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47話 リスクを背負って、頑張って
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蓮はまず驚くしかなかった。莉愛のことをどう思っているのかって……まるで、莉愛との関係を感づいたみたいな質問じゃないか。
そこまで思い至っても、蓮はとりあえず白を切ることを選んだ。
なにせ、茜に余計な心配をかけたくはないから。
「どう思ってるかって、そりゃもちろん幼馴染で―――」
「ふ~~ん。ただの幼馴染なんだ?」
「……た、ただの幼馴染ですよ?なにか問題でも?」
「本当に、ただの幼馴染なんだよね?」
「……マジでどこまで知ってるんですか?茜さん」
「私だって全部は知らないよ?莉愛に恋愛のことで相談されたことはなかったし。でもね―――」
そこで、茜は微笑ましい顔で蓮をジッと見つめた。
「なんとなく、分かるんだよね。蓮ちゃん、莉愛と一度付き合って、その後に一度別れたでしょ?」
「…………」
「ごめんね、蓮ちゃん。敏感な話題を出しちゃって」
「……いつから知ってたんですか?茜さんは」
「割とリアルタイムで見てたよ?うちの娘はほら、私に似て感情がすぐ表に出るタイプじゃない」
ああ……そっかと蓮は納得する。確かに、莉愛は自分の感情に素直すぎると言うか、すぐに気分を表現する癖があるのだ。
蓮と莉愛が別れたのは、中学の2年の冬休み。その時から茜は、全部知っていたということになる。
「……それを差し引いても、親としてはさすがに気づくしかなかったよ?莉愛、蓮ちゃんと別れた時に一日中部屋に閉じこもって、ご飯も全く食べなかったからさ。夜中に部屋に行こうとしたら鳴き声が漏れて……ああ、そうなったんだとなんとなく分かったの」
「……ごめんなさい、茜さん。俺が足りなかったせいで―――」
「蓮ちゃんのせいじゃないでしょ?というより、ここは私が謝罪すべきなんじゃないかな。うちの莉愛が蓮ちゃんに迷惑かけたから」
「いえ、莉愛はなにも―――なに、も……」
何も悪くありません、と言いたかったはずなのに、言葉が紡がれない。蓮も分かっているのだ。
二人が別れた理由は、互いのことが嫌いになったからではなく、莉愛の度の過ぎた執着によるもの。
それでコミュニケーションが段々とズレ始めて、そのズレが益々深くなって―――別れたんだから。
「……ふふっ」
「……な、なんで笑うんですか?茜さん」
「ううん、うちの娘って本当に幸せ者だなと、なんとなく思っただけ」
「うっ……!べ、別にそんなんじゃありませんから!!とにかく、俺にとって莉愛はただの幼馴染です!昔には確かに色々ありましたけど、俺にとってあいつは―――」
「大切な存在、でしょ?」
蓮の言葉を遮った茜は、次々と今までの感想を伝え始める。
「蓮ちゃんは気づいていないかもしれないけどね?蓮ちゃんが莉愛を見る時の表情って、ものすごく緩んでいるの。あれ、どう見てもただの幼馴染に向ける視線じゃなかったからさ」
「…………」
「本当にごめんね。私だってあんまり口を挟みたくはないの。それに、蓮ちゃんの行動を一々誘導したくもないし、大人としてそうしてもいけないと思う。でも……まあ、私の勝手な願いだけど」
そこで、茜は苦笑を湛えながら仕方ないとばかりに言葉を紡ぐ。
「うちの娘の旦那様は、やっぱり蓮ちゃんがいいからさ」
「………………」
「こんな負担かけるようなこと言って、本当にごめんね?でも、どう見たって二人は両想いだから……なのに、ちょっとズレているだけだから。それがちょっともどかしくて、二人には幸せになって欲しくて―――我慢ができなかったの。本当に、ごめんね」
大人として、また莉愛の親として、茜は確かな罪悪感を抱いていた。
こんな風に外堀を埋める作業は、莉愛はともかく蓮に負担をかけるものだから。
それをよく理解しているからこそ、茜は何度も謝罪の言葉を口にしているのだ。
でも、やっぱり二人が結ばれて幸せになって欲しいという思いが、茜の中では先立っていた。
二人が幼かった頃、ずっとくっついたまま離れずにいた二人の姿は―――あまりにも、そういう夢を抱かせるには十分すぎるものだったから。
「茜さん」
そして、蓮はやや俯いてからさっきより沈んだ口調で言う。
「俺は、莉愛も茜さんも失いたくないです」
「……………」
「もし、莉愛と上手く行かなかったら本当に……なんというか、想像もしたくないんですよ。莉愛もそうですけど、茜さんとだって……俺と莉愛の関係になんらかのことが起きたら、きっと親同士もぎくしゃくすることになるでしょうし」
「蓮ちゃん……」
