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第1章 田舎貴族と呼ばれた令嬢、婚約破棄される
第9話 卒業…そして自由への旅立ち(婚約破棄 3)
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「はぁい!それに関しては、マーガレットが説明しますね。」
と、お父様に聞かれて何も答える事が出来なかったサンドラス伯爵に成り代わる様に、ウシガエル男爵令嬢が口を開きましたの。
「ほぉ~。カザンブレド男爵令嬢が……それはそれは。どの様な説明をして下さるのか非常に楽しみだ。なぁ?サンドラス伯爵殿。」
と、仰るお父様の周りには、小さなハリケーンの子供の様な風が……。お父様?魔力がだだ漏れですわよ。
「ん?何故か分かりませが、此処だけ強い風が吹いていませんか?大講堂の中なのにおかしいですね。そう思いませんか?父上。」
と、さっき迄黙り込んでいたアルフレッド様が場の雰囲気を読まない発言をなさった為に、お父様が起こす魔力の風が尚一層強くなってしまいましたの。
ですので私は、
「申し訳ございません、ノルワード公爵閣下。公爵夫人もギルバート様も。今の父の横に立たれるのは非常に危険かと存じますので、少しだけ後方にお下がり下さいませ。」
と申しましたの。すると
「ナタリーちゃんとラフィーネは、其方にいらして大丈夫なんですの?」
とキャスリーン様が心配そうに仰いましたわ。
ですので、
「私とお母様は慣れておりますので大丈夫ですの。ご心配ありがとう存じますわ公爵夫人。」
と淑女の笑みでお答え申し上げましたの。
「ではお話しますね。マーガレットとアルは、愛し合う恋人同士なんです。でも、ただ愛し合ってるわけじゃないんですよ。マーガレット達は、"真実の愛”で結ばれている、真の恋人同士なんです。だからナターシアさん?もう、アルを解放してあげてくれませんか?」
「はい?」
成金男爵令嬢が仰った言葉が理解出来ず、思わず淑女に有るまじき言葉が出てしまったではありませんか。
私は、気持ちと魔力を落ち着かせる為コホンと一つ小さく咳払いを致しますと、こう申しましたの。
「カザンブレド男爵令嬢。私が婚約者であるアルフレッド様を解放とはどういったお話ですの?そもそも、アルフレッド様との婚約は、サンドラス伯爵家たってのお話とお聞きしておりましたけれども、それは私の認識違いでしたの?その点、如何ですの?サンドラス伯爵様。」
と。
ですが、私がサンドラス伯爵に向けて発した言葉は、またもやウシガエル男爵令嬢に阻まれてしまいましたのよ。
「でも!マーガレットとアルは、真実の愛で結ばれた真の恋人同士なんです!アルとナターシアさんは違いますよね?だって、貴女達は政略結婚なんだもの。そこに愛は無いんですよね?それに!ナターシアさんは、アルに愛されてるマーガレットの事が羨ましかったんですよね?だからマーガレットに、あんな嫌がらせを……酷いです、ナターシアさん!」
「え?嫌がらせって……本当なのかい?マーガレット。」
「はい。ずっと嫌がらせされてました。でもマーガレットは、アルに心配かけたくなくて黙っていたんです。ごめんなさい。」
と何やら茶番劇が始まってしまいましたわね。非常に面倒くさいですが、止めて差し上げますわ。
「はぁ……。言うに事欠いて嫌がらせ……ですの?私がカザンブレド男爵令嬢に対して?それは具体的にはどんな事を?私が貴女に嫌がらせをする事で得られる利益はございまして?」
「え?利益……ですか?」
「えぇ、そうですわ。そもそも私が在籍しておりました科と、カザンブレド男爵令嬢が在籍されておられた科との交流は無かったと記憶しておりますわ。それに、私がおりました領地経営科は、男爵令嬢やアルフレッド様がおられた科がございます棟とは、広い中庭を挟んだ位置関係にございますわ。もし仮に講義と講義の間の時間で、そちらの棟まで走って行ったとしても、経営科の講義には間に合いませんわね。カフェテリアも別でございましたし。それですのに、どのように男爵令嬢に嫌がらせを?私(転移)魔法は使えませんのよ。さぁ!私がどの様に嫌がらせを致しましたのか?その方法をお聞かせ願えるかしら?」
と淑女の笑みを浮かべ、論破して差し上げましたの。但し、扇で口元は隠しておりましたので、誰も私の口元が綺麗な弧を描く様に口角が上がっておるのを知りませんでしたわ。
