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兵達がミルアージュに切り掛かった。
それを避けながらミルアージュは兵の一人を片手で倒し、剣を奪い取った。
そこから一気に反撃にでる。
ミルアージュの剣を見た瞬間ダミアンは剣舞を見ているような綺麗なミルアージュの動きに目を奪われれいた。
皆は何が起きていたのかわからなかった。
ミルアージュが通り過ぎ後、領主側の兵はパタパタと倒れた。
クリストファーを除いて、その場にいた皆は唖然としてその様子を見ていた。
「お前は何者だ?いや、何者でもいい。領主の兵に逆らうなど反逆罪だ。もうすぐ王軍が来る!覚悟しておけ。」
領主はミルアージュに言った。
「クリス、もう着くの?」
ミルアージュはクリストファーに振り返り聞いた。
「そうだな、いいタイミングだろう?誰かさんが足止めさせるから調整するのが難しかったんだぞ。アルトはミアを見て泣くかもしれないな。」
クリストファーはミルアージュを軽く睨んだフリをした。
クリストファーはミルアージュがいなくなった後のアルトを思い出しため息をついた。
ミルアージュ信奉者のアルトは完全にクリストファーを目の敵にしていた。
不用意な言動でミルアージュを傷つけた敵として。
ミルアージュに相談されず置いていかれた事にもかなり堪えていた。
そんなアルトは次はそんな事がないようミルアージュの右腕的な存在になろうと必死だった。
ミルアージュにもう二度と置いていかれないように。
ここ数ヶ月のアルトの成長ぶりはクリストファーも舌を巻くほどだった。
ミルアージュがアルトを将軍に押すのかわかる。
本当にアンロックの軍部大将と性質が似ている。
自分を見る目まで似なくても良いとは思うが。
「それが成せる原動力がミアのためなのが腹立たしい。」
ボソリとクリストファーは呟く。
ミアはどこまで人を魅了させるんだろう。
私だけがミアの魅力を知っていたらいいのに。
アルトが自分からミアを奪い取るつもりがないことはわかっているが面白くない。
だからギリギリのタイミングまで引っ張った。少しでも自分がミルアージュを独占したかったから。
街の外に待機させていたからそんなに時間はかからないはずなんだがな。
一番力がある第三部隊はミアの部隊でミアの言うことしか聞かないというのを見せつけておかなければな。
領主の後ろにこっそりと控えている従者をクリストファーは見た。
しっかりと見てキュラミールに報告してくれよ。
お前らの企みには王軍は動かないということをな。
にしても遅いな。
いつまでも引っ張れないぞ、あれ。
領主とミルアージュのにらみ合いを見つめながらクリストファーは少し焦っていた。
「これは何事だ!」
パタパタと兵士が集まってきた。
クリストファーが待っていた第三部隊の突入だった。
アルトの声にミルアージュも反応した。
何も言わずに城を出てしまい申し訳無く思っていて後ろめたかったから。
領主達とミルアージュのいる場までアルトはやってきた。
「姫…」
アルトは固まった。
クリストファーからの報告を受けて無事だったことは知っている。
だが、目の前に顔色の良いミルアージュがいるのが信じられなかった。
幸福の力に苦しめられており、体調が悪い状態が続いていたミルアージュを想像していた。
また消えてしまうかもしれない。
そう思うとアルトはミルアージュの存在を確かめるのも怖かった。
アルトの目から涙が流れた。
「ちょっと、アルト。何泣いているのよ。」
ミルアージュはドン引きしていた。
「姫…本当に無事だったのですね…」
美形の部類にはいるアルトの男泣き。
王軍の先頭を行く綺麗な人物がボロボロも涙をこぼして女の足元で跪くありえない光景をただただ見つめていた。
それを避けながらミルアージュは兵の一人を片手で倒し、剣を奪い取った。
そこから一気に反撃にでる。
ミルアージュの剣を見た瞬間ダミアンは剣舞を見ているような綺麗なミルアージュの動きに目を奪われれいた。
皆は何が起きていたのかわからなかった。
ミルアージュが通り過ぎ後、領主側の兵はパタパタと倒れた。
クリストファーを除いて、その場にいた皆は唖然としてその様子を見ていた。
「お前は何者だ?いや、何者でもいい。領主の兵に逆らうなど反逆罪だ。もうすぐ王軍が来る!覚悟しておけ。」
領主はミルアージュに言った。
「クリス、もう着くの?」
ミルアージュはクリストファーに振り返り聞いた。
「そうだな、いいタイミングだろう?誰かさんが足止めさせるから調整するのが難しかったんだぞ。アルトはミアを見て泣くかもしれないな。」
クリストファーはミルアージュを軽く睨んだフリをした。
クリストファーはミルアージュがいなくなった後のアルトを思い出しため息をついた。
ミルアージュ信奉者のアルトは完全にクリストファーを目の敵にしていた。
不用意な言動でミルアージュを傷つけた敵として。
ミルアージュに相談されず置いていかれた事にもかなり堪えていた。
そんなアルトは次はそんな事がないようミルアージュの右腕的な存在になろうと必死だった。
ミルアージュにもう二度と置いていかれないように。
ここ数ヶ月のアルトの成長ぶりはクリストファーも舌を巻くほどだった。
ミルアージュがアルトを将軍に押すのかわかる。
本当にアンロックの軍部大将と性質が似ている。
自分を見る目まで似なくても良いとは思うが。
「それが成せる原動力がミアのためなのが腹立たしい。」
ボソリとクリストファーは呟く。
ミアはどこまで人を魅了させるんだろう。
私だけがミアの魅力を知っていたらいいのに。
アルトが自分からミアを奪い取るつもりがないことはわかっているが面白くない。
だからギリギリのタイミングまで引っ張った。少しでも自分がミルアージュを独占したかったから。
街の外に待機させていたからそんなに時間はかからないはずなんだがな。
一番力がある第三部隊はミアの部隊でミアの言うことしか聞かないというのを見せつけておかなければな。
領主の後ろにこっそりと控えている従者をクリストファーは見た。
しっかりと見てキュラミールに報告してくれよ。
お前らの企みには王軍は動かないということをな。
にしても遅いな。
いつまでも引っ張れないぞ、あれ。
領主とミルアージュのにらみ合いを見つめながらクリストファーは少し焦っていた。
「これは何事だ!」
パタパタと兵士が集まってきた。
クリストファーが待っていた第三部隊の突入だった。
アルトの声にミルアージュも反応した。
何も言わずに城を出てしまい申し訳無く思っていて後ろめたかったから。
領主達とミルアージュのいる場までアルトはやってきた。
「姫…」
アルトは固まった。
クリストファーからの報告を受けて無事だったことは知っている。
だが、目の前に顔色の良いミルアージュがいるのが信じられなかった。
幸福の力に苦しめられており、体調が悪い状態が続いていたミルアージュを想像していた。
また消えてしまうかもしれない。
そう思うとアルトはミルアージュの存在を確かめるのも怖かった。
アルトの目から涙が流れた。
「ちょっと、アルト。何泣いているのよ。」
ミルアージュはドン引きしていた。
「姫…本当に無事だったのですね…」
美形の部類にはいるアルトの男泣き。
王軍の先頭を行く綺麗な人物がボロボロも涙をこぼして女の足元で跪くありえない光景をただただ見つめていた。
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