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第4章 マコこそが真の聖女
愛し子の本気とざまぁ〜封印編 2〜
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瘴気と呼ばれる邪悪な気が発せられる根本である洞窟の前に立つ。
濃過ぎる瘴気を全身に浴び吐きそうになりながら、私は重そうな扉をゆっくりと開けた。と、同時に聖魔法を発動。洞窟ごと聖結界の中に封じ、瘴気をこれ以上漏れさせないようにした。
「女神様。いるでしょ?」
『いるわよ、マコ。私の愛し子。』
「あーね。ところでさ。この洞窟って、魔女のランディルが、昔封印された所だったよね?」
『そうよ。追っ手から逃げ、此処に隠れた事で、封印されたの。』
「そうだよね。……でもさ?おかしくない?」
『何が?』
「魔女は私が浄化したのに、何故ここはおかしいままなの?」
『私もそれは変だと思ったのよね。』
「だよね?ちょっと調べてみないといけなさそうね。」
私は、慎重に洞窟の奥へと進んで行った。
その頃
リック達は、瘴気を浴び凶暴化している魔獣達を次々に討伐していた。
(マコ。マコ。無事でいろ。)
リックはそれだけを祈りながら、剣を振り切り、魔獣どもを倒していく。それがマコの負担を少しでも軽減出来る事だと信じて。
「あった!そか。これが遺されていたんだね。」
私は真っ黒い黒曜石から発せられる、強烈な【怨み】の様な邪気感じ取った。
よし!これを浄化してしまえば……
そう考え、聖魔法を唱えようと魔法陣を貼った。と、その時!!
すざましい轟音と共に、真っ黒な龍が姿を現した。
《そこで何をしている!!》
黒龍の声は低く、肌を突き刺す刃の様に響く。
私を睨み付け、返答次第ではいつでも焼き払ってやるぞという思念が伝わってきた。
「魔女ランディルの呪いはもう消えたわ。貴方が彼女の意思が残るこの石を護る必要はないの。今すぐ此処を出て、貴方の国へ戻りなさい。」
《煩いことを言う人間だな。》
あからさまに人間を馬鹿にしている黒龍に、
「は?煩いとか意味わかんないんだけど?」
と負けじと応戦する。
すると黒龍は昔話を始めた。てか、この世界ってば昔話多くね?って思ったのは私だけじゃ……あぁ私だけだよね。あのチカって子が聞かされてるて事はなさそうだもん。
《俺は人間に怪我をさせられた事がある。それを治してくれたのが魔女ランディルだった…… おい!そこの人間!!》
「は?私?何?」
《俺が話してるのに、全然聞いてなかっただろ?巫山戯てんのか?》
黒龍は苛立ちを吐き出すように小さく火炎を飛ばしてきた。
「ちょっとあんた!!何すんのよ!火の玉飛ばすとか。危ないじゃん!」
私は火炎に当たりたく無くて、氷魔法でそれを固めてやった。
怒りの黒龍の火柱攻撃には氷の壁で対抗。
でも、だんだんと対抗するのが面倒になった私は、黒龍の次の攻撃が来る前に、黒曜石を抱いて速攻で聖結界を作り、その中に入ってやった。
怒りで何か吠えてる黒龍をガン無視した私は聖魔法を唱えた。
「古の女神、イズールの名の元、全ての邪気を払い浄化す。【purification】」
その頃洞窟の外では……
ギャーッ!!
叫び声と共に、勝手に絶滅する魔獣達
中にはあたふたと、急いで森の中へ逃げるものもいた。
「お……終わったのか?」
マコ達より半日程遅れて森に到着したカイル王子がポカーンとした顔で呟いた。
そんな王子を見たランスロットは内心、
(王から魔獣の押さえ込み司令が出てから此処まで来るのに、7日もかかるとはな。別に来なくても良かった気がするんだが…)と思ったが、口にはしないでいた。
ただ…おそらくではあるが、ここにいる全騎士団の隊員は同じ事を思っているであろう。
そんな中、ただ1人
森を見つめ微動だにしない男がいた。
左手首の組紐を右手で握り締めながら、愛しい恋人の無事だけを信じて。
濃過ぎる瘴気を全身に浴び吐きそうになりながら、私は重そうな扉をゆっくりと開けた。と、同時に聖魔法を発動。洞窟ごと聖結界の中に封じ、瘴気をこれ以上漏れさせないようにした。
「女神様。いるでしょ?」
『いるわよ、マコ。私の愛し子。』
「あーね。ところでさ。この洞窟って、魔女のランディルが、昔封印された所だったよね?」
『そうよ。追っ手から逃げ、此処に隠れた事で、封印されたの。』
「そうだよね。……でもさ?おかしくない?」
『何が?』
「魔女は私が浄化したのに、何故ここはおかしいままなの?」
『私もそれは変だと思ったのよね。』
「だよね?ちょっと調べてみないといけなさそうね。」
私は、慎重に洞窟の奥へと進んで行った。
その頃
リック達は、瘴気を浴び凶暴化している魔獣達を次々に討伐していた。
(マコ。マコ。無事でいろ。)
リックはそれだけを祈りながら、剣を振り切り、魔獣どもを倒していく。それがマコの負担を少しでも軽減出来る事だと信じて。
「あった!そか。これが遺されていたんだね。」
私は真っ黒い黒曜石から発せられる、強烈な【怨み】の様な邪気感じ取った。
よし!これを浄化してしまえば……
そう考え、聖魔法を唱えようと魔法陣を貼った。と、その時!!
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黒龍の声は低く、肌を突き刺す刃の様に響く。
私を睨み付け、返答次第ではいつでも焼き払ってやるぞという思念が伝わってきた。
「魔女ランディルの呪いはもう消えたわ。貴方が彼女の意思が残るこの石を護る必要はないの。今すぐ此処を出て、貴方の国へ戻りなさい。」
《煩いことを言う人間だな。》
あからさまに人間を馬鹿にしている黒龍に、
「は?煩いとか意味わかんないんだけど?」
と負けじと応戦する。
すると黒龍は昔話を始めた。てか、この世界ってば昔話多くね?って思ったのは私だけじゃ……あぁ私だけだよね。あのチカって子が聞かされてるて事はなさそうだもん。
《俺は人間に怪我をさせられた事がある。それを治してくれたのが魔女ランディルだった…… おい!そこの人間!!》
「は?私?何?」
《俺が話してるのに、全然聞いてなかっただろ?巫山戯てんのか?》
黒龍は苛立ちを吐き出すように小さく火炎を飛ばしてきた。
「ちょっとあんた!!何すんのよ!火の玉飛ばすとか。危ないじゃん!」
私は火炎に当たりたく無くて、氷魔法でそれを固めてやった。
怒りの黒龍の火柱攻撃には氷の壁で対抗。
でも、だんだんと対抗するのが面倒になった私は、黒龍の次の攻撃が来る前に、黒曜石を抱いて速攻で聖結界を作り、その中に入ってやった。
怒りで何か吠えてる黒龍をガン無視した私は聖魔法を唱えた。
「古の女神、イズールの名の元、全ての邪気を払い浄化す。【purification】」
その頃洞窟の外では……
ギャーッ!!
叫び声と共に、勝手に絶滅する魔獣達
中にはあたふたと、急いで森の中へ逃げるものもいた。
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そんな王子を見たランスロットは内心、
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ただ…おそらくではあるが、ここにいる全騎士団の隊員は同じ事を思っているであろう。
そんな中、ただ1人
森を見つめ微動だにしない男がいた。
左手首の組紐を右手で握り締めながら、愛しい恋人の無事だけを信じて。
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