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第四章 王子と私と時々貴女
11.生まれ変わった幼馴染みを見つけた僕 3
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僕が立てた仮説はこうだ
ナディアとアメリアは、それぞれの身体に生まれ変わった
というもの
マリリーンの話によれば、殿下は既にアメリアに生まれ変わったであろうナディアに会っているのだろう。がしかし、前の生の時と同じ様に、今は未だ、深く懇意にしてはいなさそうだ。ならば僕が先にナディア改めアメリアと親密な関係を結べは良い事。
前の生では、ナディアは幼い頃から既に殿下の婚約者だった為、僕の心に仄かに灯っていた気持ちが叶う事はなかったけれど、今の生で生まれ変わったであろう彼女に会った時、前の生と同じように彼女に惹かれたとしたら……。その時は今度こそ彼女をあらゆる仕打ちから、あらゆる人物から守り通す。
もう二度と彼女を不幸にはさせない
そう決めた僕は、早速生まれ変わったナディアを探し始めた。とは言っても、前の生で知っている情報くらいくらいでは、アメリアがどのパン屋にいるのかも特定出来ず、かと言って殿下から店名を聞くわけにもいかない。その前に、いくら侯爵家の三男だからと言っても、貴族の子供が自由に行動出来るわけではない。貴族の子供が移動する際は、必ず護衛がつかなければならい。しかもその人数は複数人必要になる為、他の家族の行動いかんによっては、護衛が足りなくなる場合があるからだ。
そして何より不自由になる原因は、我がアンバー家の事情にある。
我がアンバー家は歴代優秀な騎士を出し、王家に貢献している家柄である。当然三男の僕も、2人の兄上と同じように屋敷の敷地内にある訓練所で日々厳しい鍛錬を積み重ねている。
また剣術以外にも、侯爵家の者として相応しい知識を得たり振る舞いが出来る様になったりするために、学園に入学するまでの期間、家庭教師を家に招いて読み書き算術を覚える。それ以外にも、経済学や王国の歴史等の座学の授業やダンスレッスン、また楽器の演奏、はたまた絵画等の芸術分野についても学ばなければならない。
また、たまの休みがあったとしても、貴族の子息令嬢が集まる茶会への参加があったり、両親が参加するサロン等に呼ばれたりと非常に忙しく過ごさねばならず、市井に降りることもままならなかった。
だがそんな忙しい日々の中やっとの思いで彼女を見つけた。
あの日
クライシス侯爵令嬢に生まれ変わったあの女と同じように、アメリアに生まれ変わっているであろう彼女を見つけるのだと決めてからゆうに5年も経ってしまったわけだが、彼女を殿下に奪われる前に見つけられて良かったと思う。
何故未だ殿下に奪われる前だと分かったのかというと…
僕が彼女 アメリアを見つけた日
殿下は、彼女 ┄ 名目上は贔屓にしていたパン屋 ┄ を探す為、冒険者ギルドに捜索依頼を出しに来た。そして僕は、殿下の護衛騎士見習いとしてその一団の中にいたからだ。
人物(くどいようだが、名目上は店探し)の捜索依頼を冒険者ギルドに出しても無駄なのだけれど(殿下もそれは重々承知の上だったと思う。)、だが なかなか彼女を見つけられない。このままでは公務を行う為だけの貴族令嬢との政略結婚になるのは致し方ないにしろ、アメリアを愛妾に出来なくなるのまでは避けたい、なんとしてでも彼女を見つけたい、そう思ってのギルド訪問だったのだと思う。
だが、そんな殿下の想いとは裏腹に、ギルドの受け付け嬢は剣もほろろに依頼を受理しなかった。
当然と言えば当然の事であったのだけれど、殿下もなかなか引き下がろうとはしなかった為、ギルド内の雰囲気は最悪だったのを、ギルドの建物内には入らず開け放たれた扉の前で待機していた僕達護衛陣からでも感じ取れるくらいだったんだ。
そんな中、僕は建物内からそうっと出てきた1人の少女を見かけた。ギルド内にいる冒険者達は皆、受け付け嬢とやり取りをされている殿下に釘付けなのにも関わらず、その少女だけは、まるで、殿下に見つからないように、誰にも呼び止められないようにと、そっと足を忍ばせるかのように、でも足早にギルドの建物から立ち去ろうとしていたんだ。
