妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

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第13章 ブス姉が幸せになる為に(明かされる真実)

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マーサのお祖母様ルミエール=フォルミール男爵夫人(当時四十代後半)とそのご家族は、命からがら帝国から逃げ出した後、右も左も分からぬ地で途方に暮れていたそう。
一先ず教会に身を寄せていると、そこに前マリヴェル公爵夫人が教会に寄付をしに来たという。
マリヴェル前公爵夫人は、自身の領地に最近赤子を産んだ嫁がいるのだけれど、その赤子は数日で亡くなってしまった。赤子を亡くし毎日哀しんでいる嫁が早く元気になって欲しいと毎日教会ここに祈りに来ているのだと言っていたのだそう。
そんな時、二人の幼子(一人は赤子、もう一人は幼児)に代わるがわる乳を飲ましたり食事の世話をしているフォルミール男爵夫人の娘 ┄ つまりはマーサのお母様 ┄ をご覧になり話しかけたというの。
マリヴェル前公爵夫人は、子を亡くし哀しみの中にいる嫁に元気を取り戻して欲しい。
「二人の子の赤子の方をどうか我が公爵家に引き取らせて欲しいの。」
とそう仰ったのだ。
前公爵夫人に懇願された赤子はランドルフ公爵家のお嬢様。孫もさることながら、高貴なご身分のお嬢様を、おいそれと見ず知らずの家に預けるわけにはいかない。
それに今は逃亡中の身だが、帝国での騒動が収まり次第帰るつもりだったフォルミール男爵夫人は、初めはその話を丁重にお断りしたという。が、ランドルフの旦那様ご夫妻が第二皇子派の手により亡きものにされた事、また公爵家のお坊ちゃまも赤子の姉君であるお嬢様も殺されてしまった事。それにより、第二皇子派の貴族達を粛清する為にオースティン様が公爵位を継ぎ奔走されている事を、ランドルフ公爵家に残っているフォルミール男爵 ┄ 男爵はランドルフ家の料理人 ┄ からの密通によって知ったのだ。
未だ混乱が続く帝国に、幼子達を連れて帰る事わけにはいかない。第二皇子派の残党が残っていて、奴らに見つかってしまえば、お嬢様も自分達も殺されしまうだろう。
それでは、お嬢様を自分に託して下さった旦那様や奥様に申し訳が立たない。
だからといって、このままこの国にいても、生活も出来ない状態では、お嬢様だけでなく我が子とその孫迄路頭に迷ってしまう。そう考えたフォルミール男爵夫人は、マリヴェル前公爵夫人のお申し出を受ける事にしたという。

「ありがとう。ありがとう。これで嫁も少しは元気を取り戻すと思うわ。」
と赤子を抱いたマリヴェル前公爵夫人は涙ぐんだそうよ。そして
「そうだわ。貴女達も公爵家で雇い入れて差し上げましょう。いつまでも教会ここにお世話になっているわけにもいかないのでしょう?それに当家で仕事をしていれば、この赤子の事も見守る事も出来るのですもの。一石二鳥ではなくて?」
と提案され、フォルミール男爵夫人は娘とその孫(サマンサ)を連れてマリヴェル公爵家で住み込みの侍女として働く事になったそうなの。
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