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第二章 前世其ノ壱
第三幕 社交界デビュー⑵
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いよいよデビューを1ヶ月後に控えたある日の朝
お母様が朝食を召し上がりながら仰いました。
「アイリーン。今日の午後、デザイナーのレイズ夫人がいらして、貴女の新しいドレスのデザインをしてくださるの。だから、どんなデザインでどんな色目のドレスにするかを考えておいて頂戴。」
お母様のお話を聞きながら、私の顔はどんどん緩んでいくのがわかりました。
「それは本当ですか?お母様。」
「ええ、そうよ。公爵家でのロイド様のご生誕祭は貴女のデビュタントでもあるのですから、それに相応しいドレスを作らなくてはね。」
お母様はそう仰いながら、「宝石商も呼ばなくてならないわね。カイセル。宝石商がいつ来られるのかを聞いてくれるかしら?」とカイセルに指示をお出しになっておられました。
私は私で、殿下はどんなドレスだったら褒めてくださるでしょう?あぁ…、その前に私に似合うドレスは?と考えを巡らせておりました。
私の見た目ですが、髪色は栗色で瞳は緑色。栗色の髪はお父様から、緑の瞳はお母様から頂いた色。私は両親から頂いたこれらの色が大好きでした。
「アイリーンは色が白いから、何色でも似合うと思うぞ。」
お父様もとても楽しみにしていてくださるご様子がうかがい知れ、私も張り切って、
「お母様とよくお話をさせて頂いて、私に似合うドレスを作っていただきますね。」
と答えました。
その声が思いの外大きかった様で、
「アイリーン、興奮し過ぎだよ?淑女たるもの、いつも冷静に笑顔で…じゃ無かったの?」
とお兄様から窘められ、「はい…」と肩を竦めた私をご覧になった両親と兄の笑い声で、食堂は楽しげな雰囲気に包まれたのでした。
お母様が朝食を召し上がりながら仰いました。
「アイリーン。今日の午後、デザイナーのレイズ夫人がいらして、貴女の新しいドレスのデザインをしてくださるの。だから、どんなデザインでどんな色目のドレスにするかを考えておいて頂戴。」
お母様のお話を聞きながら、私の顔はどんどん緩んでいくのがわかりました。
「それは本当ですか?お母様。」
「ええ、そうよ。公爵家でのロイド様のご生誕祭は貴女のデビュタントでもあるのですから、それに相応しいドレスを作らなくてはね。」
お母様はそう仰いながら、「宝石商も呼ばなくてならないわね。カイセル。宝石商がいつ来られるのかを聞いてくれるかしら?」とカイセルに指示をお出しになっておられました。
私は私で、殿下はどんなドレスだったら褒めてくださるでしょう?あぁ…、その前に私に似合うドレスは?と考えを巡らせておりました。
私の見た目ですが、髪色は栗色で瞳は緑色。栗色の髪はお父様から、緑の瞳はお母様から頂いた色。私は両親から頂いたこれらの色が大好きでした。
「アイリーンは色が白いから、何色でも似合うと思うぞ。」
お父様もとても楽しみにしていてくださるご様子がうかがい知れ、私も張り切って、
「お母様とよくお話をさせて頂いて、私に似合うドレスを作っていただきますね。」
と答えました。
その声が思いの外大きかった様で、
「アイリーン、興奮し過ぎだよ?淑女たるもの、いつも冷静に笑顔で…じゃ無かったの?」
とお兄様から窘められ、「はい…」と肩を竦めた私をご覧になった両親と兄の笑い声で、食堂は楽しげな雰囲気に包まれたのでした。
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