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第四章
シーガルの記憶とは
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「今日は週末だからガッツリ、豚とか牛とか食いてーけど、パイソンとか出てこねーかな。」
俺は歩きながらハンマーを素振りする。既にモンスターを狩ってバーベキューの事で頭がいっぱいだった。ついでに隊列はベルさんを真ん中にして、俺とカンナが脇に構えている。ベルさんを中心と左右にどちらでも飛べるガード役にするとか、俺の立場よ、と思わなくもない。
「そんなに探して出てくるもんじゃ……あっ。」
「べへ~。」
羊のモンスターが現れた! 顔つきは獰猛である! 草食動物が狂暴なのは割とあるあるだからな!
「よっしゃマトン肉、食ったらー! 羊毛も売って素材にしてやんよ!」
俺は全力で羊をぶん殴った。
「うべ~。」
羊を倒した!
「よっしゃ肉ゲット!」
「ここはヤギとか羊とかが出てくる草原みたいなステージだから。牛も探せばいるかもね。」
「マジか! 黒毛牛、いたらステーキにしてやんぜ!」
サシガネの言葉に俺はやる気満々だった。
「それにしても草原と家畜みたいな生き物までいるなんて。ここはどこなの? 梅花さん。」
「はい……特に気にされる必要はないかと。」
「ふうん、何で?」
「恐らく、ここの主人は……。」
梅花さんがシーガルを見る。
「本当に、僕でいいんでしょうか?」
「はい。貴種流離譚に従えば、一度霊性を失った身分ある立場の者が流刑のような目に遭い。
再び何かを成し遂げたときに霊性と身分を取り戻したり。
霊性にふさわしい立場を得たりするはずです。
もしかしたらそれが、今している事なのかもしれません。」
「へ~。そういう話もあるんですね。」
「はい。ひょっとしたらここは……。」
織物小屋まで見えてきた。織物の糸や綿の入ったズタ袋が小屋の前に見えたからだが。
「天岩戸ですか?」
ベルさんが確認する。何で知っているんだとは聞かない。俺は絶対に。
「……シーガル。ちょっと、二人で行きましょうか。」
「……はい。」
シーガルは織物の小屋の中に入っていった。
「俺たちは待っていればいいのか?」
「私、後衛は一人じゃ無理だと思うけど、牛狩るくらいなら付き合うわよ。」
「あ~、いい。やめとく。」
「悪いわね。」
「いいえ。バックアタックだと真っ先に狙われるのはサシガネさんですから。」
「そーそー。危ないことは牛を前にしてもやらないよ。」
サシガネの言葉に全員が乗ってくれる辺り。やっぱりここ、いい所になってくれたよなって俺も思うようになる。こういうの、社員に甘えてサシガネに幅利かせさせているみたいであんまりなんだが。狩りだからしょうがねえよな、と思っていると。
「ンモ~。」
牛があらわれた! 黒毛のツヤツヤした牛だ!
「よっしゃああああ! 今夜は一頭で焼肉じゃー!」
「あ……さっきまでの展開を。」
俺がハンマーを振り回して牛を殴る。
「モ~。」
牛も倒れた!
「こんだけあれば、今夜と休日とバーベキューだぜ!」
「はいはい。全く。」
牛を引きずってきた俺にサシガネは呆れたようになると。
「ただいま戻りました。」
織物小屋の戸が開いて、梅花さんとシーガルが戻ってきた。
「すみません。お待たせしました。」
「ああ、いいぜ。俺たちも狩ってたからよ。」
「正確には牛に目がくらんだあんただけだけどね。」
「ほっとけ。そんでどうします、これから。」
梅花とシーガルに確認すると。
「そう、ですね。ここに戻れたという事は、資格を得たという事だそうです。」
「へー。どこのです?」
「はい。この前、海色の金属を得ましたよね?」
「ああ、はい。」
「それで建てられる、もう一つの遺跡の場所に……向かっていいと。」
「へー。それじゃあ、次の狩りはそれを再建してからですか?」
「はい。それと、ここも試練ですから、ここも潜っていいそうです。」
「ほー。太っ腹ですね。」
「ええ……この国は……試練を与えるのがしきたりみたいですからね。
だからここの生き物も狩ってていいそうですよ。自力で行う事は試練とみなすそうです。」
「おお。」
「事前に聞かずに狩ってたわね。」
今日はこのくらいにして、去るのだろうか、そう思っていると。
「それと……眼鏡を見つけた場所。そこも気になります。」
梅花さんが呟く。
「これは私とシーガルで探しましょう。」
「はい。」
梅花さんとシーガルでも探索を行うようだ。
「記憶のかけらはここに流れつくのかもしれませんね。」
「そういうもんなんですね。」
梅花さんの言葉には頷くぐらいしか俺も返せなかった。ひとまず今回の狩りは終わった。何があったのかは気になるが知ったら消されると怖いし、俺は穏やかに済ませようとしていた。
俺は歩きながらハンマーを素振りする。既にモンスターを狩ってバーベキューの事で頭がいっぱいだった。ついでに隊列はベルさんを真ん中にして、俺とカンナが脇に構えている。ベルさんを中心と左右にどちらでも飛べるガード役にするとか、俺の立場よ、と思わなくもない。
「そんなに探して出てくるもんじゃ……あっ。」
「べへ~。」
羊のモンスターが現れた! 顔つきは獰猛である! 草食動物が狂暴なのは割とあるあるだからな!
