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第13章 ブス姉が幸せになる為に(明かされる真実)
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え?妖精王ですって?
「貴方様が妖精王ランカスター様ですの? 」
目の前におられる美男子らしき美声に慌てて最上級の臣下の礼をとりつつ問う。
らしきと言ったのは、彼の周りの光が眩し過ぎて直視出来ず、彼の顔の造形が判断出来ないからなのだけれど、とりあえず私より目上の方なのだからと思い、しっかりと礼儀は弁えないと。ま、当然っちゃ当然なのだけれどね。
『如何にも。我が名はランカスター。この国の長を務める者だ。』
そう美声で仰る妖精王様のお言葉を、私は頭を下げたままお聞きする。勿論、王からのお許しがあるまで、私は平身低頭のまま無言のままだ。
『苦しゅうない。面を上げよ、愛し子よ』
と言われやっと顔を上げると、そこには美声に相応しいとんでもない美男子が、ギリシャ神話に出てくる神々の様な白い布を、ドレープをたっぷりあしらって作られたような服を着た男性が立っていたの。
そこで私は
「お初にお目にかかります、妖精王ランカスター様。私はアンジェリータ=ランドルフと申す者にございます。この度は、妖精国にお導き下さり誠にありがとう存じます。」
と再度臣下の礼を取り頭を下げた後、もう一度顔を上げ、ランカスター様の胸の辺りを見つめたの。
すると
『我の国によくぞ来てくれたな、我が愛し子よ。成程。そなたの祖母に面差しがよく似ている。』
と慈悲深い瞳でもって優しい声色でそう仰ったの。
(え?私がランドロフ公爵家のお祖母様に似ている?あぁそうか。そういうことなんだね。マリヴェル公爵家のご夫妻とは、確かにあんまり似ていないなぁて思ってたけども、私と彼等は本当の親子じゃなかったんだから仕方ないよね。一応幼い頃は、彼等に愛されたくて…いや自分もマリヴェル公爵家の一員だと思いたくて、彼等と似てる所探した時期もあったけれども。でも見つけた部位は無理矢理こじつけた感満載だったもの。漸く納得出来たわ。あの人達と私は血が繋がってないんだもの、似てるわけがないのよ。なのに必死だったとか…ホント笑っちゃうわよね。)
と自嘲気味にそう考えれば、自然と浮かんでしまう苦笑い。
そんな私をご覧になって可愛らしく首を傾げておられる妖精王様に、
「私の長年の悩みを解消して下さりありがとう存じます。これからは自信を持って生きていかれますわ。」
と微笑みを返せば、
『そうか。それは良かった。我も愛し子の悲しい顔は見たくないのでな。』
と仰る妖精王。
そう言えば、先程から愛し子 愛し子って言ってらっしゃるけど、それって勘違いじゃなくても私の事よね?
一応確認の為に聞いておこうかしら
と思った私は恐る恐る妖精王様にその疑問をぶつけてみたの。すると
『無論、我の愛し子とはそなたの事で間違ってはおらぬ。そなたの祖母が儚くなってから、全属性の妖精達の加護を持つ者が現れずにおったのだ。がしかし、漸く、それぞれの属性の妖精達が認めた者がそなただったのだ。』
と妖精王様はにこやかな表情でそう仰り、
『さぁ愛し子よ。そなたの妖精達をここに呼びなさい』
「畏まりました、妖精王様。出てきて頂戴!リリアン。グランツ。ウィンディ。ファイヤード。それにトゥーリスもウォルターも」
と両の手を広げてそう言うと、六体の可愛らしい私の妖精達が現れ、私の周りをクルクルと飛び回ったの。
それをご覧になった妖精王様は
『お前達。良い名を授かったのだな。お前達が認めたこの者がこれから我の愛し子とする。これからもこの者を護っていくのだぞ。』
と、私の妖精達にそう仰ったの。すると彼等は嬉しそうに妖精王様の周りにも飛び回り、一体ずつ妖精王の頬に口付けていたわ。
どうやら妖精国の愛し子の決め方は、全属性の妖精達が加護を与えた人間にするって事のようね。妖精王自らが決めるのではないのだわ。
私は一人そう納得しながら、『これからも宜しくね』と言って飛び交う私の妖精達に「勿論よ。私からも宜しくね」と返事を返していったの。
「貴方様が妖精王ランカスター様ですの? 」
目の前におられる美男子らしき美声に慌てて最上級の臣下の礼をとりつつ問う。
らしきと言ったのは、彼の周りの光が眩し過ぎて直視出来ず、彼の顔の造形が判断出来ないからなのだけれど、とりあえず私より目上の方なのだからと思い、しっかりと礼儀は弁えないと。ま、当然っちゃ当然なのだけれどね。
『如何にも。我が名はランカスター。この国の長を務める者だ。』
そう美声で仰る妖精王様のお言葉を、私は頭を下げたままお聞きする。勿論、王からのお許しがあるまで、私は平身低頭のまま無言のままだ。
『苦しゅうない。面を上げよ、愛し子よ』
と言われやっと顔を上げると、そこには美声に相応しいとんでもない美男子が、ギリシャ神話に出てくる神々の様な白い布を、ドレープをたっぷりあしらって作られたような服を着た男性が立っていたの。
そこで私は
「お初にお目にかかります、妖精王ランカスター様。私はアンジェリータ=ランドルフと申す者にございます。この度は、妖精国にお導き下さり誠にありがとう存じます。」
と再度臣下の礼を取り頭を下げた後、もう一度顔を上げ、ランカスター様の胸の辺りを見つめたの。
すると
『我の国によくぞ来てくれたな、我が愛し子よ。成程。そなたの祖母に面差しがよく似ている。』
と慈悲深い瞳でもって優しい声色でそう仰ったの。
(え?私がランドロフ公爵家のお祖母様に似ている?あぁそうか。そういうことなんだね。マリヴェル公爵家のご夫妻とは、確かにあんまり似ていないなぁて思ってたけども、私と彼等は本当の親子じゃなかったんだから仕方ないよね。一応幼い頃は、彼等に愛されたくて…いや自分もマリヴェル公爵家の一員だと思いたくて、彼等と似てる所探した時期もあったけれども。でも見つけた部位は無理矢理こじつけた感満載だったもの。漸く納得出来たわ。あの人達と私は血が繋がってないんだもの、似てるわけがないのよ。なのに必死だったとか…ホント笑っちゃうわよね。)
と自嘲気味にそう考えれば、自然と浮かんでしまう苦笑い。
そんな私をご覧になって可愛らしく首を傾げておられる妖精王様に、
「私の長年の悩みを解消して下さりありがとう存じます。これからは自信を持って生きていかれますわ。」
と微笑みを返せば、
『そうか。それは良かった。我も愛し子の悲しい顔は見たくないのでな。』
と仰る妖精王。
そう言えば、先程から愛し子 愛し子って言ってらっしゃるけど、それって勘違いじゃなくても私の事よね?
一応確認の為に聞いておこうかしら
と思った私は恐る恐る妖精王様にその疑問をぶつけてみたの。すると
『無論、我の愛し子とはそなたの事で間違ってはおらぬ。そなたの祖母が儚くなってから、全属性の妖精達の加護を持つ者が現れずにおったのだ。がしかし、漸く、それぞれの属性の妖精達が認めた者がそなただったのだ。』
と妖精王様はにこやかな表情でそう仰り、
『さぁ愛し子よ。そなたの妖精達をここに呼びなさい』
「畏まりました、妖精王様。出てきて頂戴!リリアン。グランツ。ウィンディ。ファイヤード。それにトゥーリスもウォルターも」
と両の手を広げてそう言うと、六体の可愛らしい私の妖精達が現れ、私の周りをクルクルと飛び回ったの。
それをご覧になった妖精王様は
『お前達。良い名を授かったのだな。お前達が認めたこの者がこれから我の愛し子とする。これからもこの者を護っていくのだぞ。』
と、私の妖精達にそう仰ったの。すると彼等は嬉しそうに妖精王様の周りにも飛び回り、一体ずつ妖精王の頬に口付けていたわ。
どうやら妖精国の愛し子の決め方は、全属性の妖精達が加護を与えた人間にするって事のようね。妖精王自らが決めるのではないのだわ。
私は一人そう納得しながら、『これからも宜しくね』と言って飛び交う私の妖精達に「勿論よ。私からも宜しくね」と返事を返していったの。
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