21 / 66
第二章 前世其ノ壱
第三幕 社交界デビュー⑹
しおりを挟む
御者の
「公爵家に到着致しました。」
の声に、私は馬車の窓から外を覗き見ました。
すると、夕暮れではありましたが、それはそれは綺麗なお庭が見えたのでした。
「なんて素敵で綺麗なお庭なの。今度また明るい内に来てみたいわ。」
と小さな声で呟いていたら、
「それは、ご招待がない限り難しいだろうね。」
とお兄様から冷静に言われてしまいました。
「でもアイリーン?王宮のお庭はもっと素晴らしいんだよ。アイリーンに一度見せてあげたいといつも思っているんだ。」
「そうなんですね。」
お兄様のお言葉を聞き、私はまだ見ぬ王宮の庭園を想像しながら馬車を降りました。
公爵家のお屋敷の中へと入ると、広く綺麗なエントランスホールがありました。ホールの真ん中には、お庭に咲いていた花々なのでしょうか。大きな花瓶に、それはもう言葉に出来ない程美しく花が生けてありました。
私達家族は、その素晴らしいエントランスホールを抜け、今夜の夜会が行われるホールへと入りました。
ホールの天井には豪華なシャンデリアが
床には磨きあげられ美しい模様を作り出していた大理石が敷き詰められていました。
流石ガーディランス公爵家です。そもそもガーディランス公爵様のご党首のお母様は、王家であるアンダーソンのご出身の方。
前陛下の王弟のご息女でいらっしゃり、現陛下とは従兄妹関係になられるそうです。
リュークアッセンドラ殿下とガーディランス公爵家のご令息のロイド様は縁続きのご関係なのです。
リュークアッセンドラ殿下とロイド様は、1歳違いということもあり、『リューク』『ロイ』と呼び合い、お小さい頃はよく双方のお屋敷のお庭で仲良く遊んでいたとの事でした。
そんな仲の良さもあるのか、王太子殿下は、1歳年下のロイド様を補佐につけ、王太子としての執務にあたっておられました。
今日はそんなロイド様のご生誕祭なのですから、王太子殿下がお越しになられるのは当然の事であり、お年頃のお2人のお妃候補として伯爵以上の令嬢が集まりました。
令嬢達は、綺麗なドレスに身を包み、豪華な宝石を見に纏っておられます。
「あら、ご覧になって?ターナドリー様。あちらにハイデバード公爵家のサラティーニ様がいらっしゃるわ。」
「本当ですの?カタリーナ様。まあ、本当ですわ。サラティーニ様が夜会に来られるなんて、お珍しいこと。」
「何を仰っていらっしゃるの?サラティーニ様は、リュークアッセンドラ殿下とロイド様の幼馴染みでいらっしゃいますのよ。ロイド様のご生誕祭に来られるのは当たり前ではありませんか。」
「失礼致しました、ローズウェルト様」
「お勉強不足ですわね。ターナドリー様。」
「……」
ローズウェルト様と呼ばれた令嬢に、咎められたターナドリー様は唇を噛んで俯いていらっしゃいました。
そうなのね。
あちらでにこやかに談笑していらっしゃる令嬢が、サラティーニ公爵令嬢様でしたの。お噂どおりとてもお綺麗な方で、私は暫しサラティーニ様のご一団に見とれておりました。
「公爵家に到着致しました。」
の声に、私は馬車の窓から外を覗き見ました。
すると、夕暮れではありましたが、それはそれは綺麗なお庭が見えたのでした。
「なんて素敵で綺麗なお庭なの。今度また明るい内に来てみたいわ。」
と小さな声で呟いていたら、
「それは、ご招待がない限り難しいだろうね。」
とお兄様から冷静に言われてしまいました。
「でもアイリーン?王宮のお庭はもっと素晴らしいんだよ。アイリーンに一度見せてあげたいといつも思っているんだ。」
「そうなんですね。」
お兄様のお言葉を聞き、私はまだ見ぬ王宮の庭園を想像しながら馬車を降りました。
公爵家のお屋敷の中へと入ると、広く綺麗なエントランスホールがありました。ホールの真ん中には、お庭に咲いていた花々なのでしょうか。大きな花瓶に、それはもう言葉に出来ない程美しく花が生けてありました。
私達家族は、その素晴らしいエントランスホールを抜け、今夜の夜会が行われるホールへと入りました。
ホールの天井には豪華なシャンデリアが
床には磨きあげられ美しい模様を作り出していた大理石が敷き詰められていました。
流石ガーディランス公爵家です。そもそもガーディランス公爵様のご党首のお母様は、王家であるアンダーソンのご出身の方。
前陛下の王弟のご息女でいらっしゃり、現陛下とは従兄妹関係になられるそうです。
