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第二章 私の逆行後(10歳)
3.私と親友
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本の登場人物の名前が、自死する前のナディアと、舞踏会でわたくし(ナディア)を貶める嘘をついたバレー男爵令嬢だという事以外、ナディアの家の爵位やナディアが家族から疎まれていたという違いはあれど、話の大筋は殆ど現実と同じでした。
「この本が予言書であるならば、わたくしはバレー男爵令嬢に生まれ変わったという事になるのでしょう。」
そういう結論に達したわたくしは、再度本を読み込み、これからわたくしがアメリアとして生きる為に必要な知識や、不要だと思われる出来事を回避する為の行動について学ぶ事にしました。
数刻程時が経った頃でしょうか。お母様、いえ"お母さん”が階下からわたくしを呼ぶ声が聞こえました。
わたくしは、本の中のアメリアと同じ様に、「はぁーい」と返事をし階下に下りました。
「今日はご馳走だよ」
とお母さんが仰るとおり、ダイニングテーブルの上には平民の夕餉としては、とても豪華といえるご馳走が並んでいました。
「本当ねお母さん。凄いで…凄いご馳走です…だね。」
平民の方達が使う口調に慣れていないわたくしは、ところどころつっかえながらもなんとかその場を乗り切り、お母さんが作ったご馳走に舌鼓を打ちました。
夕餉を終え、両親は、平民にとっては贅沢品とも呼べる高級な紅茶を飲みながら談笑していました。
わたくしはそんな彼等に
「お父さん、お母さん。私、明日はちょっとだけ遊びに行きたい所があり、あるの。だからお店のお手伝いは、その…」
「あ~。仲良しの雑貨屋のミリーちゃんと遊ぶ約束してんだね?」
「う、うん…そうなん、そうなの、お母さん。ミリーちゃんと遊ぶの。(ミリーちゃんて誰の事かしら?全く覚えがないわね。まぁいいですわ。明日考えましょう)いいかしら?」
「いいともさアメリア。おやつは持っていかなくてもいいのかい?」
「お、おやつ?何を持たせて下さいま…くれるの?」
「明日は朝から大量の注文が入っているんだ。それの準備を手伝ってくれたら、少し多めに作ってお前とミリーちゃんの分として持たせてあげるよ。」
「本当なの?お父さん!」
「あぁ。その代わり明日は早起きしてもらうぞ?大丈夫かい?」
「大丈夫で…だよ、お父さん。じゃ私、もう寝なくっちゃ。お父さん、お母さん。おやすみなさい。」
「「おやすみアメリア」」
アメリアとして生まれ変わった翌日
ぐっすり眠ったわたくし…いえ、私は、昨晩のお父さんとの約束を守ったご褒美に持たせてくれたおやつを持ち、いそいそと外出致しました。
本日の外出の目的は、予言書にあった事を確かめるためなのです。がその前に、私は寄り道をしようと思ったのです。
何故なら、
「昨日お母さんが言ってた、雑貨屋のミリーちゃんって子に会ってみましょうか。もしかしたら良いお友達になってくれるかもしれませんものね。」
という思いがあったからでした。
ミリーちゃんの住む雑貨屋さんは私のパン屋から5軒隣にありました。
「こんにちは。ミリーちゃんはいますか?」
と、雑貨屋さんの店のドアを開け首だけ中に差し入れてそう言いますと、
「アメリア!どうしたの?」
と言う、元気な女の子の声が聞こえたのです。
店の奥から出てきた女の子に、
「貴女がミリーちゃん?」
と聞くと、
「なぁに言ってんのよ、アメリアちゃん。親友のあたしの顔、忘れちゃった?」
と言って私の鼻をツンと突く女の子は、赤みが濃いめ茶色いクルクルのくせっ毛で、クリクリと大きな茶色の瞳持ち、鼻の頭のそばかすがチャーミングな子でした。
「この本が予言書であるならば、わたくしはバレー男爵令嬢に生まれ変わったという事になるのでしょう。」
そういう結論に達したわたくしは、再度本を読み込み、これからわたくしがアメリアとして生きる為に必要な知識や、不要だと思われる出来事を回避する為の行動について学ぶ事にしました。
数刻程時が経った頃でしょうか。お母様、いえ"お母さん”が階下からわたくしを呼ぶ声が聞こえました。
わたくしは、本の中のアメリアと同じ様に、「はぁーい」と返事をし階下に下りました。
「今日はご馳走だよ」
とお母さんが仰るとおり、ダイニングテーブルの上には平民の夕餉としては、とても豪華といえるご馳走が並んでいました。
「本当ねお母さん。凄いで…凄いご馳走です…だね。」
平民の方達が使う口調に慣れていないわたくしは、ところどころつっかえながらもなんとかその場を乗り切り、お母さんが作ったご馳走に舌鼓を打ちました。
夕餉を終え、両親は、平民にとっては贅沢品とも呼べる高級な紅茶を飲みながら談笑していました。
わたくしはそんな彼等に
「お父さん、お母さん。私、明日はちょっとだけ遊びに行きたい所があり、あるの。だからお店のお手伝いは、その…」
「あ~。仲良しの雑貨屋のミリーちゃんと遊ぶ約束してんだね?」
「う、うん…そうなん、そうなの、お母さん。ミリーちゃんと遊ぶの。(ミリーちゃんて誰の事かしら?全く覚えがないわね。まぁいいですわ。明日考えましょう)いいかしら?」
「いいともさアメリア。おやつは持っていかなくてもいいのかい?」
「お、おやつ?何を持たせて下さいま…くれるの?」
「明日は朝から大量の注文が入っているんだ。それの準備を手伝ってくれたら、少し多めに作ってお前とミリーちゃんの分として持たせてあげるよ。」
「本当なの?お父さん!」
「あぁ。その代わり明日は早起きしてもらうぞ?大丈夫かい?」
「大丈夫で…だよ、お父さん。じゃ私、もう寝なくっちゃ。お父さん、お母さん。おやすみなさい。」
「「おやすみアメリア」」
アメリアとして生まれ変わった翌日
ぐっすり眠ったわたくし…いえ、私は、昨晩のお父さんとの約束を守ったご褒美に持たせてくれたおやつを持ち、いそいそと外出致しました。
本日の外出の目的は、予言書にあった事を確かめるためなのです。がその前に、私は寄り道をしようと思ったのです。
何故なら、
「昨日お母さんが言ってた、雑貨屋のミリーちゃんって子に会ってみましょうか。もしかしたら良いお友達になってくれるかもしれませんものね。」
という思いがあったからでした。
ミリーちゃんの住む雑貨屋さんは私のパン屋から5軒隣にありました。
「こんにちは。ミリーちゃんはいますか?」
と、雑貨屋さんの店のドアを開け首だけ中に差し入れてそう言いますと、
「アメリア!どうしたの?」
と言う、元気な女の子の声が聞こえたのです。
店の奥から出てきた女の子に、
「貴女がミリーちゃん?」
と聞くと、
「なぁに言ってんのよ、アメリアちゃん。親友のあたしの顔、忘れちゃった?」
と言って私の鼻をツンと突く女の子は、赤みが濃いめ茶色いクルクルのくせっ毛で、クリクリと大きな茶色の瞳持ち、鼻の頭のそばかすがチャーミングな子でした。
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