「よっしゃマトン肉、食ったらー! 羊毛も売って素材にしてやんよ!」
俺は全力で羊をぶん殴った。
「うべ~。」
羊を倒した!
「よっしゃ肉ゲット!」
「ここはヤギとか羊とかが出てくる草原みたいなステージだから。牛も探せばいるかもね。」
「マジか! 黒毛牛、いたらステーキにしてやんぜ!」
サシガネの言葉に俺はやる気満々だった。
「それにしても草原と家畜みたいな生き物までいるなんて。ここはどこなの? 梅花さん。」
「はい……特に気にされる必要はないかと。」
「ふうん、何で?」
「恐らく、ここの主人は……。」
梅花さんがシーガルを見る。
「本当に、僕でいいんでしょうか?」
「はい。貴種流離譚に従えば、一度霊性を失った身分ある立場の者が流刑のような目に遭い。
再び何かを成し遂げたときに霊性と身分を取り戻したり。
霊性にふさわしい立場を得たりするはずです。
もしかしたらそれが、今している事なのかもしれません。」
「へ~。そういう話もあるんですね。」
「はい。ひょっとしたらここは……。」
織物小屋まで見えてきた。織物の糸や綿の入ったズタ袋が小屋の前に見えたからだが。
「天岩戸ですか?」
ベルさんが確認する。何で知っているんだとは聞かない。俺は絶対に。
「……シーガル。ちょっと、二人で行きましょうか。」
「……はい。」
シーガルは織物の小屋の中に入っていった。
「俺たちは待っていればいいのか?」
「私、後衛は一人じゃ無理だと思うけど、牛狩るくらいなら付き合うわよ。」
「あ~、いい。やめとく。」
「悪いわね。」
「いいえ。バックアタックだと真っ先に狙われるのはサシガネさんですから。」
「そーそー。危ないことは牛を前にしてもやらないよ。」
サシガネの言葉に全員が乗ってくれる辺り。やっぱりここ、いい所になってくれたよなって俺も思うようになる。こういうの、社員に甘えてサシガネに幅利かせさせているみたいであんまりなんだが。狩りだからしょうがねえよな、と思っていると。
「ンモ~。」
牛があらわれた! 黒毛のツヤツヤした牛だ!
「よっしゃああああ! 今夜は一頭で焼肉じゃー!」
「あ……さっきまでの展開を。」
俺がハンマーを振り回して牛を殴る。
「モ~。」
牛も倒れた!
「こんだけあれば、今夜と休日とバーベキューだぜ!」
「はいはい。全く。」
牛を引きずってきた俺にサシガネは呆れたようになると。
「ただいま戻りました。」
織物小屋の戸が開いて、梅花さんとシーガルが戻ってきた。
「すみません。お待たせしました。」
「ああ、いいぜ。俺たちも狩ってたからよ。」
「正確には牛に目がくらんだあんただけだけどね。」
「ほっとけ。そんでどうします、これから。」
梅花とシーガルに確認すると。
「そう、ですね。ここに戻れたという事は、資格を得たという事だそうです。」
「へー。どこのです?」
「はい。この前、海色の金属を得ましたよね?」
「ああ、はい。」
「それで建てられる、もう一つの遺跡の場所に……向かっていいと。」
「へー。それじゃあ、次の狩りはそれを再建してからですか?」
「はい。それと、ここも試練ですから、ここも潜っていいそうです。」
「ほー。太っ腹ですね。」
「ええ……この国は……試練を与えるのがしきたりみたいですからね。
だからここの生き物も狩ってていいそうですよ。自力で行う事は試練とみなすそうです。」
「おお。」
「事前に聞かずに狩ってたわね。」
今日はこのくらいにして、去るのだろうか、そう思っていると。
「それと……眼鏡を見つけた場所。そこも気になります。」
梅花さんが呟く。
「これは私とシーガルで探しましょう。」
「はい。」
梅花さんとシーガルでも探索を行うようだ。
「記憶のかけらはここに流れつくのかもしれませんね。」
「そういうもんなんですね。」
梅花さんの言葉には頷くぐらいしか俺も返せなかった。ひとまず今回の狩りは終わった。何があったのかは気になるが知ったら消されると怖いし、俺は穏やかに済ませようとしていた。
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