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㉚破滅の口吸い
しおりを挟む光瑠(みちる)…何かに依存する人をどん底まで堕とすのが好きで、破滅した相手を可愛がりたくて仕方ない。いとこである梢子の弱味を握っており、とことん破滅させて可愛がりたいと思っている。
梢子(しょうこ)…光瑠のいとこ。養父から虐待を受けていた過去を持っているが…。その光景を光瑠に見られて以降、光瑠の傍で守られている(見張られている)。光瑠より年下。
※光瑠視点
梢子「ねぇ、光瑠…」
光瑠「何?」
梢子「…人を破滅させるなんてこと、辞めようよ。見てて心が痛むの…」
光瑠「へぇ。……心を痛めながらも私の言うことに従っていた貴女がそんなことを言うんだぁ?」
梢子「…そ、それは……」
梢子は私から逃れることは出来ない。
10年前、その光景を私が見たあの時から。
なんたって、梢子という女は、私の好みに当てはまりすぎているから。
光瑠「……忘れた訳じゃないよね、あの光景」
梢子「……」
光瑠「貴女は所詮、私に依存して生きて行かなきゃいけない、操り人形なの。だから、梢子、私の言うことにさえ従っていればいいのよ。私以外の人間は貴女にとって何の価値も無いの。私と一緒にいれば、貴女のことを守ってあげられる。何があっても、私は貴女の味方だからね」
私の顔を見て、私の目を見て、私の言葉に耳を傾ける貴女。
可愛くて、美しくて、愛おしい。
さぁ、もっとその顔を見せて頂戴。
光瑠「……大丈夫よ」
貴女の頭を撫で、頬に触れ、顎に指を這わせる。
顎を少し上げて、私の目を見るよう命じ、私は語りかける。
光瑠「この私が言うんだから大丈夫。たとえ警察に捕まったとしても、貴女が起こした殺人は誰にも言わないから……フフ」
梢子は虐待を受けていた養父を、その手で命を奪った。
私は返り血がついて生々しい姿の梢子を見た。
以前から梢子に好意を持っていた私はここぞとばかり、梢子に詰め寄り私の傍から離れぬよう言い聞かせた。
殺しに関しては何も言わないことを約束し、私がしようとしていることに関して文句も反対も言わないことを条件につけて。
梢子「……後悔しているの、私。たとえ虐待を受けていても、命を奪ってはいけない。どんな理由があろうと、それが正当になる訳では無い。……だから、私………」
梢子の耳元で、悪魔のように囁く。
光瑠「……私から逃げられると思わないで」
そう囁かれた貴女は恐怖に怯える表情をした。
これだから貴女のことが好きなの。
ああ、可愛すぎて、可笑しくなってしまうわ。
光瑠「……もう、大丈夫なのよ。貴女のことは、私が最後まで面倒を見るんだから」
そう言って私は、顎を少し上げたまま、梢子の唇に自分の唇を重ねて、口封じをした。
大丈夫、貴女はこの口吸いを、拒否することなんて出来ない。
だって、心のどこかで、体のどこかで、私の口吸いを求めているんだから。
光瑠「…ん、美味しい。甘くて、柔らかくて、私を酔わせる唇をしているわ。本当に私をこんな風にさせるなんてイケナイ子ね、梢子」
梢子「ん……光瑠…、やめて…」
光瑠「…貴女ってそんなことを言える立場なの?」
梢子「…」
光瑠「分かっているなら黙って私のことだけ考えてなさい。ほら、もっと私を酔わせなさいよ。失うものは何も無いんだから、怖くないでしょう?……んん、あぁ、気持ちイイ、貴女は?」
梢子「……気持ち、イイ…で、す…ん」
光瑠「…フフ。それでいいのよ、私の可愛い、梢子ちゃん。そのまま、もっと深い所まで堕ちてくるのよ。貴女を愛せるのは、私だけ、なんだから。……んん、ぁん…ちゅっ……」
梢子「……んんっ…っっ…っっ……ん」
私たちを引き裂く者は誰であっても許さない。
梢子はあの日から、私という檻の中に居るのよ。
その鍵を開けられるのは、私だけ。
梢子を愛せるのも、閉じ込めるのも、唇を奪えるのも、何もかも出来るのは、この私だけなのよ。
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