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「私に何を頼みたかったの?」
ミルアージュはブランに聞いた。
「ミア!同情なんてしなくていい。昔からこういう所はしたたかな奴だ!騙されるな。」
クリストファーがキャンキャンと叫んでうるさい。
「クリスは少し黙って。ブランに聞いてるのよ。」
またミルアージュはクリストファーに向かいニッコリと微笑んだ。
こうなるともうミルアージュは止められない。
最悪だ…
ブランの頼みなどロクなものじゃない。
「ミルアージュが私とレンラグスを治めるのが一番の望みだが、まだ無理そうだ。」
だまれブラン。
何当たり前のこと言っているんだ。
クリストファーがブランを睨む。
ミルアージュに黙れと言われたので睨むしかできない。
「だが、レンラグスに一緒に来て欲しい。」
「レンラグスへ?私は何も介入できないわよ?」
「ああ。だが、もう長くない王にとって衝撃は大きい。やりたい放題して国を乱した王が安らかに死ぬなど許せない。最後にきっちりと後悔させてやる。」
ブランは王の顔を想像したのか鼻で笑った。
「衝撃?」
クリストファーは聞き返した。
隣でミルアージュの表情が硬くなった。
「…知っていたの?」
「今では違うが、出会った頃はそれも含めてミルアージュの価値だと思っていた。」
クリストファーの知らない話をミルアージュとブランはしている。
クリストファーの苛立ちが増した。
その様子を見てミルアージュはクリストファーに苦笑いをした。
「アンロックの極秘事項だったの。説明していなくてごめんね。私の母は現レンラグス王の姉、戦いの女神と呼ばれたレンラグス元王女カミーラなの。」
「えっ?亡くなった母上は平民だったのでは…」
「レンラグスの後継者争いで不意打ちをくらって負けたお母様は全てを失ったの。失意のどん底にいた時に出会ったのがお父様よ。」
おいおい、そんな大きな秘密ごとはしてもらいたくなかった。
レンラグスが執拗にアンロックを攻めていたのは…それも影響しているのか?
クリストファーは顔をしかめた。
「予想通りだよ。王は卑怯な手を使いカミーラ様の全てを奪い追放した。国外に出たところを殺すつもりだったが、アンロック前王に命を救われ結婚したのだ。」
カミーラ様は伝説の王女だったとブランは言う。
実力も人気も現王よりカミーラ王女の方がずっと上だったと。
「カミーラ様がいつ自分を殺しに来るのか不安で仕方なかった王は暴走を始めた。本来ならカミーラ様が王位につくはずだったのだ、それを横取りしておいて愚かだな。」
ザマァみろとブランは笑った。
レンラグス王家は親子の情などないのかもしれない。
「不出来な奴が王になると不幸が繰り返される。カミーラ様が亡くなったあとでさえな…過去の影に怯えるくらいなら王になるなと言いたい。お陰でアンロックとの関係性は完全に崩れている。第一王子も王と同じだと思っている。だから、私が後継者争いに勝つ。」
ブランは真っ直ぐに強い目でミルアージュを見た。
ミルアージュはブランに聞いた。
「ミア!同情なんてしなくていい。昔からこういう所はしたたかな奴だ!騙されるな。」
クリストファーがキャンキャンと叫んでうるさい。
「クリスは少し黙って。ブランに聞いてるのよ。」
またミルアージュはクリストファーに向かいニッコリと微笑んだ。
こうなるともうミルアージュは止められない。
最悪だ…
ブランの頼みなどロクなものじゃない。
「ミルアージュが私とレンラグスを治めるのが一番の望みだが、まだ無理そうだ。」
だまれブラン。
何当たり前のこと言っているんだ。
クリストファーがブランを睨む。
ミルアージュに黙れと言われたので睨むしかできない。
「だが、レンラグスに一緒に来て欲しい。」
「レンラグスへ?私は何も介入できないわよ?」
「ああ。だが、もう長くない王にとって衝撃は大きい。やりたい放題して国を乱した王が安らかに死ぬなど許せない。最後にきっちりと後悔させてやる。」
ブランは王の顔を想像したのか鼻で笑った。
「衝撃?」
クリストファーは聞き返した。
隣でミルアージュの表情が硬くなった。
「…知っていたの?」
「今では違うが、出会った頃はそれも含めてミルアージュの価値だと思っていた。」
クリストファーの知らない話をミルアージュとブランはしている。
クリストファーの苛立ちが増した。
その様子を見てミルアージュはクリストファーに苦笑いをした。
「アンロックの極秘事項だったの。説明していなくてごめんね。私の母は現レンラグス王の姉、戦いの女神と呼ばれたレンラグス元王女カミーラなの。」
「えっ?亡くなった母上は平民だったのでは…」
「レンラグスの後継者争いで不意打ちをくらって負けたお母様は全てを失ったの。失意のどん底にいた時に出会ったのがお父様よ。」
おいおい、そんな大きな秘密ごとはしてもらいたくなかった。
レンラグスが執拗にアンロックを攻めていたのは…それも影響しているのか?
クリストファーは顔をしかめた。
「予想通りだよ。王は卑怯な手を使いカミーラ様の全てを奪い追放した。国外に出たところを殺すつもりだったが、アンロック前王に命を救われ結婚したのだ。」
カミーラ様は伝説の王女だったとブランは言う。
実力も人気も現王よりカミーラ王女の方がずっと上だったと。
「カミーラ様がいつ自分を殺しに来るのか不安で仕方なかった王は暴走を始めた。本来ならカミーラ様が王位につくはずだったのだ、それを横取りしておいて愚かだな。」
ザマァみろとブランは笑った。
レンラグス王家は親子の情などないのかもしれない。
「不出来な奴が王になると不幸が繰り返される。カミーラ様が亡くなったあとでさえな…過去の影に怯えるくらいなら王になるなと言いたい。お陰でアンロックとの関係性は完全に崩れている。第一王子も王と同じだと思っている。だから、私が後継者争いに勝つ。」
ブランは真っ直ぐに強い目でミルアージュを見た。
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