さぁ、どんな言葉を返して下さいますの?ウシガエル男爵令嬢のマーガレット様。
楽しみですわ。
と、お父様に聞かれて何も答える事が出来なかったサンドラス伯爵に成り代わる様に、ウシガエル男爵令嬢が口を開きましたの。
「ほぉ~。カザンブレド男爵令嬢が……それはそれは。どの様な説明をして下さるのか非常に楽しみだ。なぁ?サンドラス伯爵殿。」
と、仰るお父様の周りには、小さなハリケーンの子供の様な風が……。お父様?魔力がだだ漏れですわよ。
「ん?何故か分かりませが、此処だけ強い風が吹いていませんか?大講堂の中なのにおかしいですね。そう思いませんか?父上。」
と、さっき迄黙り込んでいたアルフレッド様が場の雰囲気を読まない発言をなさった為に、お父様が起こす魔力の風が尚一層強くなってしまいましたの。
ですので私は、
「申し訳ございません、ノルワード公爵閣下。公爵夫人もギルバート様も。今の父の横に立たれるのは非常に危険かと存じますので、少しだけ後方にお下がり下さいませ。」
と申しましたの。すると
「ナタリーちゃんとラフィーネは、其方にいらして大丈夫なんですの?」
とキャスリーン様が心配そうに仰いましたわ。
ですので、
「私とお母様は慣れておりますので大丈夫ですの。ご心配ありがとう存じますわ公爵夫人。」
と淑女の笑みでお答え申し上げましたの。
「ではお話しますね。マーガレットとアルは、愛し合う恋人同士なんです。でも、ただ愛し合ってるわけじゃないんですよ。マーガレット達は、"真実の愛”で結ばれている、真の恋人同士なんです。だからナターシアさん?もう、アルを解放してあげてくれませんか?」
「はい?」
成金男爵令嬢が仰った言葉が理解出来ず、思わず淑女に有るまじき言葉が出てしまったではありませんか。
私は、気持ちと魔力を落ち着かせる為コホンと一つ小さく咳払いを致しますと、こう申しましたの。
「カザンブレド男爵令嬢。私が婚約者であるアルフレッド様を解放とはどういったお話ですの?そもそも、アルフレッド様との婚約は、サンドラス伯爵家たってのお話とお聞きしておりましたけれども、それは私の認識違いでしたの?その点、如何ですの?サンドラス伯爵様。」
と。
ですが、私がサンドラス伯爵に向けて発した言葉は、またもやウシガエル男爵令嬢に阻まれてしまいましたのよ。
「でも!マーガレットとアルは、真実の愛で結ばれた真の恋人同士なんです!アルとナターシアさんは違いますよね?だって、貴女達は政略結婚なんだもの。そこに愛は無いんですよね?それに!ナターシアさんは、アルに愛されてるマーガレットの事が羨ましかったんですよね?だからマーガレットに、あんな嫌がらせを……酷いです、ナターシアさん!」
「え?嫌がらせって……本当なのかい?マーガレット。」
「はい。ずっと嫌がらせされてました。でもマーガレットは、アルに心配かけたくなくて黙っていたんです。ごめんなさい。」
と何やら茶番劇が始まってしまいましたわね。非常に面倒くさいですが、止めて差し上げますわ。
「はぁ……。言うに事欠いて嫌がらせ……ですの?私がカザンブレド男爵令嬢に対して?それは具体的にはどんな事を?私が貴女に嫌がらせをする事で得られる利益はございまして?」
「え?利益……ですか?」
「えぇ、そうですわ。そもそも私が在籍しておりました科と、カザンブレド男爵令嬢が在籍されておられた科との交流は無かったと記憶しておりますわ。それに、私がおりました領地経営科は、男爵令嬢やアルフレッド様がおられた科がございます棟とは、広い中庭を挟んだ位置関係にございますわ。もし仮に講義と講義の間の時間で、そちらの棟まで走って行ったとしても、経営科の講義には間に合いませんわね。カフェテリアも別でございましたし。それですのに、どのように男爵令嬢に嫌がらせを?私(転移)魔法は使えませんのよ。さぁ!私がどの様に嫌がらせを致しましたのか?その方法をお聞かせ願えるかしら?」
と淑女の笑みを浮かべ、論破して差し上げましたの。但し、扇で口元は隠しておりましたので、誰も私の口元が綺麗な弧を描く様に口角が上がっておるのを知りませんでしたわ。
さぁ、どんな言葉を返して下さいますの?ウシガエル男爵令嬢のマーガレット様。
楽しみですわ。
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