「ははっ、滑稽ですね……前に白水にアドバイスされたことあるんですよ。もっと軽く考えた方がいいって。俺は真面目過ぎだって……でも、莉愛と別れた時を考えたら、どうしても―――」
「リスクが全く伴わないお付き合いなんて、この世にいないんだよ?」
突然浮かばれる助言に、蓮の言葉が止まる。
リスクを伴わないお付き合い。でも………でも。
「私だって、この場の重みをちゃんと分かっているつもりよ?莉愛は昔から蓮ちゃん一筋だったし、こうしてアドバイスしてあげたのにもなお、蓮ちゃんと莉愛が上手く行かなかったら―――もちろん、藍子や雅史さんともちょっとは気まずくなるかもしれないしね」
「なら……!」
「でもね、蓮ちゃん。私は自分自身の感情に集中しなかったら、後悔することになるってちゃんと分かってるの」
蓮の目が見開かれる。茜は、コーヒーをもう一口飲んでから言葉を続いた。
「蓮ちゃんは、本当に莉愛が他の誰かと付き合ってもいいと思ってるの?」
「………………………………」
「……頭ではいいと思うけど、感情はそう動かないでしょ?そういうことよ、蓮ちゃん。たくさんミスしたっていいの。たくさん傷ついてもいいのよ。ミスも傷も、巡り巡って蓮ちゃんのための糧《かて》になるから」
「それって、どういう―――」
茜は短く息を吸って、薄笑みを浮かべながら言う。
「ぶつかってみるのは、とても大事なことだからね。蓮ちゃんの真面目さを責めているわけじゃないの。でも、いずれ後悔するか心残りがあることに対しては―――思いっきりぶつけてみた方が、きっといいわ」
「……茜さん」
「これは莉愛の母親としてじゃなく、蓮ちゃんという人間が大好きな七瀬茜としてのアドバイス。もちろん蓮ちゃんはうちの娘と結ばれて欲しいけど、上手く行かなかったって全然いいの。私はただ、親友の息子が幸せになって欲しいだけだからさ」
「…………」
「上手く行かなかったときのことを全く考えるな、と言っているわけじゃないよ。それが十分に起これると分かったうえで、そうならないように頑張る姿勢が大事だって言いたいだけ。蓮ちゃんには、ちゃんと資格があるから」
「……なんの、資格ですか?」
「幸せになる資格ね。たとえうちの娘と結ばれなくても、蓮ちゃんには誰と付き合ったって………きっと、幸せになる資格があるからさ」
もう一度体を前にかがめて、茜は言う。
昔から心底いじらしく考えてきた、幼い男の子であり―――自分の、未来のお婿さんである、蓮に。
「リスクを背負って、頑張ってみなさい。その先にはきっと、何かがあるはずだから」
そこまで思い至っても、蓮はとりあえず白を切ることを選んだ。
なにせ、茜に余計な心配をかけたくはないから。
「どう思ってるかって、そりゃもちろん幼馴染で―――」
「ふ~~ん。ただの幼馴染なんだ?」
「……た、ただの幼馴染ですよ?なにか問題でも?」
「本当に、ただの幼馴染なんだよね?」
「……マジでどこまで知ってるんですか?茜さん」
「私だって全部は知らないよ?莉愛に恋愛のことで相談されたことはなかったし。でもね―――」
そこで、茜は微笑ましい顔で蓮をジッと見つめた。
「なんとなく、分かるんだよね。蓮ちゃん、莉愛と一度付き合って、その後に一度別れたでしょ?」
「…………」
「ごめんね、蓮ちゃん。敏感な話題を出しちゃって」
「……いつから知ってたんですか?茜さんは」
「割とリアルタイムで見てたよ?うちの娘はほら、私に似て感情がすぐ表に出るタイプじゃない」
ああ……そっかと蓮は納得する。確かに、莉愛は自分の感情に素直すぎると言うか、すぐに気分を表現する癖があるのだ。
蓮と莉愛が別れたのは、中学の2年の冬休み。その時から茜は、全部知っていたということになる。
「……それを差し引いても、親としてはさすがに気づくしかなかったよ?莉愛、蓮ちゃんと別れた時に一日中部屋に閉じこもって、ご飯も全く食べなかったからさ。夜中に部屋に行こうとしたら鳴き声が漏れて……ああ、そうなったんだとなんとなく分かったの」
「……ごめんなさい、茜さん。俺が足りなかったせいで―――」
「蓮ちゃんのせいじゃないでしょ?というより、ここは私が謝罪すべきなんじゃないかな。うちの莉愛が蓮ちゃんに迷惑かけたから」
「いえ、莉愛はなにも―――なに、も……」
何も悪くありません、と言いたかったはずなのに、言葉が紡がれない。蓮も分かっているのだ。
二人が別れた理由は、互いのことが嫌いになったからではなく、莉愛の度の過ぎた執着によるもの。
それでコミュニケーションが段々とズレ始めて、そのズレが益々深くなって―――別れたんだから。
「……ふふっ」
「……な、なんで笑うんですか?茜さん」
「ううん、うちの娘って本当に幸せ者だなと、なんとなく思っただけ」
「うっ……!べ、別にそんなんじゃありませんから!!とにかく、俺にとって莉愛はただの幼馴染です!昔には確かに色々ありましたけど、俺にとってあいつは―――」
「大切な存在、でしょ?」
蓮の言葉を遮った茜は、次々と今までの感想を伝え始める。
「蓮ちゃんは気づいていないかもしれないけどね?蓮ちゃんが莉愛を見る時の表情って、ものすごく緩んでいるの。あれ、どう見てもただの幼馴染に向ける視線じゃなかったからさ」
「…………」
「本当にごめんね。私だってあんまり口を挟みたくはないの。それに、蓮ちゃんの行動を一々誘導したくもないし、大人としてそうしてもいけないと思う。でも……まあ、私の勝手な願いだけど」
そこで、茜は苦笑を湛えながら仕方ないとばかりに言葉を紡ぐ。
「うちの娘の旦那様は、やっぱり蓮ちゃんがいいからさ」
「………………」
「こんな負担かけるようなこと言って、本当にごめんね?でも、どう見たって二人は両想いだから……なのに、ちょっとズレているだけだから。それがちょっともどかしくて、二人には幸せになって欲しくて―――我慢ができなかったの。本当に、ごめんね」
大人として、また莉愛の親として、茜は確かな罪悪感を抱いていた。
こんな風に外堀を埋める作業は、莉愛はともかく蓮に負担をかけるものだから。
それをよく理解しているからこそ、茜は何度も謝罪の言葉を口にしているのだ。
でも、やっぱり二人が結ばれて幸せになって欲しいという思いが、茜の中では先立っていた。
二人が幼かった頃、ずっとくっついたまま離れずにいた二人の姿は―――あまりにも、そういう夢を抱かせるには十分すぎるものだったから。
「茜さん」
そして、蓮はやや俯いてからさっきより沈んだ口調で言う。
「俺は、莉愛も茜さんも失いたくないです」
「……………」
「もし、莉愛と上手く行かなかったら本当に……なんというか、想像もしたくないんですよ。莉愛もそうですけど、茜さんとだって……俺と莉愛の関係になんらかのことが起きたら、きっと親同士もぎくしゃくすることになるでしょうし」
「蓮ちゃん……」
「ははっ、滑稽ですね……前に白水にアドバイスされたことあるんですよ。もっと軽く考えた方がいいって。俺は真面目過ぎだって……でも、莉愛と別れた時を考えたら、どうしても―――」
「リスクが全く伴わないお付き合いなんて、この世にいないんだよ?」
突然浮かばれる助言に、蓮の言葉が止まる。
リスクを伴わないお付き合い。でも………でも。
「私だって、この場の重みをちゃんと分かっているつもりよ?莉愛は昔から蓮ちゃん一筋だったし、こうしてアドバイスしてあげたのにもなお、蓮ちゃんと莉愛が上手く行かなかったら―――もちろん、藍子や雅史さんともちょっとは気まずくなるかもしれないしね」
「なら……!」
「でもね、蓮ちゃん。私は自分自身の感情に集中しなかったら、後悔することになるってちゃんと分かってるの」
蓮の目が見開かれる。茜は、コーヒーをもう一口飲んでから言葉を続いた。
「蓮ちゃんは、本当に莉愛が他の誰かと付き合ってもいいと思ってるの?」
「………………………………」
「……頭ではいいと思うけど、感情はそう動かないでしょ?そういうことよ、蓮ちゃん。たくさんミスしたっていいの。たくさん傷ついてもいいのよ。ミスも傷も、巡り巡って蓮ちゃんのための糧《かて》になるから」
「それって、どういう―――」
茜は短く息を吸って、薄笑みを浮かべながら言う。
「ぶつかってみるのは、とても大事なことだからね。蓮ちゃんの真面目さを責めているわけじゃないの。でも、いずれ後悔するか心残りがあることに対しては―――思いっきりぶつけてみた方が、きっといいわ」
「……茜さん」
「これは莉愛の母親としてじゃなく、蓮ちゃんという人間が大好きな七瀬茜としてのアドバイス。もちろん蓮ちゃんはうちの娘と結ばれて欲しいけど、上手く行かなかったって全然いいの。私はただ、親友の息子が幸せになって欲しいだけだからさ」
「…………」
「上手く行かなかったときのことを全く考えるな、と言っているわけじゃないよ。それが十分に起これると分かったうえで、そうならないように頑張る姿勢が大事だって言いたいだけ。蓮ちゃんには、ちゃんと資格があるから」
「……なんの、資格ですか?」
「幸せになる資格ね。たとえうちの娘と結ばれなくても、蓮ちゃんには誰と付き合ったって………きっと、幸せになる資格があるからさ」
もう一度体を前にかがめて、茜は言う。
昔から心底いじらしく考えてきた、幼い男の子であり―――自分の、未来のお婿さんである、蓮に。
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