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第五章 ウィンザード領での生活
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「出ておいで。フゥ!ヴァン!」
と仰ったアイザックス様の前に、突如現れた小さな二体の妖精。
裸体で現れた妖精はアイザックス様の周りを楽しそうに飛び回っていたの。
どうやら彼等は、男の子の妖精の様ね。
まぁ、妖精なので人間の様に性別が分かる体つきはしてないのだけれど、雰囲気でなんとなく性別は分かるのよ。
「フゥは火の精、ヴァンは風の精だよ。フゥ、ヴァン。アンジェーヌ嬢だ。挨拶してくれるか?」
とアイザックス様に言われ、二体の妖精は
「アンジェーヌ様ですね。僕はフゥです
。宜しくお願いします。」
「僕はヴァンです。宜しくお願いします、アンジェーヌ様。」
と礼儀正しく挨拶してくれたの。
「アンジェーヌと申しますわ。フゥ・ヴァン、宜しくお願い致しますわね。」
と、私も彼等にご挨拶を返したわ。
するとアイザックス様が、
「私達にもアンジェーヌ嬢の妖精達を紹介して頂けませんか?」
と仰ったので、
「分かりましたわ。リリアン、グランツ、ウィンディ、ファイヤードトゥーリスにウォルター。皆出てきて頂戴。」
と言うと、「はぁい!」と声が聞こえ、全員揃って出てきてくれたの。
「アンジー。呼んだ?」
「どうした?アンジー。」
リリアンとグランツが話しかけてきたから、
「あなた達は、さっき妖精同士で話をしたのでしょ?だからフゥとヴァンの事は知ってるのだと思いますけれども……。でも、此方の男性の事は知らないわよね?だから紹介するわ。この方は、妖精のヴァンとフゥの加護を貰っていらっしゃるというアイザックス=ウィンザード伯爵令息様よ。皆、ご挨拶お願いね。」
と言うと、六体の妖精達は
「「「「「「宜しくね。アイザックス様」」」」」」
と可愛らしく上手に挨拶をしてくれたわ。
はい、皆とてもよく出来ましたね。
「ウィンザード伯爵令息様。ご紹介申し上げますわ。私に妖精の加護を与えてくれている、花の精のリリアン。土の精のグランツ。風の精のウィンディ。ファイヤードは火の精。トゥーリスは木の精で、水の精のウォルターですわ。彼等が着ている服の色で、属性がお分かりになるかと存じますけれど……。」
と、一体一体リリアン達の名前を呼びながら紹介すると、改めてリリアン達は、まるで貴族の様に、アイザックス様に礼をしたのよ。
皆ったら…
そんな事、いつの間に覚えたのかしらね。
「凄いですね!アンジェーヌ嬢は六体もの妖精から加護を受けていらっしゃるのですね。」
「えぇ。そう、ですわね。」
と答えると、アイザックス様は興奮されたのか、
「一つお聞きしても宜しいですか?アンジェーヌ嬢。貴女はいつから妖精達の加護を?」
と聞いてこられので、
「え~と……いつからでしたでしょうか……確か…物心ついた頃には受けていたのだと思いますけども、マリヴェル公爵様に、リリアン達の排除を頼まれた神父様から、『お父様を悲しませたくなければ彼等の事を忘れるように。』と言われていましたので、彼等の事を封印していたんですの。全てを思い出しましたのは、十七になりました頃の時ですわね。」
と答えたの。
するとアイザックス様は、私の言葉に何度も頷かれ、その後また私に質問をぶつけてきたのよ。
「そうだったのですね。ところでアンジェーヌ嬢?」
「なんでしょう?ウィンザード伯爵令息様。」
「俺も貴女の妖精達と同じ様に、貴女を愛称で呼んでも?」
あらっ?突然一人称の言い方が変わったばかりでなく、愛称呼び伺い?
まぁ別に構わないわよね?
