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ミルアージュが国王の政務官となり、クリストファーが対立をしている…

ミルアージュはクリストファーの妃だ。
なぜ、国王の政務官となったのか皆わからなかった。
皆が勝手に憶測でものを言う為に噂話は尾びれを引いてスキャンダルのように話は広がっていった。

ミルアージュがクリストファーを捨て、国王を選んだと…国王の側妃に迎えられるのではないかと。

「ルーマンの貴族って馬鹿じゃないの?」

ミルアージュはイラついた。
状況分析もまともにできず、憶測だけで国王の側妃説を出してきた。
面白おかしく噂話が広げるだけで正確な情報を得ようとする動きもなければ、王族を諌める者、ルーマン王国を心配する者もいない現状にあきれ返る。

アンロックでこんな貴族達がいれば、ミルアージュが動かなくても宰相により王城から追放される。
アンロックという国を維持するつもりのない者が王城で何をするつもりなのか問われるのは当たり前だ。

その当たり前がルーマンでは違う…
「そうイライラするな。」
クリストファーはミルアージュの眉間のシワにチュッとキスをする。

「まぁ、こうなると思っていた。私の予想は外れて欲しかったがな。」
クリストファーはワインを飲みながら苦笑をした。

クリストファーの部屋にミルアージュは愚痴りに来ていた。
と言っても扉でつながっている隣同士の部屋なので行き来を誰かに見られることはない。

結婚当初、クリストファーがどうしてもと言って譲らなかったその部屋割りが今、役に立っている。
クリストファーが調子にのるから言わないようにしているが、次は同部屋がいいと言い出しそうだ。

ミルアージュよりクリストファーはルーマンを知っている。こんな現状が他国にバレるわけにはいかない。
それなのにクリストファーがなかなか変革ができなかった理由…

「私はあなたの邪魔をしている?」

「国王が言ったのか?」

クリストファーから殺気がもれる。

「いいえ、私がそう思うだけ。」
クリストファーはミルアージュの心を見透かすようにみつめている。

「ミアをどういう立場に置くのが良いのか考えていた事は事実だ。だが、ルーマンは腐敗しきっている。中途半端に手を出すのは危険だからな、どうすべきか結論が出ていなかった。ここまで放置した国王や私の責任は重い。」

そう、だからこそ今回国王が動いた。
その危険をおかす選択をした。
国王としての立場を失うおそれもある。下手したら命のリスクすらあるのを承知しているのだ。

「だから、ミアは気にしなくていい。ルーマンに巻き込まれる必要もない。」

クリストファーもわかっているのだ、国王の覚悟を。
ルーマンは一歩間違えば国の存続が難しくなることも…

「私はもうルーマンの人間よ。何かあっても一人だけ逃げる事はしないわ。」

クリストファーなら危険が迫った時、ミルアージュを逃す方法も確保しておくはずだ。
そういう男だとミルアージュもわかっている。
だが、それに従うかはミルアージュ次第。

クリストファーは目を見開いた。
ワインをテーブルに置き、ミルアージュを強く抱きしめた。

「ハハッ、ミアは変わらない。それなら絶対に失敗はできないな。私の最優先はミアだから。」

「そういうクリスも変わらないわ。」

二人は見つめあって笑う。

その晩ミルアージュはクリストファーが離してくれず、自分の部屋に帰る事はできなかった。
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