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第二章 前世其ノ壱
第三幕 社交界デビュー⑻
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「おやおや。ロイ?彼女の事がそんなに気に入ったんだ?だったら私が公爵に口添えしようか?きっとお喜びに……「うるせぇ!リューク!余計な事すんな。」」
お二人の打ち解けた会話から、お二人の仲の良さを伺い知る事が出来ましたが、それにしてもロイド様のお話ぶりは、なかなかどうしてなものがありました。
お二人のご様子に、私の顔は余程びっくりしていたのでしょう。殿下が、
「ほら見てご覧よ。アイリーン様が固まってしまわれたじゃないか。全てロイのせいだからな。ほら、いつまでもアイリーン様に見とれてないで、しっかりしろよ!!」
そう仰いロイド様のお背中をバシッと叩かれたのでした。
「っ…痛ってぇ!リュークお前…」
相当お痛かったのでしょう。ロイド様の双眼には薄ら涙が浮かんでいらっしゃいました。
それもそのはず。殿下は既に王太子として執務にあたっておられるばかりでなく、剣術のお稽古も毎日欠かさずなさっていらっしゃるのです。
当然お身体には鋼のように固くしなやかな筋肉が付いていらっしゃるのでしょう。勿論それ等は剣を持つ腕にも付いていらっしゃるわけで。そんな方に背中をぶたれたら、それはそれは普通の方なら悶絶ものなのに違いないと思います。
ですが、ロイド様は涙が浮かべる程度でお済みだったのは、きっとロイド様ご自身も殿下付きの宰相として鍛錬に勤しんでおられるのだと思いました。
「驚かしてしまったようで申し訳ない。改めて自己紹介させて欲しい。」
ロイド様は漸く私に向かって話始めました。
「俺の名前は、ロイド•J•ガーディランス。ガーディランス公爵家が嫡男だ。」
「ロイド様。今宵はご生誕祭にお招き頂きありがとう存じます。後程行われるとお聞きしております、お祝いの演奏会では、私も拙くはございますが、ピアノの演奏をもってお祝いさせて頂きます。」
「それは楽しみだね、ロイ。」
「あ…あぁ……。そうだな。楽しみだ。」
そう仰って私をご覧になるロイド様のお顔が少しだけ緩むのが分かりました。
「名残惜しいのは分かるけどね、ロイ。招待客はアイリーン様だけじゃないんだ。」
「あ、あぁ…そうだな。」
そう仰って、ロイド様は「楽しんで欲しい。」と言い残され、殿下とお二人、また違う子息令嬢が待つ集団の方へと向かわれたのでした。
「ロイド様……面白い方だったわ。」
私の言葉をお兄様がお聞きになり、クスクスと笑っておられました。
お二人の打ち解けた会話から、お二人の仲の良さを伺い知る事が出来ましたが、それにしてもロイド様のお話ぶりは、なかなかどうしてなものがありました。
お二人のご様子に、私の顔は余程びっくりしていたのでしょう。殿下が、
「ほら見てご覧よ。アイリーン様が固まってしまわれたじゃないか。全てロイのせいだからな。ほら、いつまでもアイリーン様に見とれてないで、しっかりしろよ!!」
そう仰いロイド様のお背中をバシッと叩かれたのでした。
「っ…痛ってぇ!リュークお前…」
相当お痛かったのでしょう。ロイド様の双眼には薄ら涙が浮かんでいらっしゃいました。
それもそのはず。殿下は既に王太子として執務にあたっておられるばかりでなく、剣術のお稽古も毎日欠かさずなさっていらっしゃるのです。
当然お身体には鋼のように固くしなやかな筋肉が付いていらっしゃるのでしょう。勿論それ等は剣を持つ腕にも付いていらっしゃるわけで。そんな方に背中をぶたれたら、それはそれは普通の方なら悶絶ものなのに違いないと思います。
ですが、ロイド様は涙が浮かべる程度でお済みだったのは、きっとロイド様ご自身も殿下付きの宰相として鍛錬に勤しんでおられるのだと思いました。
「驚かしてしまったようで申し訳ない。改めて自己紹介させて欲しい。」
ロイド様は漸く私に向かって話始めました。
「俺の名前は、ロイド•J•ガーディランス。ガーディランス公爵家が嫡男だ。」
「ロイド様。今宵はご生誕祭にお招き頂きありがとう存じます。後程行われるとお聞きしております、お祝いの演奏会では、私も拙くはございますが、ピアノの演奏をもってお祝いさせて頂きます。」
「それは楽しみだね、ロイ。」
「あ…あぁ……。そうだな。楽しみだ。」
そう仰って私をご覧になるロイド様のお顔が少しだけ緩むのが分かりました。
「名残惜しいのは分かるけどね、ロイ。招待客はアイリーン様だけじゃないんだ。」
「あ、あぁ…そうだな。」
そう仰って、ロイド様は「楽しんで欲しい。」と言い残され、殿下とお二人、また違う子息令嬢が待つ集団の方へと向かわれたのでした。
「ロイド様……面白い方だったわ。」
私の言葉をお兄様がお聞きになり、クスクスと笑っておられました。
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