ナディアとアメリアは、それぞれの身体に生まれ変わった
というもの
マリリーンの話によれば、殿下は既にアメリアに生まれ変わったであろうナディアに会っているのだろう。がしかし、前の生の時と同じ様に、今は未だ、深く懇意にしてはいなさそうだ。ならば僕が先にナディア改めアメリアと親密な関係を結べは良い事。
前の生では、ナディアは幼い頃から既に殿下の婚約者だった為、僕の心に仄かに灯っていた気持ちが叶う事はなかったけれど、今の生で生まれ変わったであろう彼女に会った時、前の生と同じように彼女に惹かれたとしたら……。その時は今度こそ彼女をあらゆる仕打ちから、あらゆる人物から守り通す。
もう二度と彼女を不幸にはさせない
そう決めた僕は、早速生まれ変わったナディアを探し始めた。とは言っても、前の生で知っている情報くらいくらいでは、アメリアがどのパン屋にいるのかも特定出来ず、かと言って殿下から店名を聞くわけにもいかない。その前に、いくら侯爵家の三男だからと言っても、貴族の子供が自由に行動出来るわけではない。貴族の子供が移動する際は、必ず護衛がつかなければならい。しかもその人数は複数人必要になる為、他の家族の行動いかんによっては、護衛が足りなくなる場合があるからだ。
そして何より不自由になる原因は、我がアンバー家の事情にある。
我がアンバー家は歴代優秀な騎士を出し、王家に貢献している家柄である。当然三男の僕も、2人の兄上と同じように屋敷の敷地内にある訓練所で日々厳しい鍛錬を積み重ねている。
また剣術以外にも、侯爵家の者として相応しい知識を得たり振る舞いが出来る様になったりするために、学園に入学するまでの期間、家庭教師を家に招いて読み書き算術を覚える。それ以外にも、経済学や王国の歴史等の座学の授業やダンスレッスン、また楽器の演奏、はたまた絵画等の芸術分野についても学ばなければならない。
また、たまの休みがあったとしても、貴族の子息令嬢が集まる茶会への参加があったり、両親が参加するサロン等に呼ばれたりと非常に忙しく過ごさねばならず、市井に降りることもままならなかった。
だがそんな忙しい日々の中やっとの思いで彼女を見つけた。
あの日
クライシス侯爵令嬢に生まれ変わったあの女と同じように、アメリアに生まれ変わっているであろう彼女を見つけるのだと決めてからゆうに5年も経ってしまったわけだが、彼女を殿下に奪われる前に見つけられて良かったと思う。
何故未だ殿下に奪われる前だと分かったのかというと…
僕が彼女 アメリアを見つけた日
殿下は、彼女 ┄ 名目上は贔屓にしていたパン屋 ┄ を探す為、冒険者ギルドに捜索依頼を出しに来た。そして僕は、殿下の護衛騎士見習いとしてその一団の中にいたからだ。
人物(くどいようだが、名目上は店探し)の捜索依頼を冒険者ギルドに出しても無駄なのだけれど(殿下もそれは重々承知の上だったと思う。)、だが なかなか彼女を見つけられない。このままでは公務を行う為だけの貴族令嬢との政略結婚になるのは致し方ないにしろ、アメリアを愛妾に出来なくなるのまでは避けたい、なんとしてでも彼女を見つけたい、そう思ってのギルド訪問だったのだと思う。
だが、そんな殿下の想いとは裏腹に、ギルドの受け付け嬢は剣もほろろに依頼を受理しなかった。
当然と言えば当然の事であったのだけれど、殿下もなかなか引き下がろうとはしなかった為、ギルド内の雰囲気は最悪だったのを、ギルドの建物内には入らず開け放たれた扉の前で待機していた僕達護衛陣からでも感じ取れるくらいだったんだ。
そんな中、僕は建物内からそうっと出てきた1人の少女を見かけた。ギルド内にいる冒険者達は皆、受け付け嬢とやり取りをされている殿下に釘付けなのにも関わらず、その少女だけは、まるで、殿下に見つからないように、誰にも呼び止められないようにと、そっと足を忍ばせるかのように、でも足早にギルドの建物から立ち去ろうとしていたんだ。
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