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第二章 夢と現実
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妖精達の事を思い出し、また彼等に私の計画を打ち明けましたあの日から、私は週末になります度に、『将来の為』と称し、市井の視察や自領の視察、それから色んな領地の視察に出向く事を始めたんですの。
実は、私が転居を希望している辺境のウィンザード伯爵領は、王都から馬車で4日もかかる地に有るんですの。
とてもではございませんが、往復で1週間以上かかるのでは時間が勿体無い!ですわよね。
そこで先ず私が考えました事は、『飛行馬車』での移動でしたの。
前世の飛行機の様に、空飛ぶ馬車なんて物があったとしたらとても素敵でございましょう?
でも、飛行馬車は条件的に色々無理がございましたので、最終的には『特急馬車』での移動というものに落ち着きましたの。
特急馬車の仕組みは至って簡単ですわ。
ウィンディの仲間の風の妖精達にお願いして、彼等の風の力で高速移動を可能にして貰うというだけですもの。
勿論!
この特急馬車の事は、両親やリーナ、殿下にだって内緒の話ですわよ。
だって想像して下さいませ。
そんな事が出来ると彼等に分かってしまった時は、直ぐに周りの貴族の方々に平気で吹聴してしまいそうでございましょう?
特にリーナや殿下においては、それこそ自分が考案したかのように吹聴なさるでしょうしね。
そうなりましたら、それを聞きつけた貴族達が、「やれ仕掛けはどうだ?」「何処で作って貰えるのか?」「価格は?」等と聞かれ、面倒この上なくなるのは火を見るより明らかですわよね。
ですので、遠い領地に行く時以外は、絶対に妖精達の力は借りない事にしていますし、風の妖精の力を借りる時は、人目に付きにくい所まで来てから力を借りる様にしておりましたの。
最も殿下は、私が公爵家に居なくとも、実家にお越しになってはリーナといちゃこら(あら。はしたなくてごめんあそばせ)なさっていられたら宜しい様なご様子でしたので、私はせっせとウィンザード領に足を運び、物件探しが出来ましたのよ。
ある意味有難かったとも言えますわよね。
さて、足繁く伯爵領へ通いましたおかげで、漸くめぼしい家が決まりましたので、今度は資金集めに入りましたの。
購入予定の家の持ち主の方はとてもお優しい方で、私が購入資金を貯めるまで売却しないとお約束をして下さいましたの。
ですが……
前世とは違い、この国の貴族令嬢は、何か仕事をしているわけではございませんし、いくら私が公爵家の令嬢とはいえど、両親から頂けるお小遣いだけでは、家なんて高価な物は買えるわけではございませんの。
そこで私、考えましたのよ。
この国の貴族令嬢の嗜みの中に、レース編みと刺繍というのがございますの。
私はそのレース編みのレース糸を、花の精のリリアンの力を借りて綺麗な色に染めあげ、それを使用して編んだレースを、仕立て屋に売り込み(持ち込みとも申しますわね)をして、買っていただくんですの。
この国のレースといえば白色が殆どなのですが、色とりどりの糸で編まれたレースはあまりお見かけする事がございませんので、きっと人気が出ると思いましたの。
初めのうちは、私一人でコツコツちまちまとレース編みをしておりましたのですけれども、それを毎日傍で見ていたリリアン・ウィンディ・トゥーリスのガールズ妖精達が、
『アンジーの手伝いがしたい。』
と言ってくれましたの。
私は喜んで彼女達に甘える事に致しましたわ。
そして私の指導の元、楽しそうにレース編みをしてくれる彼女達を見ていたボーイズ妖精のグランツ・ファイヤード・ウォルターまで手伝いを申し出てくれた時は、嬉し過ぎて泣いてしまいましたの。
『泣かないで、アンジー。』
『そうだよ。僕等が手伝いをするのは当たり前なんだから。』
『アンジーと一緒に暮らすお家を買う為なんだもん、私達も一緒に頑張っちゃう。』
『『『そうそう!』』』
と、皆がそう言ってくれ、それはそれは楽しそうにレース編みをしてくれましたの。
本当に嬉しかったですわ。
そして、妖精達と一緒に作りましたレースの髪留めやリボンを市井の雑貨屋にお試しで置いて貰いましたところ、即日完売になったばかりではなく、お客様より「次の入荷はいつか?」「取り置きをして欲しい。」等のお話が殺到したそうで、お店側から直ぐの納品を依頼されてしまいましたの。
まさに嬉しい悲鳴でしたわ。
あぁそうですわ
お店の方には、私が公爵家の者であるのは内緒ですのよ。
その為私は、自身の身分を偽り、いつも平民の服装でもって商品を持って行く様にしておりましたの。
その後はとても忙しい毎日となりましたわ。
昼間は学園へ
邸へ帰ると公爵家の嫡子としてお父様のお仕事のお手伝い。
夕餉と湯浴みを済ませますと、人払いを致しまして、自室で学園の課題を片付け、毎晩毎晩せっせとかぎ針を動かしレースを編む毎日でしたわ。
流石に疲れてしまう事もございましたが、
ここで挫けてしまっては、折角の計画が頓挫してしまいますものね。
ですので妖精達と一緒に頑張りましたのよ。
実は、私が転居を希望している辺境のウィンザード伯爵領は、王都から馬車で4日もかかる地に有るんですの。
とてもではございませんが、往復で1週間以上かかるのでは時間が勿体無い!ですわよね。
そこで先ず私が考えました事は、『飛行馬車』での移動でしたの。
前世の飛行機の様に、空飛ぶ馬車なんて物があったとしたらとても素敵でございましょう?
