精霊都市の再開発事業

白石華

文字の大きさ
上 下
28 / 62
第四章

ようやく迎えた、週末

しおりを挟む
「くあ~っ! んまかったな~!」
「皆さんもお疲れさまでした。」

 俺が帰り道、みんなで社宅に歩いて戻っていくときに大きく伸びて言うと、ベルさんが毎度の気配りを見せる。

「お疲れ様よね、私もみんなも。」

 サシガネも言う。サシガネには苦労をさせたな。ホント、サシガネなのにこんなに付いて来ようとしてくれるとは思わなかった。

「うんうん。ホント一週間とは思えないくらい、沢山の事があったな~。」

 カンナも言うが、カンナがここに来るに至るまでの話も、いつも明るいカンナの身にあったとは思えないような話だったな。人生って積み重ねていくと、そういう事だってあるのだろう。

「ああ。特に遺跡探索とシーガルがこっちに来るのは完全に想定外だったからな。」
「そうですね。こんな形でまた、関わることになるとは思いませんでしたが……。」

 ベルさんが呟くが過去にどんな事があったのかは絶対に聞かないぞ俺は。

「あ、そうだ。サシガネさん。」
「何ですか、ベルさん。」
「サシガネさんは特に……出生に秘密があるとかそういう事は無いですよね?」
「いきなり何、聞いてくるんですか。何にもないですよ。」
「そうですよね……。」
「あの、サシガネが珠姫とかって人に似ているとか、そういう話ですか?」
「はい、似ているだけでしたから……当然そういう事ってあると思いますし。」
「ああ。それはないと思いますよ。」

 サシガネがキッパリと答える。

「私……そういう境遇だったら……ここで働いていないです。」
「ははは! そういやそうだったな!」
「アンタ笑い事じゃないでしょ。自分の会社なんだから。」
「ああ悪い悪い。ちょっと安心しちまってよ。お前がその……どっか行っちまうんじゃないかってな。」
「そんな訳……ないでしょ。」
「おう。そうだな!」
「ふふふ。」
「へへー。」

 サシガネと俺が話している内にベルさんとカンナとで微笑ましそうにこっちを見てくる。

「やっぱりこう、二人って仲いいんだねーってなった。」
「そうですね。」
「……。」

 サシガネがベルさんとカンナに見守られているからか。とても決まりが悪そうである。

「あ、あの、私……。」
「いいのいいの、サシガネさん!」

 カンナがサシガネの背中をバンバンと叩いている。

「ええ。私も……二人はそうだって、知っていますから。」
「う、うん……はあ……成長していないのは私だけか~……。」

 サシガネは二人に囲まれて大きく息を吐いている。俺はカンナとベルさんの人間が大きすぎるから比べると何かとあるんだろうな、と思ってしまうも。

「まあよ、こうなっちまったら、俺が全員、面倒見ますし。それに関しては俺が何とかします。」
「そうだねー。社長、よろしく!」
「ええ。サシガネさんに言うより、社長にかな~って。」
「ですねえ。」

 どうやら俺にかかっているようだった。鬼畜な例えだが、みんながサシガネに嫉妬しても俺がサボったら変わらねーもんな。絶対にそうすまい。絶対にだ。

「それじゃあ早速。社宅に帰りますか。みんなはどうします?」
「うん。私は寄ってもいいけど、コンビニスイーツ買ってからね。」

 サシガネはベルさんの言葉を忘れていなかった。

「それじゃあ。私も。」
「あたし、しょっぱいのも買う!」

 という訳でみんなでコンビニに寄って、また俺の部屋に集まる事になったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18 】必ずイカせる! 異世界性活

飼猫タマ
ファンタジー
ネットサーフィン中に新しいオンラインゲームを見つけた俺ゴトウ・サイトが、ゲーム設定の途中寝落すると、目が覚めたら廃墟の中の魔方陣の中心に寝ていた。 偶然、奴隷商人が襲われている所に居合わせ、助けた奴隷の元漆黒の森の姫であるダークエルフの幼女ガブリエルと、その近衛騎士だった猫耳族のブリトニーを、助ける代わりに俺の性奴隷なる契約をする。 ダークエルフの美幼女と、エロい猫耳少女とSEXしたり、魔王を倒したり、ダンジョンを攻略したりするエロエロファンタジー。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

クラスで一人だけ男子な僕のズボンが盗まれたので仕方無くチ○ポ丸出しで居たら何故か女子がたくさん集まって来た

pelonsan
恋愛
 ここは私立嵐爛学校(しりつらんらんがっこう)、略して乱交、もとい嵐校(らんこう) ━━。  僕の名前は 竿乃 玉之介(さおの たまのすけ)。  昨日この嵐校に転校してきた至極普通の二年生。  去年まで女子校だったらしくクラスメイトが女子ばかりで不安だったんだけど、皆優しく迎えてくれて ほっとしていた矢先の翌日…… ※表紙画像は自由使用可能なAI画像生成サイトで制作したものを加工しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...