妹よりブスな姉の幸せ

第13章 ブス姉が幸せになる為に（明かされる真実）

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「さぁ着いた。ここだよ。ここに君のお祖母様と家族が眠っているんだ。」
そう仰って、ランドルフ公爵家の敷地内にある教会の扉を開けたオースティンお義父様は、私の手を引いて中に入ったの。

教会の中は少しひんやりしていたわ。大理石をふんだんに使用して建てられていたからかもしれないわね。
そして何より私の目をひいたのは、扉を入ると見える、正面の大きなステンドグラスだったの。
前世で入った事のある教会のステンドグラスは、聖母マリア様や天使等が描かれているのが多かった記憶があるのだけれど、ランドルフ公爵家の教会のは、色んな色で象られた妖精らしきものが飛んでいて、それ等の近くには火や風、花や水等、それぞれの妖精の属性を示すモチーフが描かれていたの。

「綺麗…」
思わず言葉が口から漏れてしまったのは言うまでもないわね。

そしてそのステンドグラスを背景にして、その前に立っていた真っ白い石像。これも前世のものとは全く違っていたわ。
「お義父様。こちらの像は？」
「あぁこれかい？これは妖精王のお姿だよ。」
「え？妖精王ですの？お義父様は妖精王にお会いした事が？」
と、私と手を繋いだまま横に立たれているオースティンお義父様を見上げると
「残念ながら私はお会いした事は無いんだ。像これは、今は亡き母上から、私がお聞きした妖精王のお姿を絵描きに描いて貰い石像化してもらったのだよ。」
「そうでしたの。愛し子であらせられたお祖母様でしたら、妖精王にお会いした事があるのは当然ですわね。いつか私わたくしも妖精王にお目にかかれたらどんなに……！え？な、何!?」
私が妖精王にお会いしたいと、目の前の石像にオースティンお義父様から離した手を胸の前で組み、石像にそう願ったその途端！
私は眩い程の真っ白光に包まれたの。そうしてサァーッと強い風が吹いたかと思うと、私はその光の中に吸い込まれてしまいそうだった。

「な、何事だ！アンジー！何処だッ！アンジー！返事をしなさい!!アンジェリーターーーー!!」
オースティンお義父様の私の名を呼び叫ぶ声が聞こえたけれど、強い風にかき消され「お義父さまーーー」と呼ぶ私の声はお義父様に届かない。まして、光がとても眩しくて、お義父様のお姿が全く見えなかったの。だからお声が聞こえる方へと必死に手を伸ばしたのだけれど、お義父様彼にそれが届くことはなかったわ。
そして私は光の中へと完全に吸い込まれてしまったの。


暫くすると強い風が収まっていた

私は、きつく閉じていた瞼を開ける。とそこは、大きな宮殿の大広間の様な場所だったの。

「こ…ここは何処？」
『ここは妖精国よ、アンジー』
「その声は…リリアン？リリアンなの？」
『えぇ。私は花の妖精リリアン。ようこそ、私達の国へ』
「え？リリアン達の国？あぁ…貴女の姿が見たいわ。お願い、姿を見せてちょうだい。」
『もう直ぐ妖精王 ランカスター様が来られるわ。少しそこで待っててちょうだいね。』
そう言ってリリアンは姿を見せてくれる事もなく、声も聞こえなくなってしまったの。

流石に心細くなって一人で震えていると、フワリと優しい風が吹いてきたわ。そして

『よく来た、我が愛し子よ！』

と言う、低くて優しい声色の男性の声が聞こえたの。