わがまま妃はもう止まらない

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クリストファーがルンバートと話した後、部屋に戻るとミルアージュはもう就寝していた。

きっと明日にはいつも通りのミルアージュに戻っているのだろう。
そして、何もなかったように笑うのだ。

「私を信用してくれ、ミア。」
寝ているミルアージュの髪にキスを落とす。

ミアが私を頼りにしてくれる日はくるのだろうか。

ハァとため息を吐き、クリストファーはミルアージュから離れソファにドカッと座った。

王城に戻れば、父上と話をしなければならない。
ミアを女王にする計画について…

ミルアージュが政務官で働いていた時、ルーマン王はクリストファーよりもミルアージュを頼っていたのを思い出していた。

父上は問題ない。

私に不満を持っている父上ならミアを女王にする事に反対はしない筈だ。
いや、あの頼り方をみると喜ぶかもしれないな。

あとはプライドだけは高くて、ミアに仕えることができない貴族たちをどうするのかだが…

焦らず少しずつ、少しずつ減らす。

ミアは粛正には同意してくれる。
不正を嫌うからな。
ならば、大義名分を探すだけでいい。
元々、貴族など粗などいくらでもある連中ばかりだ。

私の得意分野。
あぁ、楽しみだ。

クリストファーはミルアージュを苦しめる存在の排除を思い描き、ゾクゾクしていた。
これが本来の私だ。
ミアの手前我慢をしていたが、もう我慢はしない。

「‥クリス何を考えているの？」
ミルアージュはベットから起き上がってクリストファーの方を見ていた。

そんなミルアージュののそばによりベットに腰をかけると手を引き抱きしめた。

「ミア、何でもないよ。王城に戻った後の事を考えていたんだ。ミアが私のそばにいてくれると言ってくれたのだから、記念に何かしようかなとね。」

「…何もしなくてもいいわよ。」
殺気が漏れ出るような事を考えていたくせに…
そう言いたかったが、今聞いたところでクリストファーははぐらかすのはわかっている。

クリストファーが部屋に入ってきた時からミルアージュは起きていた。
さっきの話の続きをしたくなくて寝たフリをしていたが、クリストファーの殺気にあてられ思わず声をかけたのだ。

何が「私を信用してくれ」よ。
私には何も話さないのはクリスも同じなのに。

クリストファーの才能も内面に抱える欲望もミルアージュは知らなかった。

ミルアージュはクリストファーという存在をわからなくなっている。
自分に見せているのは本当のクリストファーではないのではと勘繰ってしまう。

今も殺気を醸し出す何かを考えていたのだ。
何に殺気を向けたのかすらミルアージュにはわからず困惑した。

クリストファーはミルアージュの唇に合わせるだけのキスをする。
そしてクリストファーはにっこり笑う。

「そうはいかない。ミアが幸せにならないといけないから。」

「…」
ミルアージュはそんなクリストファーに反応しなかった。

その幸せがミルアージュの望むものとは思えなかったからだ。

そう、2人の溝が次第に広がっている事にクリストファーはまだ気づいていない。