どうぞお好きになさいませ

Saeko

文字の大きさ
上 下
17 / 20
第2章 田舎侯爵呼ばわりされた令嬢、故郷へ帰る

第1話 侯爵家での卒業を祝う会 1

しおりを挟む
学院の卒業式の翌日

わたくしは、王都にございますアンビエール侯爵家のタウンハウスにて、わたくし主催のお茶会を開きますの。

本日お招き致しますお客様は、わたくしが学院で仲良くさせて頂きました学友の皆様とその親御様ですのよ。
え?サンドラス伯爵家は呼ばなかったのか?でございますか?
勿論、このお茶会を開くのが決定致しましたのは卒業式の2ヶ月前ですので、サンドラス伯爵家にも招待状をお送り致しましたわ。ですが、『お茶会用の服を仕立てる資金が無いので。』という理由でお断りのお手紙を頂きましたの。
お茶会用の服を仕立てる資金が無いとのお話でしたが、当家から相当な額面の支援金をお送りしている筈ですのにおかしいですわ。
そう思いましたわたくしは、領地経営に何かおありだったのかしら?と思い、急ぎ侯爵家の者を使って、サンドラス伯爵領の内情を探らせましたの。ですが、別だん問題も見受けられずでしたのよ。

でしたら何故?と思いは致しましたけれども、何れにしてもアルフレッド様との婚約は破棄されると分かっておりましたので、深い追究は止めましたの。
一応『残念ですが、承りましたわ。』というお返事だけはお出ししておきましたけれども。


さて、サンドラス伯爵一家の欠席そんなことはさておき、お客様をお迎えする準備をしなくてはなりませんわね。
このお茶会の主催者はわたくし自身。両親も、本日はお客様なんですのよ。

わたくしは、バーバラを始め、執事のエイドラス、料理人のジョイナス、メイドのエミル・マイラ・カリーナをサロンに集めこう申しましたの。

「みんな聞いて頂戴。本日のお茶会に来られるお客様は、隣国ドルムト帝国ノルワード公爵家より、公爵閣下・公爵夫人・ご子息のギルバート様。ヴィルヘルム侯爵家より、侯爵閣下・侯爵夫人・令嬢のミリニア様。ルイボスティー二伯爵家より、伯爵閣下・伯爵夫人・伯爵令嬢のルミエール様とご婚約者のカイラス侯爵子息 ランカスター様。それから、ヴェルネール伯爵・伯爵夫人・伯爵令息のハーミルトン様。アプリコット伯爵・伯爵夫人・伯爵令嬢のカタリーナ様。そして、わたくしの両親アンビエール侯爵ご夫妻ですわ。お茶会開始の刻限は今から二時間後の15:00ですが、皆様14:30頃には此方に来られるかと思いますの。ですので、その刻限にはお茶をお出し出来ます様、準備をお願い致しますわね。」
「「「畏まりました、ナターシアお嬢様。」」」
「会場は、このサロンと、窓の向こうにありますテラスですわ。サロンとテラスを続き間にしたいので、テラスに面したサロンの窓を全て開け放ち、テラスの床を綺麗に磨いて頂戴。そして、テラスの四隅に支柱を立て日除けの布を張って頂戴ね。サロンとテラスが統一された空間になるように、家具を配置して欲しいの。宜しくて?」
「「「はい、お嬢様。」」」
「宜しい。では、早速取り掛かって頂戴ね。」
わたくしがパンッと一つ手を打つと、バーバラ達がそれぞれ手分けをして作業を始めましたの。
それを見届けましたわたくしは、お客様にお出しする茶葉や茶器を選んだり、お客様に座って頂く席に置く為の、ナプキンに付けるリボンや生花の飾りを作ったり致しましたの。
それ等と並行致しまして、邸の者からの確認依頼の対応をこなしたりと大忙しでしたのよ。

ですが、出来上がりましたお茶会の会場は非常に満足いくものになりましたわ。

あら?お客様がちらほら到着なさいましたわね。

「皆んな!宜しくお願い致しますわ。」
「「「はい!ナターシアお嬢様。」」」

お茶会開始ですわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

王女の朝の身支度

sleepingangel02
恋愛
政略結婚で愛のない夫婦。夫の国王は,何人もの側室がいて,王女はないがしろ。それどころか,王女担当まで用意する始末。さて,その行方は?

冷徹&ドSの公爵令息様の性処理メイドをヤらせてもらいます!

天災
恋愛
 冷徹&ドSの公爵令息さまぁ!

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

処理中です...