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第三章 旅立ち
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「何故私が貴女方を庇い立てしなければならないのです?」
と私が問いますと、
「え?どういう事だ?」
「どういうことですの?」
と殿下とリーナが揃って問うて来られましたの。
あらあら、お仲の宜しいことですわね。
見事にシンクロなさって
「どういう事ですって?そんな事もお分かりになりませんの?」
と私が首を傾げて問いますと、あら?お二人も首を傾げていらっしゃいますわね?
本当にお分かりになってらっしゃらないのかしら?
リーナが理解出来ないのは分かるのですが、殿下が理解出来ておられないのはどうかと思いましてよ?
「どうやらお分かりになられない様ですわね。でしたらご説明申し上げますわ。」
と申せば、二人は良い子でコクコクと頷いておられますわ。
あらあら
前世で児童に言い聞かせた時の事を思い出しますわね。
お二人共本当にデビュタントを終えられてる方ですの?
お二人がこの様な状態でいらっしゃる様では、マリヴェル公爵家の先行きが不安になりますわね。
まぁ、今更私にとりましてはどうでも良い事ではございますけれども。
取り敢えず、目の前のお二人への講義が先ですわね。
「良いですか?二人共。ハワード殿下と私の婚約は、【王命】。即ち陛下のご命令なのです。ですから、殿下のご一存で、婚約者を挿げ替えは出来ないんですのよ?」
と申しますと、二人はまた首を傾げられましたの。
え?なんですの?
その初めて知った感は
まさか本当にご存知無かったと?
いえいえ。私との初顔合わせの際、陛下は確かにそう仰っておられましたわよ?殿下。
私の言葉の正否を求めるかのように、殿下は陛下を見遣りますと、陛下は力強く頷いて下さり乍、
「アンジェーヌ嬢の申すとおりだ、ハワード。そなたとアンジェーヌ嬢との婚約は国王である私が決めた事。それをそなたは反故にすると申すのだな?ハワードよ。」
と低い声で脅す様にそう仰いましたの。
「父上!私はそんな事聞い「ていたわよ、ハワード。アンジェーヌ様との初顔合わせの時、陛下はちゃんとお前に説明していらしたわ。聞いた聞かないの話では無いのです!お前はいつからそんな頭の弱い子になったのでしょう。母は悲しいですわ。」えっ?!」
と仰った王妃殿下は、よよと先程とは比べものにならない程お辛そうに泣き崩れられましたの。
そんな王妃殿下に、陛下は大丈夫か?と寄り添われましたわ。
そして、まだ何か言い募ろうとなさるハワード殿下をギッと睨みつけられ何かを仰ろうとなさる陛下のご様子から、私、速やかに危険を察知致しましたの。
いけませんわ!いけませんわ!!
マジでガチでヤバイよヤバイよ!!ですわ。
ここで「先程ハワードが申したアンジェーヌ嬢との婚約破棄は、私の権限で無効とする!」等と陛下が仰ってしまわれたら、私のスローライフ計画が全て水の泡になってしまいますわ!
断固として陛下の暴挙(勿論、私都合ですけれども)をお止めしなくてはなりませんわ!
そう考えました私は、意を決して陛下が何か仰る前にそのお言葉を止めてしまおうと、発言を求める事に致しましたの。
「陛下。恐れながら発言をお許し頂けますでしょうか?」
とリーナ張りの ┄ とまでは参りませんでしたが、私の中の可愛げを総動員させおずおずとお伺い致しますと、先程殿下に向かって仰られた口調とは正反対のお優しい口調で
「ん?どうしたのだ?アンジェーヌ嬢。申してみよ。」
と仰って下さいましたの。
「有り難きお言葉。お礼申し上げますわ。」
陛下へと敬意を表す礼をとった私は、小さく深呼吸をして陛下へと言葉を発したのです。
「申し訳ございません、陛下。ハワード殿下がこの様な事を仰るまでにしてしまいました事、我が公爵家に責任がございますわ。実は殿下は、妹 リーナカレンデュナのデビュタントの日に、リーナを見初められたのでございます。それからはずっと、我が公爵家に来られてはリーナとの愛を育まれておられました。そんな相思相愛のお二人にとって私は邪魔者でしかございませんでしたわ。ですが、婚約者としてそんな殿下を正す事を、私、怠っておりましたの。本当に申し訳ございません。」
私は此処ぞとばかり、前世で保護者参観の時に児童が発表する寸劇(の様なもの)の演出をした事を思い出し、女優になりきる事に致しましたの。
うるうると瞳を潤ませ、涙を零すまいと上を向いたり、堪えきれないとばかりに扇で顔を隠したりしたのでございますのよ。
宛ら、舞台の主演女優の様に……ですわね。
と私が問いますと、
「え?どういう事だ?」
「どういうことですの?」
と殿下とリーナが揃って問うて来られましたの。
あらあら、お仲の宜しいことですわね。
見事にシンクロなさって
「どういう事ですって?そんな事もお分かりになりませんの?」
と私が首を傾げて問いますと、あら?お二人も首を傾げていらっしゃいますわね?