リュークアッセンドラ殿下とガーディランス公爵家のご令息のロイド様は縁続きのご関係なのです。
リュークアッセンドラ殿下とロイド様は、1歳違いということもあり、『リューク』『ロイ』と呼び合い、お小さい頃はよく双方のお屋敷のお庭で仲良く遊んでいたとの事でした。
そんな仲の良さもあるのか、王太子殿下は、1歳年下のロイド様を補佐につけ、王太子としての執務にあたっておられました。
今日はそんなロイド様のご生誕祭なのですから、王太子殿下がお越しになられるのは当然の事であり、お年頃のお2人のお妃候補として伯爵以上の令嬢が集まりました。
令嬢達は、綺麗なドレスに身を包み、豪華な宝石を見に纏っておられます。
「あら、ご覧になって?ターナドリー様。あちらにハイデバード公爵家のサラティーニ様がいらっしゃるわ。」
「本当ですの?カタリーナ様。まあ、本当ですわ。サラティーニ様が夜会に来られるなんて、お珍しいこと。」
「何を仰っていらっしゃるの?サラティーニ様は、リュークアッセンドラ殿下とロイド様の幼馴染みでいらっしゃいますのよ。ロイド様のご生誕祭に来られるのは当たり前ではありませんか。」
「失礼致しました、ローズウェルト様」
「お勉強不足ですわね。ターナドリー様。」
「……」
ローズウェルト様と呼ばれた令嬢に、咎められたターナドリー様は唇を噛んで俯いていらっしゃいました。
そうなのね。
あちらでにこやかに談笑していらっしゃる令嬢が、サラティーニ公爵令嬢様でしたの。お噂どおりとてもお綺麗な方で、私は暫しサラティーニ様のご一団に見とれておりました。
0
お気に入りに追加
283
あなたにおすすめの小説
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
貴方だけが私に優しくしてくれた
バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。
そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。
いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。
しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー
拝啓、大切なあなたへ
茂栖 もす
恋愛
それはある日のこと、絶望の底にいたトゥラウム宛てに一通の手紙が届いた。
差出人はエリア。突然、別れを告げた恋人だった。
そこには、衝撃的な事実が書かれていて───
手紙を受け取った瞬間から、トゥラウムとエリアの終わってしまったはずの恋が再び動き始めた。
これは、一通の手紙から始まる物語。【再会】をテーマにした短編で、5話で完結です。
※以前、別PNで、小説家になろう様に投稿したものですが、今回、アルファポリス様用に加筆修正して投稿しています。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
友達の肩書き
菅井群青
恋愛
琢磨は友達の彼女や元カノや友達の好きな人には絶対に手を出さないと公言している。
私は……どんなに強く思っても友達だ。私はこの位置から動けない。
どうして、こんなにも好きなのに……恋愛のスタートラインに立てないの……。
「よかった、千紘が友達で本当に良かった──」
近くにいるはずなのに遠い背中を見つめることしか出来ない……。そんな二人の関係が変わる出来事が起こる。
【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人
白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。
だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。
罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。
そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。
切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる