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第14章 ブス姉の幸せ
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ザック様の言葉でリーナを見た私が漏らした「誰?」という言葉は、驚愕のあまり、ポロりと口から漏れ出てしまったものだったの。
妖精達の怒りを買ったリーナは、身体を固定されお湯をかけられ、びしょ濡れ状態だったわ。そんな状態で頭を上げたリーナの顔は…白粉や眉墨、頬紅も口紅も前世でいうアイシャドウも何もかも剥がれ落ちボロボロの状態。一言で言うならば、お化け屋敷の〖お化け〗メイクだったの。
「ひえっ!ば、化け物」
と言って後ずさるハワード殿下に、
「化け物だなんて……酷いです、ハワード様。」
と妖精達によって身体の大部分の身動きが取れなくさせられている中で、少しだけ動かす事が出来る手だけを動かして殿下に縋ろうとするリーナ。
その姿は、案山子の手袋が風にぷらぷら揺れている様だったわね。
そもそもなんで、リーナの顔はあそこまでボロボロになったのかしら?
確かに、体型がお子ちゃまのままなのは遺伝子とかの関係で致し方のない事でしょうけれども、あそこまで厚化粧をせずとも、リーナはそこそこ可愛らしかったハズだ。なのに何故あれ程塗りたくったのかしら。
そう思った私は、リリアンとウォルターに頼んで精製した化粧落としを、自宅で栽培して作成したコットンに含ませると、ザック様のお膝から下りてリーナの元へと歩き出したの。
「ジェーン。大丈夫なのか?」
と慌てるザック様に、
「大丈夫ですわ。安心なさって」
と笑顔でそう返し、リーナの前までやって来たの。そして
「じっとしていなさい」
と言って落ちた化粧を拭き取ってあげようとしたのだけれど、あろう事か、リーナは私に唾を吐きかけたの。
流石に私も、そのリーナの失礼極まりない行動には怒髪天を衝いちゃったのよ。だから
「何すんのよ!汚いわね!」
と言って、リーナの頬を思いっきり叩たいてやったわ。
そのせいでなのは分かりきっている事ではあるのだけれど、リーナは鳩が豆鉄砲をくらったかのように驚きの表情をその化粧の崩れまくった顔に浮かべたものだから、私の怒りの溜飲ぎ少しは下がったわ。なのだけれど、さっきリーナの顔をクレンジングしてあげようと思って用意していたコットンは、リーナではなく私の顔にかかったリーナの唾を拭き取る事にしたの。
え?ならリーナの顔はどうするのかですって?
そんなの、そのままにするに決まってるじゃない。だっていくら彼女にとって訳の分からない力で動きを止められているとはいえ、人に唾を吐くだなんて、人として有り得ない行為だもの。絶対に許すわけないわ
私はウィンディにお願いして、化粧直しの間だけ使う風のメイクルームを作って貰い、ウォルターに水鏡を作ってもらうと、顔全体にかかってしまったリーナの唾をコットンで拭き取り、ドレスのポケットにしまってあった携帯メイク道具でササッと化粧直しをしたの。
化粧直しを終え空間から扇子を広げて出た私
きっと凄く好戦的な目をしていたと思うわ。
だって、リーナは尋常ではないくらい怯えていたし、マリヴェル公爵夫妻の顔からは表情が無くなっていたんだもの。
逆にランドルフ公爵夫妻やウィンザー伯爵御一家の面々の顔は、とても嬉しそうだったわね。
「さぁ!貴女達の罪を数えましょうか」
私は広げていたユーリブランドのレースを貼った扇子をパチンと閉じると、それでリーナのぺたんこな胸をトンっと一突きしてそう言ったのよ。
妖精達の怒りを買ったリーナは、身体を固定されお湯をかけられ、びしょ濡れ状態だったわ。そんな状態で頭を上げたリーナの顔は…白粉や眉墨、頬紅も口紅も前世でいうアイシャドウも何もかも剥がれ落ちボロボロの状態。一言で言うならば、お化け屋敷の〖お化け〗メイクだったの。
「ひえっ!ば、化け物」
と言って後ずさるハワード殿下に、
「化け物だなんて……酷いです、ハワード様。」
と妖精達によって身体の大部分の身動きが取れなくさせられている中で、少しだけ動かす事が出来る手だけを動かして殿下に縋ろうとするリーナ。
その姿は、案山子の手袋が風にぷらぷら揺れている様だったわね。
そもそもなんで、リーナの顔はあそこまでボロボロになったのかしら?
確かに、体型がお子ちゃまのままなのは遺伝子とかの関係で致し方のない事でしょうけれども、あそこまで厚化粧をせずとも、リーナはそこそこ可愛らしかったハズだ。なのに何故あれ程塗りたくったのかしら。
そう思った私は、リリアンとウォルターに頼んで精製した化粧落としを、自宅で栽培して作成したコットンに含ませると、ザック様のお膝から下りてリーナの元へと歩き出したの。
「ジェーン。大丈夫なのか?」
と慌てるザック様に、
「大丈夫ですわ。安心なさって」
と笑顔でそう返し、リーナの前までやって来たの。そして
「じっとしていなさい」
と言って落ちた化粧を拭き取ってあげようとしたのだけれど、あろう事か、リーナは私に唾を吐きかけたの。
流石に私も、そのリーナの失礼極まりない行動には怒髪天を衝いちゃったのよ。だから
「何すんのよ!汚いわね!」
と言って、リーナの頬を思いっきり叩たいてやったわ。
そのせいでなのは分かりきっている事ではあるのだけれど、リーナは鳩が豆鉄砲をくらったかのように驚きの表情をその化粧の崩れまくった顔に浮かべたものだから、私の怒りの溜飲ぎ少しは下がったわ。なのだけれど、さっきリーナの顔をクレンジングしてあげようと思って用意していたコットンは、リーナではなく私の顔にかかったリーナの唾を拭き取る事にしたの。
え?ならリーナの顔はどうするのかですって?
そんなの、そのままにするに決まってるじゃない。だっていくら彼女にとって訳の分からない力で動きを止められているとはいえ、人に唾を吐くだなんて、人として有り得ない行為だもの。絶対に許すわけないわ
私はウィンディにお願いして、化粧直しの間だけ使う風のメイクルームを作って貰い、ウォルターに水鏡を作ってもらうと、顔全体にかかってしまったリーナの唾をコットンで拭き取り、ドレスのポケットにしまってあった携帯メイク道具でササッと化粧直しをしたの。
化粧直しを終え空間から扇子を広げて出た私
きっと凄く好戦的な目をしていたと思うわ。
だって、リーナは尋常ではないくらい怯えていたし、マリヴェル公爵夫妻の顔からは表情が無くなっていたんだもの。
逆にランドルフ公爵夫妻やウィンザー伯爵御一家の面々の顔は、とても嬉しそうだったわね。
「さぁ!貴女達の罪を数えましょうか」
私は広げていたユーリブランドのレースを貼った扇子をパチンと閉じると、それでリーナのぺたんこな胸をトンっと一突きしてそう言ったのよ。
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