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第一章 逆行前の私と彼女

4.逆行前の私(いわれなき事)

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兄が、陛下と殿下を懐柔なさったバレー男爵令嬢とそのご実家について調べて下さっていた間にその事件は起きましたの。


「ナディア=クライシス侯爵令嬢!私は本日この場にて、貴様との婚約を破棄!そして!改めて、私の"真実の恋”であるアメリア=バレー男爵令嬢と婚約する事を宣言する!尚、この件に関しては、既に陛下からの了承を得ている。よって、ナディア貴様からの異議等は一切受け付け無い!」

ここは年に一度行われる王家主催の舞踏会会場。

いつもであれば、殿下がおざなり・・・・でもわたくしをエスコートして下さって会場入りを致しますが、今宵の舞踏会は、殿下より直前にエスコートのお断りが当家に入りましたの。

致し方なく父のエスコートで会場入り致しましたわたくしは、学園で親しくして下さっている友人としばし歓談をしておりましたわ。

しばらく致しますと、軽快なファンファーレの音が聞こえ、王家の皆様が入場致しましたの。

両陛下に続き入場されました殿下は、ご自身の瞳の色と同じドレスを纏わせ、煌びやかな宝飾品を身につけたバレー男爵令嬢をエスコートされておられましたの。

これには会場にいらした全ての貴族の方々がとで驚かれ、ヒソヒソ話を始められましたわ。

でもそれは当然の事でございましょう。

何故って、わたくしは王位継承権第一位を持たれる殿下の婚約者であるにも関わらず、王家主催の舞踏会で殿下のエスコートではなく父のエスコートで入場したばかりではなく、わたくしの婚約者であるはず殿下は、わたくしでは無い令嬢をエスコートされてご入場したのですもの。
それに加え、たった今、大勢の貴族達が玉座を見つめる中、わたくしをご自身の目の前に呼びつけ、婚約破棄宣言をなさったのですから。

「殿下。わたくしに発言をお許しくださいますでしょうか?」
と問えば
「ふん!まぁ良い。どうせ貴様とは金輪際会う事も話す事も無いのだ。国外追放前に少しくらいの恩赦を与えてやってもいいだろう。何だ?申してみよ。あ~婚約破棄への異議は受け付けぬぞ。」
と、殿下は渋々ながらもわたくしの発言をお許しくださいました。

「お許し下さりありがとう存じます。では殿下。先程仰られたわたくしへの国外追放の理由は、わたくしのどんな失態によるものなのでございましょうか。」
とお聞きすると、
「理由だと?何を申しておるのだ?ナディアよ。貴様は私と真実の恋で結ばれた愛しいアメリアを嫉妬のあまり嫌がらせをしておったのであろう!」
「わたくしがでございますか?殿下。誓ってわたくしは、バレー男爵令嬢に嫌がらせなどしてはございません!」
「嘘を申すでない!見苦しいぞナディア!」
「嘘などつくはずございません!」
「アメリアがそう申しておるのだ!貴様から数々の嫌がらせを受けたとな!!」
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