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「そういうと思ったよ。いつも公平を大切にする真面目なミルアージュ殿にはできない事はわかっている。」
誰しも他の人に見せたくない弱さがある。
それを本人から聞くのではなく、勝手に知る事は卑怯だ。
ミルアージュならそう思うとマカラックにはわかっていた。
「本人許可は後から取ればいい。クリストファー殿はあなたが望めば拒否はしない」
マカラックはまだ笑っている。
「マカラック様、どうかされたのですか?」
ミルアージュは目の前のマカラックがいつもと雰囲気が違う事に気付いた。
目の前のマカラックは笑っている。
それなのに、どうして余裕がないように見えるのだろうか。
どうしてそんなに悲しそうな顔をしているのだろう…
ミルアージュがマカラックの表情に気をとられたのは一瞬の事だった。
マカラックはミルアージュの質問に答えず、手の中の青白い光の玉を拡大させミルアージュを包み込んだ。
「…あいかわらずミルアージュ殿は鋭いな。もうあまり時間がないのだ。少しくらいの無礼は許してもらいたいな。」
マカラックはミルアージュを包んでいる青白い玉に手をかざすと光はマカラックの手の中に吸収された。
「向こうから戻ってくるのにまだちょっと時間がかかるな。もう一人の頑固者のところにも行っておくか。本当にあの二人はいつまでも皆に心配をかける者達だ。」
マカラックはため息をついた後、姿を消した。
ミルアージュと別れた後、クリストファーは自己嫌悪に陥っていた。
どうやって宿に戻ってきたのかわからない。
気づけば椅子に座り机に両手をつき頭を抱えていた。
「なぜ、あんな事を言ってしまったんだ…」
国内の管理ができていず、領地で問題が起こったのは王太子である私の責任だ。
女性の継承権もの問題もそうだ。
前々からわかっていたのに、貴族達の反対が大きく何の対応もできていなかった。
現貴族の領主は男が多い。
実際に男であるため、優遇されてきた。
それを変える事にいい顔をするわけがないが、抑える手段がないわけではなかった。
だが、その反感は王太子である私ではなく、ミアに向く事もわかっていた。
ただでさえ貴族達に目をつけられていたミアに反感の目を向けさせたくなかった。
ミアの地位が確立すれば、変えるつもりだったなんて言い訳だ。
この街を新婚旅行に選んだのも私だ。
いきなり決まった事とはいえ、何の下調べもせず、数年前の情報を鵜呑みにしてこの街に来た。
ミアはこの国の王族としてするべき事をしようとしただけ。
本来なら私がするべきことを。
国や民を軸に考える事はできない私はミアを私の持論で責めた。
レンドランドの話も出すべきではなかった。
「はぁぁぁぁぁ、ただの八つ当たりだ。ミアが悪いわけではないのに…」
他者に甘いミアが傷つくのが嫌だった。
それで自分がミアを傷つけているのだから矛盾しかない。
「よくわかっているじゃないか。」
クリストファーは声のする方向に体ごと振り返り、剣を抜いた。
マカラックは両手を上げて降参のジェスチャーをした。
マカラックの首のすぐ近くまでクリストファーの剣が迫っている。
マカラックの髪に剣が当たったのだろう。
パラパラと髪の毛が地面に落ちた。
「いきなり剣を抜くとは物騒だな。いつもなら姿を表す前に私の気配を感じ取っているのに、何をそんなにボーとしているのだ。」
マカラックは剣を鞘にしまうクリストファーに言う。
「いきなり切りかかりすみません。」
クリストファーはマカラックに一礼をする。
その態度は本当に悪いなんて思っていない表面的な謝罪だった。
「本当だな。私と一緒にミルアージュ殿も死ぬところだったぞ。」
マカラックは手のひらに青白い光を出しその中にミルアージュの姿を浮かび上がらせた。
それを見たクリストファーは剣をもっていない方の手でマカラックの胸ぐらを掴んだ。
「ミアに何をしたんだ!」
クリストファーからの殺気を正面から近距離で受けたマカラックは恐怖を感じ体がビクッと固まった。
ここ数年は力が衰えていたが、今のマカラックは全盛期の時よりも力に湧いている。
そんな聖力が誰より強いマカラックは恐怖を他者から与えられることはない。
こんな子どもの殺気に当てられるなんて、1000年以上生きてきて、まだ発見がある。
聖力もなしにアレンベールを生き返らせてみせたミルアージュ殿といい、このクリストファー殿といい私の想像の上をいく。
マカラックはフフと笑う。
「相変わらすだ。いいから落ち着け。そんなに殺気立てば失神していそうだ。」
マカラックの笑いクにリストファーは余計に苛立ちを募らせていた。
「感情を抑えるつもりもないのだな。ミルアージュ殿にまた怒られるぞ。」
マカラックはクリストファーの手を掴み、服から手を離させた。
衣服の乱れを直しながら言う。
「座って話そう。また掴みかかられるのはごめんだからな。」
マカラックは椅子に座るとクリストファーも正面に座った。
「おふざけはここまでだ。」
マカラックが真顔になるとクリストファーは殺気を抑える。
「私に話とはなんですか。ミアに関わることなのでしょう。」
クリストファーはマカラックにイライラと催促をした。
マカラックが自主的に動くのはミルアージュのためだとクリストファーにもわかっていた。
アレンベールでの一件でマカラックはミルアージュに恩義を感じ、色々とおせっかいをしているのを知っていたからだ。
幸福の力でミアに苦痛を与える様な余計な事もしたが、マカラックは基本的にミルアージュの味方である。
そんなマカラックが一人で自分のところに来た。
これからミアに何かが起こることを意味しているとクリストファーは感じ取っていた。
誰しも他の人に見せたくない弱さがある。
それを本人から聞くのではなく、勝手に知る事は卑怯だ。
ミルアージュならそう思うとマカラックにはわかっていた。
「本人許可は後から取ればいい。クリストファー殿はあなたが望めば拒否はしない」
マカラックはまだ笑っている。
「マカラック様、どうかされたのですか?」
ミルアージュは目の前のマカラックがいつもと雰囲気が違う事に気付いた。
目の前のマカラックは笑っている。
それなのに、どうして余裕がないように見えるのだろうか。
どうしてそんなに悲しそうな顔をしているのだろう…
ミルアージュがマカラックの表情に気をとられたのは一瞬の事だった。
マカラックはミルアージュの質問に答えず、手の中の青白い光の玉を拡大させミルアージュを包み込んだ。
「…あいかわらずミルアージュ殿は鋭いな。もうあまり時間がないのだ。少しくらいの無礼は許してもらいたいな。」
マカラックはミルアージュを包んでいる青白い玉に手をかざすと光はマカラックの手の中に吸収された。
「向こうから戻ってくるのにまだちょっと時間がかかるな。もう一人の頑固者のところにも行っておくか。本当にあの二人はいつまでも皆に心配をかける者達だ。」
マカラックはため息をついた後、姿を消した。
ミルアージュと別れた後、クリストファーは自己嫌悪に陥っていた。
どうやって宿に戻ってきたのかわからない。
気づけば椅子に座り机に両手をつき頭を抱えていた。
「なぜ、あんな事を言ってしまったんだ…」
国内の管理ができていず、領地で問題が起こったのは王太子である私の責任だ。
女性の継承権もの問題もそうだ。
前々からわかっていたのに、貴族達の反対が大きく何の対応もできていなかった。
現貴族の領主は男が多い。
実際に男であるため、優遇されてきた。
それを変える事にいい顔をするわけがないが、抑える手段がないわけではなかった。
だが、その反感は王太子である私ではなく、ミアに向く事もわかっていた。
ただでさえ貴族達に目をつけられていたミアに反感の目を向けさせたくなかった。
ミアの地位が確立すれば、変えるつもりだったなんて言い訳だ。
この街を新婚旅行に選んだのも私だ。
いきなり決まった事とはいえ、何の下調べもせず、数年前の情報を鵜呑みにしてこの街に来た。
ミアはこの国の王族としてするべき事をしようとしただけ。
本来なら私がするべきことを。
国や民を軸に考える事はできない私はミアを私の持論で責めた。
レンドランドの話も出すべきではなかった。
「はぁぁぁぁぁ、ただの八つ当たりだ。ミアが悪いわけではないのに…」
他者に甘いミアが傷つくのが嫌だった。
それで自分がミアを傷つけているのだから矛盾しかない。
「よくわかっているじゃないか。」
クリストファーは声のする方向に体ごと振り返り、剣を抜いた。
マカラックは両手を上げて降参のジェスチャーをした。
マカラックの首のすぐ近くまでクリストファーの剣が迫っている。
マカラックの髪に剣が当たったのだろう。
パラパラと髪の毛が地面に落ちた。
「いきなり剣を抜くとは物騒だな。いつもなら姿を表す前に私の気配を感じ取っているのに、何をそんなにボーとしているのだ。」
マカラックは剣を鞘にしまうクリストファーに言う。
「いきなり切りかかりすみません。」
クリストファーはマカラックに一礼をする。
その態度は本当に悪いなんて思っていない表面的な謝罪だった。
「本当だな。私と一緒にミルアージュ殿も死ぬところだったぞ。」
マカラックは手のひらに青白い光を出しその中にミルアージュの姿を浮かび上がらせた。
それを見たクリストファーは剣をもっていない方の手でマカラックの胸ぐらを掴んだ。
「ミアに何をしたんだ!」
クリストファーからの殺気を正面から近距離で受けたマカラックは恐怖を感じ体がビクッと固まった。
ここ数年は力が衰えていたが、今のマカラックは全盛期の時よりも力に湧いている。
そんな聖力が誰より強いマカラックは恐怖を他者から与えられることはない。
こんな子どもの殺気に当てられるなんて、1000年以上生きてきて、まだ発見がある。
聖力もなしにアレンベールを生き返らせてみせたミルアージュ殿といい、このクリストファー殿といい私の想像の上をいく。
マカラックはフフと笑う。
「相変わらすだ。いいから落ち着け。そんなに殺気立てば失神していそうだ。」
マカラックの笑いクにリストファーは余計に苛立ちを募らせていた。
「感情を抑えるつもりもないのだな。ミルアージュ殿にまた怒られるぞ。」
マカラックはクリストファーの手を掴み、服から手を離させた。
衣服の乱れを直しながら言う。
「座って話そう。また掴みかかられるのはごめんだからな。」
マカラックは椅子に座るとクリストファーも正面に座った。
「おふざけはここまでだ。」
マカラックが真顔になるとクリストファーは殺気を抑える。
「私に話とはなんですか。ミアに関わることなのでしょう。」
クリストファーはマカラックにイライラと催促をした。
マカラックが自主的に動くのはミルアージュのためだとクリストファーにもわかっていた。
アレンベールでの一件でマカラックはミルアージュに恩義を感じ、色々とおせっかいをしているのを知っていたからだ。
幸福の力でミアに苦痛を与える様な余計な事もしたが、マカラックは基本的にミルアージュの味方である。
そんなマカラックが一人で自分のところに来た。
これからミアに何かが起こることを意味しているとクリストファーは感じ取っていた。
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