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第三章 前世其ノ弐
第四幕 疑惑のその後(ロイドside)
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「アイリーン!!アイリーン!!逝くな!!俺を置いて逝かないでくれアイリーン。」
小さな体を抱きしめ、何度も呼びかけ、アイリーンの体に温かみを戻せたらと思い彼女の体を擦る。
勿論そんな事は無駄だと分かっている。分かっているが、俺の腕の中でどんどん冷たくなっていく彼女に耐えられなくなっていた。
「アイリーン……頼む…目を……目を開けてくれアイリーン。」
どんなに呼びかけても目を開けてくれないアイリーン。
何故だ!何故信じてやらなかった。ずっと見てきた女だ。守ってやると誓ったのに俺は……
俺は自分を責めた。愛していたのに。俺は…俺は……。
「アイリーン、今行く。待っていろ。」
俺はふらりと立ち上がり、腰に差してあった剣を取ると、首元に当て迷わず一気に引いた。
「ロイド!!」
母上が悲鳴をあげる。
「アイリーン1人には…しない…。愛し…てる。」
俺はアイリーンの冷たくなった手を握り、そのまま永遠の眠りについた。
小さな体を抱きしめ、何度も呼びかけ、アイリーンの体に温かみを戻せたらと思い彼女の体を擦る。
勿論そんな事は無駄だと分かっている。分かっているが、俺の腕の中でどんどん冷たくなっていく彼女に耐えられなくなっていた。
「アイリーン……頼む…目を……目を開けてくれアイリーン。」
どんなに呼びかけても目を開けてくれないアイリーン。
何故だ!何故信じてやらなかった。ずっと見てきた女だ。守ってやると誓ったのに俺は……
俺は自分を責めた。愛していたのに。俺は…俺は……。
「アイリーン、今行く。待っていろ。」
俺はふらりと立ち上がり、腰に差してあった剣を取ると、首元に当て迷わず一気に引いた。
「ロイド!!」
母上が悲鳴をあげる。
「アイリーン1人には…しない…。愛し…てる。」
俺はアイリーンの冷たくなった手を握り、そのまま永遠の眠りについた。
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