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第2章 マコ巫女になる

初の大魔法は?

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「さてと。ここらで良いかな?」

此処は、領主カルディール侯爵様のお屋敷前。
といっても真正面では無く、東北の角。日本で言ったら鬼門きもんって呼ばれる方角にいる。

ちゃんと周りを確認して魔法陣を展開しないと失敗した時ヤバいから、見回りとか来ちゃう前にさくさくっとやってしまお。

私は教本を開いて呪文を確認。
精神統一して……
いざ!!

私は手を胸の前で組み詠唱を始める。

『ξδβ∧ΞζΘчжл…… 女神イズールの名のもとに』

天にかざした私の手の上に、大きな魔法陣が現れ、キィィィィンという小さな音を伴いながら大きく大きく広がっていく。
やがてそれは限りなく透明に近い色となり、半球体のバリアがドーム型となってそこそこ広いカルディール領をすっぽりと包んだ。



「ふぅ」
私はその場に座り込み、天を仰ぐ。
どうやら成功ぽいね。
これで毎日教会で祈れば、この結界が維持されるんだよね。

「はぁ……つっかれたぁ~。」

思った以上に魔力を消耗してしまった私は、歩いて帰れないと分かり、無けなしの魔力を総動員し詠唱えいしょう無しで魔法陣を展開し、転移魔法で修道院の自室に帰ると、そのまんま気絶したかの様に寝てしまった。

✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†

その頃領主様の御屋敷では…

「カルディール様。カルディール閣下。起きて下さい。」

「どうしたのだ、サルバルよ。こんな朝早くから慌てよって。」

領主カルディー侯爵は、寝室に慌てて入ってきた執事のサルバルに問うた。

「只今此方こちらに上がった報告によりますと、領地に張り巡らされた城壁に近づこうとした魔獣が…」

「魔獣がどうかしたのか!」

「はい。その魔獣が砦に手を伸ばした瞬間………昇天したのです。」

「は?昇天したとな?」

「はい。駆けつけた兵士によれば、あっという間に綺麗な光と共に消えたと。」

「消えたと言ったか。」

「閣下。あの噂は真だったのでは?」

「そう…だな。」

如何いかがしましょう。」

「司祭の所へアイツをやってくれ。」

「承知致しました。」

✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†

また一方教会では…

「マコ、やりおったな。」

天に膨大な魔力を感じ、空を仰ぎ見る司祭サウジ。

「イズール様。マコをお呼び下さり、真にありがとうございます。これで領地のみなが魔獣におびえる事無く暮らして行けます。」

サウジは、マコから預かっている護符ごふを取り出し、街の者たちがマコを求めて来るであろう魔法の代用品として物々交換の後渡す事にしようと考えた。

護符には、マコの治癒魔法と回復魔法がかけられており、痛みをともなう場所に貼れば、たちまち痛みも無くなるという護符だった。

「まぁ街の者は、護符よりマコに直接魔法をほどこして貰いたがるからなぁ。だが、訳を話せば理解してくれるじゃろうて。」

そう言ってサウジは、次に来るであろう客人を礼拝堂で待った。
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