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第五章 その後の~
亜衣と一眞 二人の生活⑴
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「今日の教室はこれで終わりです。皆さんお疲れ様でした。」
「先生、ありがとうございました。」
今日の生徒さん達がぞろぞろと帰って行く。
お迎えに来られた御家族の車に乗って帰る人や、近いからと、自分で車椅子に乗って来る人と様々だ。
私は生徒さんが全員帰ったのを見届けると、
「じゃ、やりますか。」
と腕まくりをする。
ここは、車椅子の方々を対象にしたクッキングスクールだ。
私は、一眞さんと結婚した後、暫くは一眞さんのマンションで暮らしていたのだが、お互いの貯金や諸々のお金を工面して私の実家の近くに中古住宅を購入した。
そして、完全バリアフリーのクッキングスクールを作ったんだ。
スクール開設の為に、私は管理栄養士や調理師免許を取得したり、一眞さんは知人の一級建築士さんに声をかけてくれ、スクールや居住部分の設計を考えてくれた。
スクール開設当初は、あまり生徒さんが集まらず焦ったりもしたけど、
「焦らずいこうぜ。亜衣の料理は美味いんだから。それに見てみろよ。フォロワー数増えてきてるだろ?」
と言って、SNSの画面を見せてくれた。
それは、私が作った料理や、作っている過程、スクールの様子が写っている画面だ。
「ホントだ。ここから問い合わせとか来てくれたらいいのに。」
「来るさ。ま、ぼちぼちいこうぜ?」
と言って励ましてくれた。
生徒さんが増えてきた今となっては、それもいい思い出になりつつある。
「亜衣?終わったの?」
お母さんが教室の部屋に顔を出した。
「うん。無事に終わったよ。これから使った食器や器具とかを食洗機に入れるとこ。」
「そう。じゃ、それやったらお茶にしよっか。」
お母さんは、生徒さん用の調理台4台から、食器や調理器具を集めてきてくれる。
本来なら、片付けもやってこその完成なのかもしれないけど、身体が不自由な生徒さんにそこまで求める事が出来ず、私は業務用の大きな食洗機を付けて洗うことにした。
いつも手伝ってくれるお母さんは、慣れた手つきで食洗機にぽいぽいと食器等を入れていきスイッチを押すと、
「さ、亜衣。行こっか。」
と言って、私の車椅子を押して居住スペースに連れて行ってくれた。
リビングに入ると、お義姉さんの涼子さんと姪の真依ちゃんが待っていた。
「亜衣ちゃん。今日はね?真依が焼いたんだよ?このクッキー。食べてみて?」
そう言って、クッキーを一つ摘んで私の口元に持って来てくれた可愛い真依ちゃん。
一口にほうばると、サクッとした歯触りと、ほんのり広がる甘さが絶妙な美味しいクッキーだった。
「真依ちゃん。本当に美味しいよ。」
私の言葉に、
「やったー!」
と喜ぶ真依ちゃんが可愛い。
「ラッキー。ラッキーにもクッキーあるよ~。」
真依ちゃんは、ゲージの中で大人しくしていた我が家の愛犬 トイプードル(茶色い毛色の女の子)のラッキーに犬用のクッキーをあげている。
「亜衣ちゃ~ん。ラッキー出していい?」
キラキラした瞳で聞いてくる真依ちゃんに、
「いいよ?あ!後でお散歩行くから、一緒に行く?」
と聞くと、
「うん、行く~。」
嬉しそうに言う真依ちゃん。
「じゃ、宿題やっちゃってね。」
と言う涼子さん。真依ちゃんは、渋々ラッキーをゲージに戻すと、
「はぁ~い。ラッキー?真依は宿題するから待っててね?」
と言って宿題を始めた。
子供を望めにくい身体になってしまった私には、姪の真依ちゃんと愛犬ラッキーの存在はとても大きい。
