精霊都市の再開発事業

白石華

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第四章

着任より一週間、終了と、みんなでバーベキュー

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「おお~。肉が焼けた~。」
「まだ捌いたばかりですが……あの場所で取れたお肉は柔らかそうですね。」
「私もお肉食べるー!」
「あたしもー!」
「私も頂いていいんですね。」
「ああ、梅花さんもシーガルも興味あったなら参加して良かったんですよ。
 みんなで狩ったんですし。」
「ありがとうございます! 美味しそうだな~!」

 今日は週末バーベキューだし、梅花さんもシーガルも参加してくれたし遠慮はいらないのだった。

「はい。まずは塩焼きで食べてみましょうか。」

 梅花さんたちから順に、ベルさんが肉を配っていく。

「はい、社長も。」
「ありがとうございます! むぐむぐ……おっ。塩焼でもうまい。」
「ここの海塩とか藻塩とかを振っていますからね~。」
「へー。うまい塩だと肉の旨味とで味が引き立つんですね。」
「そうですね。雑味が一番、少ない味だと思いますし。こう言う時はこんがり焼いて。
 肉臭さより香ばしさの方を立たせるようにして。炭火で焼いていますからね。」

 ベルさんは肉の焼き方にも造詣があった。レアとかミディアムとか好みはあるから各自の好みで最後はいいんだけどな。
 
「確かに表面がサクサクしていて美味しいわよね。中がしっとりで。」

 サシガネもお肉の味を堪能している。

「うん。美味しい美味しい。炭火焼きステーキがみんなで食べられるってバーベキューすごいね!」

 カンナがここ最近にしては珍しく長い文で飯について語っている。みんなでうまい肉を食べられてお前も嬉しいのか。

「……美味しい。」
「美味しいですね。」

 梅花さんとシーガルも、言葉は少ないが美味しそうに食べていた。

「あ~ビール呑みて~。」
「いきなり何言ってんのよ。」

 シーガルをちらっと見て、言うサシガネだが。

「ああ……今日もノンアルビールにして、家で一杯やっとくか。」
「はい~。オーブンで焼き直すだけでも温まるような大きさに切って、包んでおきますね。」

 ベルさんが毎度の気配りを披露していた。

「それじゃあ、次はシャリアピンソースに。」
「おお!」

 日本が誇るステーキソースの味だがこれは名前を知らないだけでみんな食ったことがあるソースだ!

「お酢をバルサミコにして洋風を意識しました。」
「いいですね! そういうのもアリか! んぐんぐ……おお、これも煮詰めて濃厚な味わい。」

 バルサミコ酢は煮詰めるだけでソースになるのだがソースに混ぜてもいいようだ。

「はい。お醤油とお砂糖と相性がいいんですね。次はハーブバターソース。」
「これもうめえ!」
「ニンニクとねぎと塩だれ。」
「うまい!」

 俺は段々、語彙力が無くなってきたから割愛していくが。とにかくうまいものをベルさんにしこたま食べさせてもらった。

「お肉を捌いたときに出た、スジ肉と切れ端ですが、これはシチューやカレー。
 ミンチにしてハンバーグにしたりします。」
「へ~。すね肉とか焼くの、時間かかりそうですからね。」
「はい、こっちはビールとハチミツ、キノコとかとダッチオーブンで煮るんですが。
 更にその前にお肉を調味料と玉ねぎで漬けこんでおいて柔らかくしておきました。」
「おおお……。」

 ベルさんの器用さが半端じゃなかった。

「ベルさんって本当に料理、上手なんですね。」

 梅花さんも感心している。

「サバイバル生活と動物からお肉を捌くのは慣れていますから。」

 ベルさんがすごい返しを見せた。

「確かに。ここまでの技術は料理上手の範疇を越えてましたね。」

 律儀に訂正までしている梅花さん。

「僕もお肉、捌けるようになれますか?」

 シーガルまでベルさんを目指そうとしている。こんなうまいものが遺跡で狩れて、梅花さんも喜んでいるみたいだしな。

「はい。今度は二人で捌きましょうね。」
「はい!」

 肉の解体はグロいと思うんだが。二人はとても嬉しそうだった。

「は~。それにしても最初の週末か~。ここに来てから慌ただしかったけど。何とかやり遂げられた。
 って感じよね。」

 サシガネが言う。

「うんうん。あたしも。精霊建築士の資格、取れそうな感じでよかったよ!」

 カンナも今の所、順調だからな。

「私は……どうなる事かと思いましたが、ここでノンビリ過ごせそうで良かったです。」

 ベルさんも俺たちのことは最初は心配だったようだ。

「あの、ベルさん。何でもやらせすぎちゃってすみません。」

 俺は速攻、ベルさんに声を掛けた。

「いえいえ。でも、こうなっちゃうと私が休んじゃったら受付は誰がするのかなって。」
「僕がやります。」

 シーガルが答える。

「ふふ。それじゃあ、その時はよろしくお願いしますね。」
「はい!」

「シーガルも入ってくれてよかったよな~、サシガネ一人じゃ事務は心配だったし。」
「ええ。それは本当に……電話応対もちょっと苦手……喋れなくて。怒鳴られたら絶対無理。」

 サシガネが青い顔になって、うんうん頷いている。こればっかりはどうしようもねーからな。

「ああ。でもそういうのは俺に繋いでくれよな。俺が応対するからよ。」
「そうですね。現場に向かっている社長に繋ぐお仕事が電話応対は大体ですし。」

 大体が伝言と、俺に繋ぐまでもない用事はメモと。緊急の時は俺に繋ぐぐらいだし。
 向こうで処理する案件で電話を繋いでもらうのはまた別だが。そういうののやり取りだから俺も対応するのだった。

「そこに至れないから電話は無理……。」

 サシガネの顔はまだ青かった。電話応対ってハードル高いんだな。

「まあ、とにもかくにも、一週間、無事終わったことだし最後はみんなで乾杯するか!」
「いいわよ。」
「おッけ―!」
「私も頂きますね。」
「乾杯の音頭はトンカさんで。」
「僕も頂きます!」

 みんなそれぞれ、グラスに飲み物を注いでいくと。

「「「カンパーイ!」」」

 最後に乾杯をしたのだった。
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