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第四章 今世其ノ弐
終幕 幸せになろう
しおりを挟む先輩を呆れながら見送った後、私を見た一眞さん。
「親父さんから聞いただろ?俺との話。」
「うん。」
一眞さんは、私の傍にやって来て、じっと私の顔を見てくる。
「俺は、亜衣を嫁さんにしたい。亜衣を幸せにしたいんだ。一時的な感情じゃない事を分かって欲しい。」
「こんな体じゃ、奥さんらしい事なぁんにも出来ないよ?」
「お前がいてくれるだけでいいんだ。だから。澤村亜衣さん。俺と一緒に生きてください。」
ビロードが貼られた小箱の蓋を開け、大きなダイアモンドが付いた指を見せながらのプロポーズ。
いつか私がして貰いたいと願ったシチュエーションを今、目の前でしてくれる男性が目の前にいる。その人は前世、愛そうと、寄り添っていこうと思った男性の生まれ変わりである事に、私は幸せを感じている。
「こんな私で良ければ…よろしくお願いします。」
私からの返事に、半分泣きながら私の薬指に婚約指輪を嵌めてくれた一眞さん。
「もう…色男さんが、情けない顔しないでよ。」
と私が茶化すと、
「うるせぇよ!」
と言ってギュッと抱き締めてくれた一眞さん。
「やっとだ……やっと捕まえた。」
安堵の声を洩らした一眞さんにクスッと笑ってしまった私に、一眞さんは嬉しそうな顔をして
「OKしてくれて、サンキューな。」
とはにかんで笑っていました。
前世でも今世でも、私は見た目麗しい『王子様』に憧れ好きになっていたけど。
本当の私だけの王子様は、いつも私の幸せだけを思って傍にいてくれた人だと気づいたの。
私を探して見つけてくれてありがとう一眞さん。
幸せになろうね
[完]
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