私は貴族ではないのですもの。
それにアイザックス様は貴族なんだもの、彼の希望に逆らうなんて出来ないわ。
「どうぞ。ウィンザード伯爵令息様のお好きにお呼び下さいませ。」
「そう?好きに呼んで良いんだね?では、『ジェーン』と呼ばせて貰うとしよう。」
『ジェーン』
アンジーでもなくジェーン
なんか、私の呼び名が一つ増えた感あるけど……。ま、良いわ。私のスローライフの為だものね。
「畏まりましたわ、ウィンザード伯爵令息様。今後とも宜しくお願い致しますわね。」
こうして私の名前は
アンジェーヌ
アンジー
ユーリ
そして
ジェーン
と四つに増えましたの。
すると……
コンコン
「お話中失礼致します、お嬢様。そろそろお出になりませんと、今夜と明日の朝は何も食べずに過ごす事になりかねませんわ。」
と、サロンの扉をノックする音の後、マーサがナイスタイミングで声をかけてくれたの。
「そうでしたわね。教えてくれてありがとう、マーサ。ウィンザード伯爵令息様?大変申し訳ございませんが、これから出かけなくてはなりませんの。ですので本日はこれで…「買い出しに行くんだね?じゃ、俺も一緒に行くよ。」え?アイザック……。失礼致しました。ウィンザード伯爵令息様もご一緒にでございますか?」
「そうだよ?領主の息子が行った方が何かと優遇されるだろ?あ~。それから俺の事は『ザック』って呼んで欲しいな。いいだろ?ジェーン?」
とアイザックス様はコテンと首を傾げながらそう仰ったの。
ったく……男前なのに可愛いかよ。
と仰ったアイザックス様の前に、突如現れた小さな二体の妖精。
裸体で現れた妖精はアイザックス様の周りを楽しそうに飛び回っていたの。
どうやら彼等は、男の子の妖精の様ね。
まぁ、妖精なので人間の様に性別が分かる体つきはしてないのだけれど、雰囲気でなんとなく性別は分かるのよ。
「フゥは火の精、ヴァンは風の精だよ。フゥ、ヴァン。アンジェーヌ嬢だ。挨拶してくれるか?」
とアイザックス様に言われ、二体の妖精は
「アンジェーヌ様ですね。僕はフゥです
。宜しくお願いします。」
「僕はヴァンです。宜しくお願いします、アンジェーヌ様。」
と礼儀正しく挨拶してくれたの。
「アンジェーヌと申しますわ。フゥ・ヴァン、宜しくお願い致しますわね。」
と、私も彼等にご挨拶を返したわ。
するとアイザックス様が、
「私達にもアンジェーヌ嬢の妖精達を紹介して頂けませんか?」
と仰ったので、
「分かりましたわ。リリアン、グランツ、ウィンディ、ファイヤードトゥーリスにウォルター。皆出てきて頂戴。」
と言うと、「はぁい!」と声が聞こえ、全員揃って出てきてくれたの。
「アンジー。呼んだ?」
「どうした?アンジー。」
リリアンとグランツが話しかけてきたから、
「あなた達は、さっき妖精同士で話をしたのでしょ?だからフゥとヴァンの事は知ってるのだと思いますけれども……。でも、此方の男性の事は知らないわよね?だから紹介するわ。この方は、妖精のヴァンとフゥの加護を貰っていらっしゃるというアイザックス=ウィンザード伯爵令息様よ。皆、ご挨拶お願いね。」
と言うと、六体の妖精達は
「「「「「「宜しくね。アイザックス様」」」」」」
と可愛らしく上手に挨拶をしてくれたわ。
はい、皆とてもよく出来ましたね。
「ウィンザード伯爵令息様。ご紹介申し上げますわ。私に妖精の加護を与えてくれている、花の精のリリアン。土の精のグランツ。風の精のウィンディ。ファイヤードは火の精。トゥーリスは木の精で、水の精のウォルターですわ。彼等が着ている服の色で、属性がお分かりになるかと存じますけれど……。」
と、一体一体リリアン達の名前を呼びながら紹介すると、改めてリリアン達は、まるで貴族の様に、アイザックス様に礼をしたのよ。
皆ったら…
そんな事、いつの間に覚えたのかしらね。
「凄いですね!アンジェーヌ嬢は六体もの妖精から加護を受けていらっしゃるのですね。」
「えぇ。そう、ですわね。」
と答えると、アイザックス様は興奮されたのか、
「一つお聞きしても宜しいですか?アンジェーヌ嬢。貴女はいつから妖精達の加護を?」
と聞いてこられので、
「え~と……いつからでしたでしょうか……確か…物心ついた頃には受けていたのだと思いますけども、マリヴェル公爵様に、リリアン達の排除を頼まれた神父様から、『お父様を悲しませたくなければ彼等の事を忘れるように。』と言われていましたので、彼等の事を封印していたんですの。全てを思い出しましたのは、十七になりました頃の時ですわね。」
と答えたの。
するとアイザックス様は、私の言葉に何度も頷かれ、その後また私に質問をぶつけてきたのよ。
「そうだったのですね。ところでアンジェーヌ嬢?」
「なんでしょう?ウィンザード伯爵令息様。」
「俺も貴女の妖精達と同じ様に、貴女を愛称で呼んでも?」
あらっ?突然一人称の言い方が変わったばかりでなく、愛称呼び伺い?
まぁ別に構わないわよね?
私は貴族ではないのですもの。
それにアイザックス様は貴族なんだもの、彼の希望に逆らうなんて出来ないわ。
「どうぞ。ウィンザード伯爵令息様のお好きにお呼び下さいませ。」
「そう?好きに呼んで良いんだね?では、『ジェーン』と呼ばせて貰うとしよう。」
『ジェーン』
アンジーでもなくジェーン
なんか、私の呼び名が一つ増えた感あるけど……。ま、良いわ。私のスローライフの為だものね。
「畏まりましたわ、ウィンザード伯爵令息様。今後とも宜しくお願い致しますわね。」
こうして私の名前は
アンジェーヌ
アンジー
ユーリ
そして
ジェーン
と四つに増えましたの。
すると……
コンコン
「お話中失礼致します、お嬢様。そろそろお出になりませんと、今夜と明日の朝は何も食べずに過ごす事になりかねませんわ。」
と、サロンの扉をノックする音の後、マーサがナイスタイミングで声をかけてくれたの。
「そうでしたわね。教えてくれてありがとう、マーサ。ウィンザード伯爵令息様?大変申し訳ございませんが、これから出かけなくてはなりませんの。ですので本日はこれで…「買い出しに行くんだね?じゃ、俺も一緒に行くよ。」え?アイザック……。失礼致しました。ウィンザード伯爵令息様もご一緒にでございますか?」
「そうだよ?領主の息子が行った方が何かと優遇されるだろ?あ~。それから俺の事は『ザック』って呼んで欲しいな。いいだろ?ジェーン?」
とアイザックス様はコテンと首を傾げながらそう仰ったの。
ったく……男前なのに可愛いかよ。
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