彼女たちは、沈み込みそうになる私の気持ちをいつも上に向かせてくれるんだ。
勿論家族も、そして最愛の人の存在も……
「先生、ありがとうございました。」
今日の生徒さん達がぞろぞろと帰って行く。
お迎えに来られた御家族の車に乗って帰る人や、近いからと、自分で車椅子に乗って来る人と様々だ。
私は生徒さんが全員帰ったのを見届けると、
「じゃ、やりますか。」
と腕まくりをする。
ここは、車椅子の方々を対象にしたクッキングスクールだ。
私は、一眞さんと結婚した後、暫くは一眞さんのマンションで暮らしていたのだが、お互いの貯金や諸々のお金を工面して私の実家の近くに中古住宅を購入した。
そして、完全バリアフリーのクッキングスクールを作ったんだ。
スクール開設の為に、私は管理栄養士や調理師免許を取得したり、一眞さんは知人の一級建築士さんに声をかけてくれ、スクールや居住部分の設計を考えてくれた。
スクール開設当初は、あまり生徒さんが集まらず焦ったりもしたけど、
「焦らずいこうぜ。亜衣の料理は美味いんだから。それに見てみろよ。フォロワー数増えてきてるだろ?」
と言って、SNSの画面を見せてくれた。
それは、私が作った料理や、作っている過程、スクールの様子が写っている画面だ。
「ホントだ。ここから問い合わせとか来てくれたらいいのに。」
「来るさ。ま、ぼちぼちいこうぜ?」
と言って励ましてくれた。
生徒さんが増えてきた今となっては、それもいい思い出になりつつある。
「亜衣?終わったの?」
お母さんが教室の部屋に顔を出した。
「うん。無事に終わったよ。これから使った食器や器具とかを食洗機に入れるとこ。」
「そう。じゃ、それやったらお茶にしよっか。」
お母さんは、生徒さん用の調理台4台から、食器や調理器具を集めてきてくれる。
本来なら、片付けもやってこその完成なのかもしれないけど、身体が不自由な生徒さんにそこまで求める事が出来ず、私は業務用の大きな食洗機を付けて洗うことにした。
いつも手伝ってくれるお母さんは、慣れた手つきで食洗機にぽいぽいと食器等を入れていきスイッチを押すと、
「さ、亜衣。行こっか。」
と言って、私の車椅子を押して居住スペースに連れて行ってくれた。
リビングに入ると、お義姉さんの涼子さんと姪の真依ちゃんが待っていた。
「亜衣ちゃん。今日はね?真依が焼いたんだよ?このクッキー。食べてみて?」
そう言って、クッキーを一つ摘んで私の口元に持って来てくれた可愛い真依ちゃん。
一口にほうばると、サクッとした歯触りと、ほんのり広がる甘さが絶妙な美味しいクッキーだった。
「真依ちゃん。本当に美味しいよ。」
私の言葉に、
「やったー!」
と喜ぶ真依ちゃんが可愛い。
「ラッキー。ラッキーにもクッキーあるよ~。」
真依ちゃんは、ゲージの中で大人しくしていた我が家の愛犬 トイプードル(茶色い毛色の女の子)のラッキーに犬用のクッキーをあげている。
「亜衣ちゃ~ん。ラッキー出していい?」
キラキラした瞳で聞いてくる真依ちゃんに、
「いいよ?あ!後でお散歩行くから、一緒に行く?」
と聞くと、
「うん、行く~。」
嬉しそうに言う真依ちゃん。
「じゃ、宿題やっちゃってね。」
と言う涼子さん。真依ちゃんは、渋々ラッキーをゲージに戻すと、
「はぁ~い。ラッキー?真依は宿題するから待っててね?」
と言って宿題を始めた。
子供を望めにくい身体になってしまった私には、姪の真依ちゃんと愛犬ラッキーの存在はとても大きい。
彼女たちは、沈み込みそうになる私の気持ちをいつも上に向かせてくれるんだ。
勿論家族も、そして最愛の人の存在も……
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