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実家の蔵には、由緒正しき変なものがわんさかある。
かつては、この辺の領主様だったらしい僕の実家は、それはそれは広大な敷地を子孫に残してくださった。
母屋に離れ、池付きの庭に立派な蔵。
小さい頃、僕はこの蔵が大嫌いだった。
イタズラをしたり、テストの点が悪かったり。
僕が悪いことをすると、父は必ずそこに僕を閉じ込めたから。
暗くて、寂しくて。
一晩中、泣いて………そして、そこにいた時あまり記憶がない。
多分、泣き疲れて寝てしまっていたからだと思うんだけど。
一年中、ヒンヤリした空気が渦巻く蔵の中は、小さな子どもに恐怖心を与えるには十分だったんだ。
大人になった、今でも。
その恐怖心は、だいぶ豆粒みたいに小さくなってしまっているけど。
それは僕の心の中に燻って、いまだに消えずにいた。
「よい!蔵の中を整理しよう!!」
と、言い出したのは、父の亡き後18代目となった兄で。
なんとなく聞き流して「あ、そう。いいんじゃない?」なんて生返事をした僕に、兄はニヤニヤ笑いながら言った。
「俺より蔵に閉じ込められた回数が多い、雪也の方が適任だと思う」
そう、僕は。
兄にまんまと、はめられてしまったんだ。
曽祖父までは、地元の名士だったらしい。
そんな状況はその時までで、祖父は銀行員になり、父は公立学校の教員になり。
隔世遺伝的に兄が、やたらめったら優秀で医者になった以外は、僕もすぐ下の弟もいたって平凡で。
マイペースで自由奔放な弟は「ゲームクリエーターになる!」と言って都会に出て行き、結局、パッとしない僕は、地元に残って町立図書館の司書をしている。
一歩踏み出す勇気も、自分を変えようとする努力もしないまま。
僕は地元のこの土地から、一生抜け出せないんだと思う。
「うへぇ………埃っぽい……」
綿タオルを頭に巻いて、花粉用メガネとマスクを二重にしているにも関わらず、ほぼほぼ密閉された蔵に舞い上がる埃に、僕は辟易していた。
………隙間から、入ってきそう。
所狭しと置かれた古い箪笥や古道具。
子どもの頃は、これがとても大きく見えて、僕に襲いかかってくるんじゃないかってくらい、怖くて。
あの引き出しから、オバケが出てくるんじゃないかとか。
カラカラ動き出した古道具は、鬼が回してるんじゃないかとか。
恐怖そのものだった、それらは。
今じゃ僕より、かなり小さくなってしまって。
僕は妙な状況下で、自分の成長ぶりを目の当たりにしてしまっていた。
「売れるものと、そうでなさそうなものと分けとけ。古文書は、図書館に寄贈するからまとめてもってけ」
って、兄は至極簡単に言ったけどさ。
………それ、かなり至難のワザだぞ???
何日、かかるかな?
休みの度にこれって、さぁ。
………どうせ、暇ですよ?
彼女もいないし、仕事も定時に上がれるし。
この先、起承転結もなく。
イージーモードな状態で、この土地に骨を埋める………。
僕の将来は、僕以外の他人でさえ、易々と想像できるに違いない。
「ん?」
ふと、蔵の奥に目をやった僕は、その古道具に釘付けになってしまった。
鮮やかな朱色の錦の織物がかけられた、古い……古い、鏡台。
みんな埃を被って、本来の輝きすら失っているのに。
………それだけは、埃すら跳ね除けるように、キラキラしていて。
存在感が半端ない。
よせばいいのに、僕はその鏡台に吸い寄せられるように近づいてしまった。
「こんなの……あったっけ?」
周りの埃の状況からして、後から置かれた形跡もない。
でも………蔵に幾度となく閉じ込められていた僕なのに、この鏡台の記憶がなかった。
僕は怪訝に思いながらも、錦の織物に手をかけた。
「ひっ!!」
鏡の中から、人の手がニュッと現れて。
僕の手首を、力強く掴んだ。
たまらず、情けないくらい小さな悲鳴が口からついでる。
その手は、綺麗で。
とても繊細な指をしているのに、今まで経験したことのない……振り解く動作を忘れるくらい、強力で。
〝やっと……やっと、会えた………キナリ〟
鏡の中から、低く耳に残る声が響いた瞬間。
「…ぅわぁぁっ!!」
鏡の中の手が、僕を引っ張った。
体が前のめりに宙に浮いて、鏡の面が目の前に迫る。
鏡にぶつかる………!!
割れる……!!
ガシャンと派手な音がするのと、額に鋭い痛みが走るのを想像しながら、僕は目を瞑った。
小さい頃の僕が怖かったのは、蔵の中に住むオバケか、鬼か、妖怪か。
だから、記憶が曖昧で。
だから、蔵が怖くて。
………きっと、ご先祖様が何かしら悪い事をして、今、その災いが僕に降りかかってるんだ。
………な、なんて……なんてことをしてくれたんだぁ!!
顔も知らない遺伝子だけ受け継いだご先祖様と、こんな蔵に年がら年中閉じ込めた父と、その蔵の整理をしろと言った兄に………これ以上ないってくらい、殺意がわいた。
さっきまで、凪いだ海のような人生を嘆いていた僕が、こんなオカルトチックな事態に巻き込まれるなんて!!
………ちがーうっ!!
僕じゃなーい!!
ードサッ。
……ドサッ?
宙に浮いた体が、地面を捉える音が響いた。
夢、だ。
これはきっと夢だ。
ドサッと音がした後、体が痛いけど………きっと、痛覚が異様に冴えた夢なんだ。
目を開けたら、自室のベッドの上だ………。
「………え?………ここ、どこ?」
意を決して目を開けた僕の視界に広がってのは……自室ではなく、蔵の中でもなく。
真っ白いサラサラした暖かい砂が僕にまとわりついて、僕の足元にひいては返す冷たい波があたる。
すぐ目の前には、白亜の宮殿のような建物がそびえ立ち、その白さが陽の光に反射して眩しく目を射抜いた。
花……かな……?
建物の周りには色とりどりの花が咲き誇り、甘い香りが鼻腔をくすぐって。
全ての感覚が総動員された、リアルで奇妙な夢だな……って、僕は変に感心してしまった。
………僕の頭の中は、現実な僕よりかなり非凡な想像力を有しているらしい。
「キナリ!!」
ぼんやりと、この夢の状況を把握していると、さっき鏡の中から響いた声が、すぐ近くで耳に届く。
ハッとして振り返ると、大型犬に体当たりされたような衝撃が走った。
「っ!!……いってぇ!!」
「キナリ!!会いたかった!!」
ジャスミンのような爽やかな香りがフワッと突き抜けて。
僕に抱きつくその体は、綺麗な筋肉がついて逞しく。
陽光のようにキラキラしたブロンドの髪が風になびいて、僕を見つめてニッコリ笑う外国人風味なイケメンのその瞳は、海のような淡い青色をして………。
夢の中だと思いつつも、僕は不甲斐なくもドキッとしてしまった。
「いや、ちょっと待って!!キナリって誰?!」
上擦った声を発して否定する僕に、そのイケメンは心底驚いたのか。
綺麗な目をまん丸にして、僕をマジマジと見つめる。
「キナリ……でしょ?」
「ぼ、ぼくは………!!裏辻雪也です!!ユキナリす!!」
「なーんだ。やっぱりキナリじゃないか」
そのイケメンはまたニッコリ笑って、僕に抱きついた。
「ようやく会えた………ボクの運命」
「………は?」
「ボクのお嫁さん」
「………はぁ??」
「もう、帰さないよ?キナリ」
「はぁぁっ!?」
夢なら………早く覚めてほしい。
でも、なんとなく。
虫の知らせというか、なんというか。
夢じゃないんじゃないかなー?なんて、チラッと思ってしまう自分がいた。
…………と、とんでもないとこに、来ちゃったかも。
イケメンは、僕を抱きしめてそのまま、砂の上に押し倒して唇を重ねる。
「………んっ…んんっ」
ちょ、ちょい待ち!!
