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第一章 今世其ノ壱
第三幕 壊れる⑵
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空気が読めない残念な年上同期からの誘いを断った私は、真っ直ぐ自宅アパートへ帰る。
荷物を床に置きソファに身体を投げ出し、天井を仰ぎ見て大きく息を吐き出した。
帰り道、何度かスマホを確認したが、竜二さんからのものは全く無かった。
「寂しい…」
誰も居ない部屋の中に私の呟きが消えていった。
私はSNSにアカウントを作って、この寂しい気持ちを呟いてみる事にしたのだ。
『初めまして、AKOです。始めて呟いてみることにしました。よろしくお願いいたします(*´︶`*)』
暫くすると、色んな人から挨拶が来て、私をフォローしてくれる様になっていた。
嬉しい!リプライすれば返ってくるなんて、なんて素敵な世界なの?
私は寂しさを紛らわせる様に、SNSの世界に身を投じた。
『彼が連絡をくれない』
『私から連絡しないと彼からは何もない』
『寂しい』
『私は彼が大好きなのにな』
次々に呟くと、それ等に反応が返ってくる事が嬉しかった。
その日の夜は、久しぶりにぐっすり眠る事が出来た。
朝起きて朝食を作り、それを呟いてみた。
元々料理は大好きだから、
『美味しそう!』
『料理好きなの?』
『女子力高いんだね!』
と返ってくるとますます嬉しくなった。
会社に持っていくお弁当の写真
見上げた空や花の写真
『今日は彼から連絡が来て嬉しい』
『優しい彼が大好き』
『Xmasは彼と過ごして幸せだった』
『彼から素敵なプレゼントを貰えた』
『私の料理を美味しいと言って嬉しそうに食べてくれた』
本当は違うのだけれど…全然連絡なんて来てないし、クリぼっちだったけど…
でもそんな事は関係ない!だってSNSの中の呟きが本当なのか嘘なのかなんて、誰も判断出来ないのだから。
呟きを重ねる度に、私は少しずつ話を盛る様になり、それ等に反応があると、本当に身に起こっている気持ちにもなっていった。
私はすっかり悲劇のヒロインのようなキャラクターを作りつつある事に全く気付く事無く、いつしかどんどん深みに嵌っていき、ある時は【大好きな彼から放っておかれている可哀想なAKO】だったし、またある時は【彼から愛されているAKO】だった。
荷物を床に置きソファに身体を投げ出し、天井を仰ぎ見て大きく息を吐き出した。
帰り道、何度かスマホを確認したが、竜二さんからのものは全く無かった。
「寂しい…」
誰も居ない部屋の中に私の呟きが消えていった。
私はSNSにアカウントを作って、この寂しい気持ちを呟いてみる事にしたのだ。
『初めまして、AKOです。始めて呟いてみることにしました。よろしくお願いいたします(*´︶`*)』
暫くすると、色んな人から挨拶が来て、私をフォローしてくれる様になっていた。
嬉しい!リプライすれば返ってくるなんて、なんて素敵な世界なの?
私は寂しさを紛らわせる様に、SNSの世界に身を投じた。
『彼が連絡をくれない』
『私から連絡しないと彼からは何もない』
『寂しい』
『私は彼が大好きなのにな』
次々に呟くと、それ等に反応が返ってくる事が嬉しかった。
その日の夜は、久しぶりにぐっすり眠る事が出来た。
朝起きて朝食を作り、それを呟いてみた。
元々料理は大好きだから、
『美味しそう!』
『料理好きなの?』
『女子力高いんだね!』
と返ってくるとますます嬉しくなった。
会社に持っていくお弁当の写真
見上げた空や花の写真
『今日は彼から連絡が来て嬉しい』
『優しい彼が大好き』
『Xmasは彼と過ごして幸せだった』
『彼から素敵なプレゼントを貰えた』
『私の料理を美味しいと言って嬉しそうに食べてくれた』
本当は違うのだけれど…全然連絡なんて来てないし、クリぼっちだったけど…
でもそんな事は関係ない!だってSNSの中の呟きが本当なのか嘘なのかなんて、誰も判断出来ないのだから。
呟きを重ねる度に、私は少しずつ話を盛る様になり、それ等に反応があると、本当に身に起こっている気持ちにもなっていった。
私はすっかり悲劇のヒロインのようなキャラクターを作りつつある事に全く気付く事無く、いつしかどんどん深みに嵌っていき、ある時は【大好きな彼から放っておかれている可哀想なAKO】だったし、またある時は【彼から愛されているAKO】だった。
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