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第八章 断罪された人々

第5話 断罪のその後~京極利樹side〜

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ったく冗談じゃない!
なんで俺が巻き込まれなきゃならないんだ。

桃花が事件をおこした時、俺は彼女の婚約者だからといって保釈金を払ってくれと社長から言われた時は、吃驚したと同時に、社長に対して怒りがわいた。
当然即断った。
なんでただの婚約者の俺が、まだ役員に昇格もされてない俺が、桃花の為に俺の金を払わないといけないんだ?
親が払うのが当然だろ。

以前社長は、誘拐されかけた百合香に対して、身の代金を払いたくないから地味になれ!と言ってやった事があると、俺と酒を飲んでいる時に言っていた。
あれは……百合香が白金の家を出ていった頃だ。
社長や奥さん、それに桃花から虐待紛いの仕打ちを受けた事で百合香は出ていったんだったよな。
それも、部屋に黒髪のウィッグと眼鏡を残して。

って事は、空港で連城弁護士と会った時に、彼等の近くにいた金髪美女はおそらく百合香だな。
幼馴染みの俺にバレたく無くて咄嗟に演技したんだろうが、俺の目は誤魔化されない。

アイツは昔から俺にくっついてきたから、俺が優しくしてやればニコニコしてついて来るハズだ。

そうと決まれば、早いとこ桃花との婚約を破棄しちまわないといけないな。
どうせこの会社ももう直ぐ終わるだろうし、とっとと辞めてしまおう。

で、百合香を探して、櫻井の爺様の所まで連れて行けばたんまりご褒美を貰って、ついでに百合香と結婚すりゃあいい。
sirogane.co乗っ取りは叶わなかったが、百合香を手懐けさえすれば、起業だって夢じゃないよな。

俺は桃花との婚約を破棄し、sirogane.coを辞め、百合香の行方を探し始めた。

闇雲に探しても埒があかないからと思い、連日連城弁護士事務所の前で百合香が来るのを待っていたら、弁護士事務所からストーカー被害の相談を受けたと警察から言われ、二度と連城に近づけなくなってしまった。

仕方なく俺は直接櫻井記念病院へと足を運んだ。
桃花に誘拐された百合香の友達がここに入院しているからだ。
百合香は絶対ここに見舞いに来ると思った。
だが、その女がまだ入院中かどうかを聞こうと思ったが女の名前が分からなかった俺は、受付で「百合香さんの友達で…銀行の……」とその女について説明した。だが全く用を得ず、挙句不審者扱いを受け、敷地外へ警備員に連れ出されてしまった。
そこで俺は1週間、病院の敷地に入らず百合香が現れるのをひたすら待った。
雨の日も風の日も車の中でただ待ち続けていると、ある日車の窓ガラスをコンコンと叩く者がいる。
俺は慌てて窓を下げると、

「京極利樹君だね?」

と白衣姿の中年男性。

「は、はい。貴方は?」

「私はこの病院の者だ。君のお目当ての患者さんはとうの昔に退院されているよ。だから金輪際ここに来ないでくれないか?通院患者さんが怖がっているからね。これ以上続くのなら、警察と親御さんに電話させて貰うが?」

と笑顔で威圧された。

俺は一目散にその場を離れた。
クソッ!!これじゃ百合香に会えないじゃねぇか。
一旦実家に帰ると、親父から呼び出された。

「お前はどれだけ人様に迷惑をかければ気が済むんだ!いい歳をして恥ずかしくは無いのか?これ以上京極の看板を汚されては敵わん。荷物を纏めて出ていけ!!」

凄い剣幕で親父から怒られ、俺は訳も分からず屋敷を追い出された。
当然出ていく時、玄関の鍵も取られてしまった。

給料は貰ってすぐに使ってしまう俺は、貯金が殆どない。
仕方なくクレジットカードでキャッシングをと思うが、借りれる金額は僅かなものだった。

どうにかしないと俺の人生詰んでしまう。

「百合香~」

頼む!俺を……俺を助けてくれ

俺の願いはこの夜風によって百合香の元に届くだろうか……
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