようとするも喜びを満たすことで、初めに召喚された場所に戻ってしまう…レベルとステータスはそのままに
そんな中、敵対する勢力の魔の手がハルを襲う。力を持たなかったハルは次第に魔法やスキルを習得しレベルを上げ始める。初めは倒せなかった相手を前回の世界線で得た知識と魔法で倒していく。
すると世界は新たな顔を覗かせる。
この世界は何なのか、何故ステータスウィンドウがあるのか、何故自分は喜ぶと戻ってしまうのか、神ディータとは、或いは自分自身とは何者なのか。
これは主人公、南野ハルが自分自身を見つけ、どうすれば人は成長していくのか、どうすれば今の自分を越えることができるのかを学んでいく物語である。
なろうとカクヨムでも掲載してまぁす
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる