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冒険者編
金色の豚
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イアの後を歩く黄金の豚。大きさからして子豚だろう、ちっさい。二足歩行。
今感じ取っている魔力は紛れもなくこの豚から出ている魔力だろう。
「あれ、なんでユウトさんがここに?」
「強い魔力を感じただろ? 魔大陸で何かあったのかと思って飛んできたんだ。で、その豚は?」
「大魔法使い様です」
「何を隠そう、この私は、南魔大陸一の魔法使い、ゴピだ!」
ゴピね、魔力からしてイアより格上。俺が魔王を倒した時と同じくらいの実力はありそうだ。
だがなんでこんな豚が? 俺の記憶には豚の見た目で言葉を喋る生物などオークくらいしかいない。
この見た目で魔族だと? 魔物ならわかるが魔族で豚とは……
「おお、ゴピ様。こんにちは」
「む、管理人殿か。毎日ご苦労だな」
「ほほほ、ワシがやりたくてやっとるんじゃよ」
やっと降りてきたじいさんがゴピと会話をし、修練場の奥に入っていった。
こんな小さくても慕われてるんだな。
「で、強い魔力。魔力爆発についてなんだがな。ザンにも言った通り、自然に魔物が現れるようになった」
「え!?」
「ほぉう」
あ、なんだろう。ソウルとはまた違ったウザ味を感じる。
これはあれだ、自分が偉いと信じて疑わないタイプのやつだ。だから必ず上から目線になる。
「ミントとかソウルとかはエルフの村に待機させてる。一旦マールボロまで戻って話し合いをする予定だ。それにイアとザンにも参加してほしい」
「でも、俺たち修行中だぜ?」
「です」
修行中か、マールボロだけじゃない、セブンスタやピース、小麦村やその他の村の魔物対策には時間がかかるだろう。
今はこのパニック状態を解除することを優先させるべきだ。
「話し合いだけでいいんだ。王様もこのことについては困惑してるだろうしさ」
確かに、とイアとザンは頭を縦に振りながら顎に手を当てて同意した。
「私も連れて行ってもらおうか!」
ゴピがイアの頭に乗り、俺に向かって言った。
えぇ……この豚をマールボロまで連れていくのか?
でもまあ、イアの師匠というなら参加する意味はあるにはあるか。
南魔大陸の代表ってことで。
「じゃあ戻るのはザンとイアとゴピでいいな? ザンの師匠はいいのか?」
「師匠は基本修練場からは出てこないぜ」
「そうか、じゃあ連れてかなくていいな」
さて、早速転移を……と思ったが、どうせ魔大陸まできたのだ。ミントの父親がどこにいるのか聞いておこう。
「ゴピ、アイテムマスターってこの街にいるか?」
「アイテムマスター……クダミか? あいつがどうかしたのか? というかなんか上から目線だなお前」
当たり前だろ、魔法使いが実力で態度を変えるなら俺に敬っても敬いきれない。
「どこにいるのか教えてくれ」
「はぁ、今日は酒場にいる、はずだ。酒場は時計塔を出て左だ」
「ありがと、俺が戻ってきたらマールボロまで転移するから準備しといてくれ」
それだけ言い残し、俺は時計塔の入口まで転移した。
* * *
ゴピの言っていたとおりに左に進んだ俺は、酒場であろう建物を見つけ、ドアを開いた。
「いらっしゃーい!」
店員さんのもてなしを躱し、店内を見渡す。
すると、端の方にある席に、大量の荷物をテーブルの上に乗せ、道具をいじっている人を見つけた。
髪は緑がかった青、間違いない、あれがクダミさんだ。
「クダミさんですね?」
「……誰?」
あれだけ目立つ荷物の置き方をしたとは思えない気弱そうな声。若干ミントに似てる。
でも目が開いてるのか開いてないのかわからないな、強キャラって感じがする。
「キウィさんとミントの知り合いです。迎えに来ました」
「え? 迎えに……なんで?」
「いや、あの二人が早く帰ってきて欲しいって言ってるんですよ」
「そっか……なら久しぶりに帰りますかね! で、どうやって帰るので?」
この人がアイテムマスターとかちょっと信じられないな、魔力もそこら辺の魔法使いと同等だし。
「それはこっちで何とかします、今すぐ行きたいんですけど、この荷物とかどうします?」
「そうだな……あ、店員さん、この荷物預かってて貰えないかな」
「またですか? しょうがないですねぇ」
若い女性店員がせっせと片付けを始めた。
わかったぞ、この人タラシだ。天然のタラシだ。
そう考えるとムカついてきたぞ、少し乱暴だが無理やり転移させてもらおう。
転移魔法を使った瞬間店内がざわついたが気にしない。
「よし、出発しようか! ってえええ!? なんか身体が光って」
シュンっと修練場へ。
ザンとイアはもう準備が出来ているようだ。
「あれ……修練場? おお、ザンくんにイアちゃんじゃないか!」
「お久しぶりだぜ」
「お久しぶりです」
そういや面識あるんだっけ。
ゴピはどこだ。
「ゴピは?」
「私だァ!」
通路の角からひょこっとゴピが出てくる。
別にリアクションはとらなくていいな、さっさと転移しよう。
「反応してくれてもよいのだぞ?」
「転移するからな」
「む、あの青く光るあれか!」
一人で全員分のリアクション取れるんじゃないだろうか。
マールボロ城、一気に人が増えそうだ。
この四人を連れていったあとにエルフの村に戻り、さらに四人転移。とんでもない会議になりそうだ。
今感じ取っている魔力は紛れもなくこの豚から出ている魔力だろう。
「あれ、なんでユウトさんがここに?」
「強い魔力を感じただろ? 魔大陸で何かあったのかと思って飛んできたんだ。で、その豚は?」
「大魔法使い様です」
「何を隠そう、この私は、南魔大陸一の魔法使い、ゴピだ!」
ゴピね、魔力からしてイアより格上。俺が魔王を倒した時と同じくらいの実力はありそうだ。
だがなんでこんな豚が? 俺の記憶には豚の見た目で言葉を喋る生物などオークくらいしかいない。
この見た目で魔族だと? 魔物ならわかるが魔族で豚とは……
「おお、ゴピ様。こんにちは」
「む、管理人殿か。毎日ご苦労だな」
「ほほほ、ワシがやりたくてやっとるんじゃよ」
やっと降りてきたじいさんがゴピと会話をし、修練場の奥に入っていった。
こんな小さくても慕われてるんだな。
「で、強い魔力。魔力爆発についてなんだがな。ザンにも言った通り、自然に魔物が現れるようになった」
「え!?」
「ほぉう」
あ、なんだろう。ソウルとはまた違ったウザ味を感じる。
これはあれだ、自分が偉いと信じて疑わないタイプのやつだ。だから必ず上から目線になる。
「ミントとかソウルとかはエルフの村に待機させてる。一旦マールボロまで戻って話し合いをする予定だ。それにイアとザンにも参加してほしい」
「でも、俺たち修行中だぜ?」
「です」
修行中か、マールボロだけじゃない、セブンスタやピース、小麦村やその他の村の魔物対策には時間がかかるだろう。
今はこのパニック状態を解除することを優先させるべきだ。
「話し合いだけでいいんだ。王様もこのことについては困惑してるだろうしさ」
確かに、とイアとザンは頭を縦に振りながら顎に手を当てて同意した。
「私も連れて行ってもらおうか!」
ゴピがイアの頭に乗り、俺に向かって言った。
えぇ……この豚をマールボロまで連れていくのか?
でもまあ、イアの師匠というなら参加する意味はあるにはあるか。
南魔大陸の代表ってことで。
「じゃあ戻るのはザンとイアとゴピでいいな? ザンの師匠はいいのか?」
「師匠は基本修練場からは出てこないぜ」
「そうか、じゃあ連れてかなくていいな」
さて、早速転移を……と思ったが、どうせ魔大陸まできたのだ。ミントの父親がどこにいるのか聞いておこう。
「ゴピ、アイテムマスターってこの街にいるか?」
「アイテムマスター……クダミか? あいつがどうかしたのか? というかなんか上から目線だなお前」
当たり前だろ、魔法使いが実力で態度を変えるなら俺に敬っても敬いきれない。
「どこにいるのか教えてくれ」
「はぁ、今日は酒場にいる、はずだ。酒場は時計塔を出て左だ」
「ありがと、俺が戻ってきたらマールボロまで転移するから準備しといてくれ」
それだけ言い残し、俺は時計塔の入口まで転移した。
* * *
ゴピの言っていたとおりに左に進んだ俺は、酒場であろう建物を見つけ、ドアを開いた。
「いらっしゃーい!」
店員さんのもてなしを躱し、店内を見渡す。
すると、端の方にある席に、大量の荷物をテーブルの上に乗せ、道具をいじっている人を見つけた。
髪は緑がかった青、間違いない、あれがクダミさんだ。
「クダミさんですね?」
「……誰?」
あれだけ目立つ荷物の置き方をしたとは思えない気弱そうな声。若干ミントに似てる。
でも目が開いてるのか開いてないのかわからないな、強キャラって感じがする。
「キウィさんとミントの知り合いです。迎えに来ました」
「え? 迎えに……なんで?」
「いや、あの二人が早く帰ってきて欲しいって言ってるんですよ」
「そっか……なら久しぶりに帰りますかね! で、どうやって帰るので?」
この人がアイテムマスターとかちょっと信じられないな、魔力もそこら辺の魔法使いと同等だし。
「それはこっちで何とかします、今すぐ行きたいんですけど、この荷物とかどうします?」
「そうだな……あ、店員さん、この荷物預かってて貰えないかな」
「またですか? しょうがないですねぇ」
若い女性店員がせっせと片付けを始めた。
わかったぞ、この人タラシだ。天然のタラシだ。
そう考えるとムカついてきたぞ、少し乱暴だが無理やり転移させてもらおう。
転移魔法を使った瞬間店内がざわついたが気にしない。
「よし、出発しようか! ってえええ!? なんか身体が光って」
シュンっと修練場へ。
ザンとイアはもう準備が出来ているようだ。
「あれ……修練場? おお、ザンくんにイアちゃんじゃないか!」
「お久しぶりだぜ」
「お久しぶりです」
そういや面識あるんだっけ。
ゴピはどこだ。
「ゴピは?」
「私だァ!」
通路の角からひょこっとゴピが出てくる。
別にリアクションはとらなくていいな、さっさと転移しよう。
「反応してくれてもよいのだぞ?」
「転移するからな」
「む、あの青く光るあれか!」
一人で全員分のリアクション取れるんじゃないだろうか。
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