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第1章

聖女候補の選定

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王都の神殿に着き、神官と一緒に部屋に入ってリーナは驚いた。
同じ歳くらいの少女達がたくさんいたから。
明日から聖女候補を決めるための選定があるらしい。

「この子達はみんな聖女になるの?」

「まさか!この中で聖女になるのは数人ですね。元々穢れを浄化する力がなければ聖女になれません。そして神様と結ばれ初めて聖女として認められます。」

「神と結ばれる?」
リーナは神官の言っていることが理解できなかった。

「そうです。人間一人の力など、たかが知れています。神様と結ばれれば、神様の力を少しわけてもらえます。神様に嫌われた時点でもう聖女の道はありませんね。力の大きな神様と結ばれれば、その分力は強くなるのですよ。」

リーナは頑張れば、聖女になれると思っていた。
そうではない事がわかり、だんだん不安になってきた。
キラキラしたドレスを着て少女達も多い。
貴族なんだろうか?
村娘の自分がここにいるのがおかしいような気がしてきた。

こんなに多くの少女達の中で神様に選ばれて聖女になるとはどうしても思えなかった。

「あなた、みすぼらしいわね。平民がこんな所に来るんじゃないわよ。」
ドレスの少女達の中でも特に目立っていた少女が話しかけてきた。
きらびやかなドレスの腰に手を当てている。
フワフワの綺麗な髪、少しきつめな目元、色がつけられている可愛い口元。
誰が見ても美少女と言うだろう。
初めてお姫様を見たとリーナは思った。

「アリーティナ様、この方も聖女候補です。」
神官がアリーティナというお姫様の暴言をやんわりと注意をする。

「平民が聖女になどなるはずがないわ。穢れを浄化する力は高貴な血筋しか持てないものだもの。」
アリーティナはリーナに冷たい視線を送った。
彼女の視線には悪意がある。
この場に平民である私がいる事自体がおかしい。
全身でそう言っていた。

神官は答える。
「確かに貴族に多いですが、平民からも聖女は出ています。」

来る途中の馬車で神官は説明してくれた。
貴族の方が聖女になる事が多く、平民はほとんどいないと。
その原因は明らかになっていないらしいが、血筋が関係しているかもと言っていた。
遺伝的なもの?
なら私はどうして力があるのか聞いた。
突然、そういう方がおられるとだけ言っていた。
私にはその力があると神官は言っていたが‥
今、目の前の彼女をみるとやっぱり嘘なんじゃと思ってしまう。

「その話本当なのかしら。最後まで残るか楽しみよ。そんなみすぼらしい格好で神様なんかに選ばれるものですか!」
笑いながら私たちから離れる。

「あの方には気をつけてください。実家は公爵であり、王城や神殿にも権力が使えます。」
こっそり話してくれる。
神官さんはいい人だ。

「私残れないような気がしてきました。」

「きっと残れます。あなたの穢れを浄化する姿に私は感動しました。あなたが聖女でないなら、はっきり言って聖女になれる人なんていませんよ!」

神官さんは熱弁する。

「ありがとうございます。」
そんな風に人から褒められたことがなかったリーナは少し照れくさくなり、下を向いてお礼を言った。
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