口の中を割って入る舌が、僕の舌を絡めとって。
片方の手は僕の体を、胸元から股間に滑るように這っていく。
………リアル。
めちゃめちゃ、リアル。
ちなみに言うと、半分世捨て人のようになっていた僕は、当然のように童貞で。
よく分からない場所で、よく分からないイケメンに組み敷かれて………経験の乏しい僕でさえ分かる!!
………これ!!
セックスだろ!!しかも、ヤラれる側の方の!!
しかも男に!!
男にヤラれそうになってるなんて!!
「ちょ……ちょっ………僕、男………」
「大丈夫!キナリなら、元気なボクの子どもを産んでくれるから!」
………へぇ、そっかぁ。なるほど。
い、いや!!ちがーう!!
そうじゃなーい!!
頭の中はフルで全否定してるのに、身体は見ず知らずのイケメンに解されて、自然に足が開く……。
「あっ……だめ………」
「もう、こんなにトロトロだ………。やっと、キナリと一つになれる………」
絞り出すようにイケメンが呟くと、僕の腰を持ち上げた。
「あぁっー!!」
熱い………。
こんなこと言うのは、ボキャブラリーが貧弱すぎて嫌なんだけど。
熱々の極太きりたんぽが、僕の大事な所から入ってくるみたいな。
一気に貫かれて、僕の体は反射的に反り返る。
「キナリ………ボクのために純潔を守っていてくれたなんて………。やっぱり、キナリは………ボクのお嫁さんにふさわしい!」
………そう、じゃない。
単なる喪男なだけなんだよ、僕は。
夢で………あってほしい。
こんな異世界っぽい所で、見ず知らずのイケメンに、色んな意味の〝初めて〟を奪われて。
しかも、青姦とかさぁ………。
「あっ……あ………ぁぁ………ぁ」
僕の中の変に敏感な所が、疼いて感じて。
だんだん、頭がぼんやりしてきて、意識に霞がかかってきた。
………このリアルな、夢はきっと。
目が覚めたら、終わる………きっと、終わるんだ。
かつては、この辺の領主様だったらしい僕の実家は、それはそれは広大な敷地を子孫に残してくださった。
母屋に離れ、池付きの庭に立派な蔵。
小さい頃、僕はこの蔵が大嫌いだった。
イタズラをしたり、テストの点が悪かったり。
僕が悪いことをすると、父は必ずそこに僕を閉じ込めたから。
暗くて、寂しくて。
一晩中、泣いて………そして、そこにいた時あまり記憶がない。
多分、泣き疲れて寝てしまっていたからだと思うんだけど。
一年中、ヒンヤリした空気が渦巻く蔵の中は、小さな子どもに恐怖心を与えるには十分だったんだ。
大人になった、今でも。
その恐怖心は、だいぶ豆粒みたいに小さくなってしまっているけど。
それは僕の心の中に燻って、いまだに消えずにいた。
「よい!蔵の中を整理しよう!!」
と、言い出したのは、父の亡き後18代目となった兄で。
なんとなく聞き流して「あ、そう。いいんじゃない?」なんて生返事をした僕に、兄はニヤニヤ笑いながら言った。
「俺より蔵に閉じ込められた回数が多い、雪也の方が適任だと思う」
そう、僕は。
兄にまんまと、はめられてしまったんだ。
曽祖父までは、地元の名士だったらしい。
そんな状況はその時までで、祖父は銀行員になり、父は公立学校の教員になり。
隔世遺伝的に兄が、やたらめったら優秀で医者になった以外は、僕もすぐ下の弟もいたって平凡で。
マイペースで自由奔放な弟は「ゲームクリエーターになる!」と言って都会に出て行き、結局、パッとしない僕は、地元に残って町立図書館の司書をしている。
一歩踏み出す勇気も、自分を変えようとする努力もしないまま。
僕は地元のこの土地から、一生抜け出せないんだと思う。
「うへぇ………埃っぽい……」
綿タオルを頭に巻いて、花粉用メガネとマスクを二重にしているにも関わらず、ほぼほぼ密閉された蔵に舞い上がる埃に、僕は辟易していた。
………隙間から、入ってきそう。
所狭しと置かれた古い箪笥や古道具。
子どもの頃は、これがとても大きく見えて、僕に襲いかかってくるんじゃないかってくらい、怖くて。
あの引き出しから、オバケが出てくるんじゃないかとか。
カラカラ動き出した古道具は、鬼が回してるんじゃないかとか。
恐怖そのものだった、それらは。
今じゃ僕より、かなり小さくなってしまって。
僕は妙な状況下で、自分の成長ぶりを目の当たりにしてしまっていた。
「売れるものと、そうでなさそうなものと分けとけ。古文書は、図書館に寄贈するからまとめてもってけ」
って、兄は至極簡単に言ったけどさ。
………それ、かなり至難のワザだぞ???
何日、かかるかな?
休みの度にこれって、さぁ。
………どうせ、暇ですよ?
彼女もいないし、仕事も定時に上がれるし。
この先、起承転結もなく。
イージーモードな状態で、この土地に骨を埋める………。
僕の将来は、僕以外の他人でさえ、易々と想像できるに違いない。
「ん?」
ふと、蔵の奥に目をやった僕は、その古道具に釘付けになってしまった。
鮮やかな朱色の錦の織物がかけられた、古い……古い、鏡台。
みんな埃を被って、本来の輝きすら失っているのに。
………それだけは、埃すら跳ね除けるように、キラキラしていて。
存在感が半端ない。
よせばいいのに、僕はその鏡台に吸い寄せられるように近づいてしまった。
「こんなの……あったっけ?」
周りの埃の状況からして、後から置かれた形跡もない。
でも………蔵に幾度となく閉じ込められていた僕なのに、この鏡台の記憶がなかった。
僕は怪訝に思いながらも、錦の織物に手をかけた。
「ひっ!!」
鏡の中から、人の手がニュッと現れて。
僕の手首を、力強く掴んだ。
たまらず、情けないくらい小さな悲鳴が口からついでる。
その手は、綺麗で。
とても繊細な指をしているのに、今まで経験したことのない……振り解く動作を忘れるくらい、強力で。
〝やっと……やっと、会えた………キナリ〟
鏡の中から、低く耳に残る声が響いた瞬間。
「…ぅわぁぁっ!!」
鏡の中の手が、僕を引っ張った。
体が前のめりに宙に浮いて、鏡の面が目の前に迫る。
鏡にぶつかる………!!
割れる……!!
ガシャンと派手な音がするのと、額に鋭い痛みが走るのを想像しながら、僕は目を瞑った。
小さい頃の僕が怖かったのは、蔵の中に住むオバケか、鬼か、妖怪か。
だから、記憶が曖昧で。
だから、蔵が怖くて。
………きっと、ご先祖様が何かしら悪い事をして、今、その災いが僕に降りかかってるんだ。
………な、なんて……なんてことをしてくれたんだぁ!!
顔も知らない遺伝子だけ受け継いだご先祖様と、こんな蔵に年がら年中閉じ込めた父と、その蔵の整理をしろと言った兄に………これ以上ないってくらい、殺意がわいた。
さっきまで、凪いだ海のような人生を嘆いていた僕が、こんなオカルトチックな事態に巻き込まれるなんて!!
………ちがーうっ!!
僕じゃなーい!!
ードサッ。
……ドサッ?
宙に浮いた体が、地面を捉える音が響いた。
夢、だ。
これはきっと夢だ。
ドサッと音がした後、体が痛いけど………きっと、痛覚が異様に冴えた夢なんだ。
目を開けたら、自室のベッドの上だ………。
「………え?………ここ、どこ?」
意を決して目を開けた僕の視界に広がってのは……自室ではなく、蔵の中でもなく。
真っ白いサラサラした暖かい砂が僕にまとわりついて、僕の足元にひいては返す冷たい波があたる。
すぐ目の前には、白亜の宮殿のような建物がそびえ立ち、その白さが陽の光に反射して眩しく目を射抜いた。
花……かな……?
建物の周りには色とりどりの花が咲き誇り、甘い香りが鼻腔をくすぐって。
全ての感覚が総動員された、リアルで奇妙な夢だな……って、僕は変に感心してしまった。
………僕の頭の中は、現実な僕よりかなり非凡な想像力を有しているらしい。
「キナリ!!」
ぼんやりと、この夢の状況を把握していると、さっき鏡の中から響いた声が、すぐ近くで耳に届く。
ハッとして振り返ると、大型犬に体当たりされたような衝撃が走った。
「っ!!……いってぇ!!」
「キナリ!!会いたかった!!」
ジャスミンのような爽やかな香りがフワッと突き抜けて。
僕に抱きつくその体は、綺麗な筋肉がついて逞しく。
陽光のようにキラキラしたブロンドの髪が風になびいて、僕を見つめてニッコリ笑う外国人風味なイケメンのその瞳は、海のような淡い青色をして………。
夢の中だと思いつつも、僕は不甲斐なくもドキッとしてしまった。
「いや、ちょっと待って!!キナリって誰?!」
上擦った声を発して否定する僕に、そのイケメンは心底驚いたのか。
綺麗な目をまん丸にして、僕をマジマジと見つめる。
「キナリ……でしょ?」
「ぼ、ぼくは………!!裏辻雪也です!!ユキナリす!!」
「なーんだ。やっぱりキナリじゃないか」
そのイケメンはまたニッコリ笑って、僕に抱きついた。
「ようやく会えた………ボクの運命」
「………は?」
「ボクのお嫁さん」
「………はぁ??」
「もう、帰さないよ?キナリ」
「はぁぁっ!?」
夢なら………早く覚めてほしい。
でも、なんとなく。
虫の知らせというか、なんというか。
夢じゃないんじゃないかなー?なんて、チラッと思ってしまう自分がいた。
…………と、とんでもないとこに、来ちゃったかも。
イケメンは、僕を抱きしめてそのまま、砂の上に押し倒して唇を重ねる。
「………んっ…んんっ」
ちょ、ちょい待ち!!
口の中を割って入る舌が、僕の舌を絡めとって。
片方の手は僕の体を、胸元から股間に滑るように這っていく。
………リアル。
めちゃめちゃ、リアル。
ちなみに言うと、半分世捨て人のようになっていた僕は、当然のように童貞で。
よく分からない場所で、よく分からないイケメンに組み敷かれて………経験の乏しい僕でさえ分かる!!
………これ!!
セックスだろ!!しかも、ヤラれる側の方の!!
しかも男に!!
男にヤラれそうになってるなんて!!
「ちょ……ちょっ………僕、男………」
「大丈夫!キナリなら、元気なボクの子どもを産んでくれるから!」
………へぇ、そっかぁ。なるほど。
い、いや!!ちがーう!!
そうじゃなーい!!
頭の中はフルで全否定してるのに、身体は見ず知らずのイケメンに解されて、自然に足が開く……。
「あっ……だめ………」
「もう、こんなにトロトロだ………。やっと、キナリと一つになれる………」
絞り出すようにイケメンが呟くと、僕の腰を持ち上げた。
「あぁっー!!」
熱い………。
こんなこと言うのは、ボキャブラリーが貧弱すぎて嫌なんだけど。
熱々の極太きりたんぽが、僕の大事な所から入ってくるみたいな。
一気に貫かれて、僕の体は反射的に反り返る。
「キナリ………ボクのために純潔を守っていてくれたなんて………。やっぱり、キナリは………ボクのお嫁さんにふさわしい!」
………そう、じゃない。
単なる喪男なだけなんだよ、僕は。
夢で………あってほしい。
こんな異世界っぽい所で、見ず知らずのイケメンに、色んな意味の〝初めて〟を奪われて。
しかも、青姦とかさぁ………。
「あっ……あ………ぁぁ………ぁ」
僕の中の変に敏感な所が、疼いて感じて。
だんだん、頭がぼんやりしてきて、意識に霞がかかってきた。
………このリアルな、夢はきっと。
目が覚めたら、終わる………きっと、終わるんだ。
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