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第二章 前世其ノ壱
幕間② ロイドside
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俺はガーディランス公爵家が嫡男ロイド•J•ガーディランスだ。
今夜は俺の17歳を祝う生誕祭が行われる。
俺の生誕祭だと言って、朝から屋敷がバタバタと騒がしい。
別に祝ってもらわなくてもいいって言ってんのに、母上は、
「何を言っているのですか?ロイド。いい加減早く婚約者を見つけない貴方が悪いのですよ? 全く貴方は、剣術ばっかり上達して。将来宰相としてリュークアッセンドラ殿下に就く者としては、剣術が大切なことなのは重々承知よ?でも、生涯を共にする伴侶は絶対に必要なのです。少しは、女性を口説く勉強くらいなさいな。」
とのたまう始末。
母上が仰るとおり、俺は王太子のリュークアッセンドラ殿下の側近で、将来リュークが王となった時、俺は宰相を務める事が約束されている。
宰相の職に剣術は必要無いだろう。だからといって、剣術の稽古を怠るわけにはいかない。
そもそも女なんて鬱陶しいだけで、なんにも役に立たねぇじゃねぇか。
香水くせぇし厚化粧で上品もくそもねぇ。ちょっと見た目いい男で、爵位が公爵だってだけで、しな作って言いよってくるだけだっつーの。
しかもリュークも今夜は来るって話じゃねぇか。
あいつが来ると、あいつに近づきたい女が俺に寄ってきて、「殿下との間を取り持って頂けませんか?」オーラを出して来るんだよ!
俺がんな事する訳ねぇだろが!
だいたいリュークには、まだ公にはされてねぇが、幼馴染みで許嫁の令嬢がいる。
彼女はリュークと俺の幼馴染みで、未来の王妃に相応しい令嬢だ。なによりリュークに溺愛されている。
彼女は美しく淑やかで、リュークに絶対的な信頼を置いているし、二人でいる時の彼女のあの表情は、リュークは絶対に誰にも見せたがらない。
それは俺に対してもだから相当なものだ。
そんな彼女だから、リュークは婚約披露になる迄、ずっと周りの人間から彼女を守り続けているんだ。
だからリュークはよく「側室を娶るよう言われているが、正直娶るつもりはない。」と公言しているとおり、こういう場があっても絡んで来る令嬢達を適当にあしらっている。
「さて、支度するか。」
生誕祭が始まる時刻ギリギリに正装に着替えた俺は、リュークと連れ立って生誕祭が行われる広間に入って行った。
リュークと嫌々大広間に入ると、俺達 いや リュークを見つけた女共が黄色い声をあげる。
そんな女達を笑顔で躱しながらふと見やると、壁に飾られている絵をじっと見ては考え込んでいる令嬢がいた。
俺の視線に気付いたリュークは、ニヤと口の端を上げ、俺を連れてその令嬢の後ろに立った。
「アイリーン様。」
とリュークが声をかけた。
アイリーンと呼ばれた女が振り向いた。真っ赤な顔をして。
俺達を見上げて恥ずかしそうな顔をする女。
その姿に、その顔に、俺の心臓は有り得ないくらい早鐘を打った。
(コイツ……可愛すぎだろうが!)
この瞬間
俺は恋に落ちたのだった。
今夜は俺の17歳を祝う生誕祭が行われる。
俺の生誕祭だと言って、朝から屋敷がバタバタと騒がしい。
別に祝ってもらわなくてもいいって言ってんのに、母上は、
「何を言っているのですか?ロイド。いい加減早く婚約者を見つけない貴方が悪いのですよ? 全く貴方は、剣術ばっかり上達して。将来宰相としてリュークアッセンドラ殿下に就く者としては、剣術が大切なことなのは重々承知よ?でも、生涯を共にする伴侶は絶対に必要なのです。少しは、女性を口説く勉強くらいなさいな。」
とのたまう始末。
母上が仰るとおり、俺は王太子のリュークアッセンドラ殿下の側近で、将来リュークが王となった時、俺は宰相を務める事が約束されている。
宰相の職に剣術は必要無いだろう。だからといって、剣術の稽古を怠るわけにはいかない。
そもそも女なんて鬱陶しいだけで、なんにも役に立たねぇじゃねぇか。
香水くせぇし厚化粧で上品もくそもねぇ。ちょっと見た目いい男で、爵位が公爵だってだけで、しな作って言いよってくるだけだっつーの。
しかもリュークも今夜は来るって話じゃねぇか。
あいつが来ると、あいつに近づきたい女が俺に寄ってきて、「殿下との間を取り持って頂けませんか?」オーラを出して来るんだよ!
俺がんな事する訳ねぇだろが!
だいたいリュークには、まだ公にはされてねぇが、幼馴染みで許嫁の令嬢がいる。
彼女はリュークと俺の幼馴染みで、未来の王妃に相応しい令嬢だ。なによりリュークに溺愛されている。
彼女は美しく淑やかで、リュークに絶対的な信頼を置いているし、二人でいる時の彼女のあの表情は、リュークは絶対に誰にも見せたがらない。
それは俺に対してもだから相当なものだ。
そんな彼女だから、リュークは婚約披露になる迄、ずっと周りの人間から彼女を守り続けているんだ。
だからリュークはよく「側室を娶るよう言われているが、正直娶るつもりはない。」と公言しているとおり、こういう場があっても絡んで来る令嬢達を適当にあしらっている。
「さて、支度するか。」
生誕祭が始まる時刻ギリギリに正装に着替えた俺は、リュークと連れ立って生誕祭が行われる広間に入って行った。
リュークと嫌々大広間に入ると、俺達 いや リュークを見つけた女共が黄色い声をあげる。
そんな女達を笑顔で躱しながらふと見やると、壁に飾られている絵をじっと見ては考え込んでいる令嬢がいた。
俺の視線に気付いたリュークは、ニヤと口の端を上げ、俺を連れてその令嬢の後ろに立った。
「アイリーン様。」
とリュークが声をかけた。
アイリーンと呼ばれた女が振り向いた。真っ赤な顔をして。
俺達を見上げて恥ずかしそうな顔をする女。
その姿に、その顔に、俺の心臓は有り得ないくらい早鐘を打った。
(コイツ……可愛すぎだろうが!)
この瞬間
俺は恋に落ちたのだった。
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