本当にお分かりになってらっしゃらないのかしら?
リーナが理解出来ないのは分かるのですが、殿下が理解出来ておられないのはどうかと思いましてよ?
「どうやらお分かりになられない様ですわね。でしたらご説明申し上げますわ。」
と申せば、二人は良い子でコクコクと頷いておられますわ。
あらあら
前世で児童に言い聞かせた時の事を思い出しますわね。
お二人共本当にデビュタントを終えられてる方ですの?
お二人がこの様な状態でいらっしゃる様では、マリヴェル公爵家の先行きが不安になりますわね。
まぁ、今更私にとりましてはどうでも良い事ではございますけれども。
取り敢えず、目の前のお二人への講義が先ですわね。
「良いですか?二人共。ハワード殿下と私の婚約は、【王命】。即ち陛下のご命令なのです。ですから、殿下のご一存で、婚約者を挿げ替えは出来ないんですのよ?」
と申しますと、二人はまた首を傾げられましたの。
え?なんですの?
その初めて知った感は
まさか本当にご存知無かったと?
いえいえ。私との初顔合わせの際、陛下は確かにそう仰っておられましたわよ?殿下。
私の言葉の正否を求めるかのように、殿下は陛下を見遣りますと、陛下は力強く頷いて下さり乍、
「アンジェーヌ嬢の申すとおりだ、ハワード。そなたとアンジェーヌ嬢との婚約は国王である私が決めた事。それをそなたは反故にすると申すのだな?ハワードよ。」
と低い声で脅す様にそう仰いましたの。
「父上!私はそんな事聞い「ていたわよ、ハワード。アンジェーヌ様との初顔合わせの時、陛下はちゃんとお前に説明していらしたわ。聞いた聞かないの話では無いのです!お前はいつからそんな頭の弱い子になったのでしょう。母は悲しいですわ。」えっ?!」
と仰った王妃殿下は、よよと先程とは比べものにならない程お辛そうに泣き崩れられましたの。
そんな王妃殿下に、陛下は大丈夫か?と寄り添われましたわ。
そして、まだ何か言い募ろうとなさるハワード殿下をギッと睨みつけられ何かを仰ろうとなさる陛下のご様子から、私、速やかに危険を察知致しましたの。
いけませんわ!いけませんわ!!
マジでガチでヤバイよヤバイよ!!ですわ。
ここで「先程ハワードが申したアンジェーヌ嬢との婚約破棄は、私の権限で無効とする!」等と陛下が仰ってしまわれたら、私のスローライフ計画が全て水の泡になってしまいますわ!
断固として陛下の暴挙(勿論、私都合ですけれども)をお止めしなくてはなりませんわ!
そう考えました私は、意を決して陛下が何か仰る前にそのお言葉を止めてしまおうと、発言を求める事に致しましたの。
「陛下。恐れながら発言をお許し頂けますでしょうか?」
とリーナ張りの ┄ とまでは参りませんでしたが、私の中の可愛げを総動員させおずおずとお伺い致しますと、先程殿下に向かって仰られた口調とは正反対のお優しい口調で
「ん?どうしたのだ?アンジェーヌ嬢。申してみよ。」
と仰って下さいましたの。
「有り難きお言葉。お礼申し上げますわ。」
陛下へと敬意を表す礼をとった私は、小さく深呼吸をして陛下へと言葉を発したのです。
「申し訳ございません、陛下。ハワード殿下がこの様な事を仰るまでにしてしまいました事、我が公爵家に責任がございますわ。実は殿下は、妹 リーナカレンデュナのデビュタントの日に、リーナを見初められたのでございます。それからはずっと、我が公爵家に来られてはリーナとの愛を育まれておられました。そんな相思相愛のお二人にとって私は邪魔者でしかございませんでしたわ。ですが、婚約者としてそんな殿下を正す事を、私、怠っておりましたの。本当に申し訳ございません。」
私は此処ぞとばかり、前世で保護者参観の時に児童が発表する寸劇(の様なもの)の演出をした事を思い出し、女優になりきる事に致しましたの。
うるうると瞳を潤ませ、涙を零すまいと上を向いたり、堪えきれないとばかりに扇で顔を隠したりしたのでございますのよ。
宛ら、舞台の主演女優の様に……ですわね。
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