でも、飛行馬車は条件的に色々無理がございましたので、最終的には『特急馬車』での移動というものに落ち着きましたの。
特急馬車の仕組みは至って簡単ですわ。
ウィンディの仲間の風の妖精達にお願いして、彼等の風の力で高速移動を可能にして貰うというだけですもの。
勿論!
この特急馬車の事は、両親やリーナ、殿下にだって内緒の話ですわよ。
だって想像して下さいませ。
そんな事が出来ると彼等に分かってしまった時は、直ぐに周りの貴族の方々に平気で吹聴してしまいそうでございましょう?
特にリーナや殿下においては、それこそ自分が考案したかのように吹聴なさるでしょうしね。
そうなりましたら、それを聞きつけた貴族達が、「やれ仕掛けはどうだ?」「何処で作って貰えるのか?」「価格は?」等と聞かれ、面倒この上なくなるのは火を見るより明らかですわよね。
ですので、遠い領地に行く時以外は、絶対に妖精達の力は借りない事にしていますし、風の妖精の力を借りる時は、人目に付きにくい所まで来てから力を借りる様にしておりましたの。
最も殿下は、私が公爵家に居なくとも、実家にお越しになってはリーナといちゃこら(あら。はしたなくてごめんあそばせ)なさっていられたら宜しい様なご様子でしたので、私はせっせとウィンザード領に足を運び、物件探しが出来ましたのよ。
ある意味有難かったとも言えますわよね。
さて、足繁く伯爵領へ通いましたおかげで、漸くめぼしい家が決まりましたので、今度は資金集めに入りましたの。
購入予定の家の持ち主の方はとてもお優しい方で、私が購入資金を貯めるまで売却しないとお約束をして下さいましたの。
ですが……
前世とは違い、この国の貴族令嬢は、何か仕事をしているわけではございませんし、いくら私が公爵家の令嬢とはいえど、両親から頂けるお小遣いだけでは、家なんて高価な物は買えるわけではございませんの。
そこで私、考えましたのよ。
この国の貴族令嬢の嗜みの中に、レース編みと刺繍というのがございますの。
私はそのレース編みのレース糸を、花の精のリリアンの力を借りて綺麗な色に染めあげ、それを使用して編んだレースを、仕立て屋に売り込み(持ち込みとも申しますわね)をして、買っていただくんですの。
この国のレースといえば白色が殆どなのですが、色とりどりの糸で編まれたレースはあまりお見かけする事がございませんので、きっと人気が出ると思いましたの。
初めのうちは、私一人でコツコツちまちまとレース編みをしておりましたのですけれども、それを毎日傍で見ていたリリアン・ウィンディ・トゥーリスのガールズ妖精達が、
『アンジーの手伝いがしたい。』
と言ってくれましたの。
私は喜んで彼女達に甘える事に致しましたわ。
そして私の指導の元、楽しそうにレース編みをしてくれる彼女達を見ていたボーイズ妖精のグランツ・ファイヤード・ウォルターまで手伝いを申し出てくれた時は、嬉し過ぎて泣いてしまいましたの。
『泣かないで、アンジー。』
『そうだよ。僕等が手伝いをするのは当たり前なんだから。』
『アンジーと一緒に暮らすお家を買う為なんだもん、私達も一緒に頑張っちゃう。』
『『『そうそう!』』』
と、皆がそう言ってくれ、それはそれは楽しそうにレース編みをしてくれましたの。
本当に嬉しかったですわ。
そして、妖精達と一緒に作りましたレースの髪留めやリボンを市井の雑貨屋にお試しで置いて貰いましたところ、即日完売になったばかりではなく、お客様より「次の入荷はいつか?」「取り置きをして欲しい。」等のお話が殺到したそうで、お店側から直ぐの納品を依頼されてしまいましたの。
まさに嬉しい悲鳴でしたわ。
あぁそうですわ
お店の方には、私が公爵家の者であるのは内緒ですのよ。
その為私は、自身の身分を偽り、いつも平民の服装でもって商品を持って行く様にしておりましたの。
その後はとても忙しい毎日となりましたわ。
昼間は学園へ
邸へ帰ると公爵家の嫡子としてお父様のお仕事のお手伝い。
夕餉と湯浴みを済ませますと、人払いを致しまして、自室で学園の課題を片付け、毎晩毎晩せっせとかぎ針を動かしレースを編む毎日でしたわ。
流石に疲れてしまう事もございましたが、
ここで挫けてしまっては、折角の計画が頓挫してしまいますものね。
ですので妖精達と一緒に頑張りましたのよ。
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