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アメリアの横をアルフードに占領され、アメリアは王妃や令嬢達からの冷たい視線に耐え続けなければならなかった。
視線を集めているからこそ、マナーは手抜きした。
アルフード様がいくら私がいいと言ってもこんな私なら王妃様が見切るでしょう。
前回の記憶と今回の態度からもうアルフードに嫌われる事を早々に諦めた。
それならば、王妃様の反対を得ればいい。
今回、王妃様主催なのは令嬢達の力量を王妃様自身が確認する為だもの。
アルフード様お一人の決定権はないはず。
前回アメリアは優秀だった。だから、王妃様のチェックがなくても婚約者になれた。
今回はそんなミスはしないわ。
しっかりとできない令嬢を前面に出していく。
家が良くても王家に入れられないと思うくらいに。
下手したら他の貴族への嫁入りも難しくなるかもしれないけど、その時は修道院で一生を捧げるのも悪くはないわ。
ずっと話しかけてくるアルフードの横でアメリアは別の事を考えていて相槌のみしていた。
「…あなたはアルフードの話を聞いているのかしら?」
王妃様の一言によってアメリアは現実に引き戻された。
「すみません!」
アメリアは反射的に頭を下げ王妃に謝った。
頭をあげるとアメリアを見る王妃の表情は嫌悪感がありありと出ていた。
自分が仕向けた事とはいえ…
前はあの出来損ないの私にも優しい表情を向けてくれていた。
そんな王妃様はもういないのだと思うとアメリアは悲しくなる。
「母上、アメリア嬢をいじめないでください。私が気の利いた話ができないのがいけないのですから。」
アルフードが王妃とアメリアの間に入る。
「…例えそうであってもあなたはこの令嬢より身分は上です。このような場であなたを辱めるような行為は許されません。」
当たり前だけど、名前すら呼ばれない。王妃様が大好きだからこそ、アメリアの胸はチクリと痛んだ。
「私の婚約者だから良いのですよ。その方が親しみがありますしね。」
アルフード様が私の手を取り甲にチュッと口づけをする。
「もう婚約者は決まっているの?」
令嬢達は驚いてざわついてた。
婚約者?何を言っているの?
婚約者なんて決定なんてしていないでしょう?
「まだ婚約者は決定していません。」
王妃様は場のざわつきをおさめるように言い切り、もう何も言うなというようにアルフード様を睨んだ。
「父上も母上もこのお茶会に来た令嬢なら私が選んでも良いと言いましたよね?私はアメリア嬢が良いのです。」
「ですが、さすがに王子妃には…」
「母上。」
王妃様は私が望んだ一言を言ってくれそうになったのにアルフード様が言葉を重ね遮った。
王妃様、早く続きを言ってください。
皆の前で私では王子妃は無理だと。
言質さえとれば、いくらアルフード様だって覆せない。
「私の横に立つのはアメリア嬢しかいません。母上相手でもそれは譲れません。」
動揺する王妃様にニッコリ笑うアルフード様。
「後、アメリア嬢を苦しめるのは私が許しませんよ。」
令嬢達に冷たい視線を向けるアルフード様。
アルフード様が違う?
誰にでも優しくいつでも笑顔だったアルフード様。
なぜか前回までと印象が違う…
それでいてアメリアには満面の笑みを向けていた。
「それを言いたくてこのお茶会に出たのね…」
王妃はため息をついた。
アルフード…あの子なら私達をねじ伏せても自分の意思を貫く。
もう心に決めた令嬢がいたのにこのお茶会に参加した。
アルフードがアメリア嬢を溺愛すると令嬢達の反感を買うのがわかっていた。
だから、アルフードはその前に先手を打った。
アメリア嬢に手を出すと王妃ですら許さない。令嬢ごときが手を出すなと。
視線を集めているからこそ、マナーは手抜きした。
アルフード様がいくら私がいいと言ってもこんな私なら王妃様が見切るでしょう。
前回の記憶と今回の態度からもうアルフードに嫌われる事を早々に諦めた。
それならば、王妃様の反対を得ればいい。
今回、王妃様主催なのは令嬢達の力量を王妃様自身が確認する為だもの。
アルフード様お一人の決定権はないはず。
前回アメリアは優秀だった。だから、王妃様のチェックがなくても婚約者になれた。
今回はそんなミスはしないわ。
しっかりとできない令嬢を前面に出していく。
家が良くても王家に入れられないと思うくらいに。
下手したら他の貴族への嫁入りも難しくなるかもしれないけど、その時は修道院で一生を捧げるのも悪くはないわ。
ずっと話しかけてくるアルフードの横でアメリアは別の事を考えていて相槌のみしていた。
「…あなたはアルフードの話を聞いているのかしら?」
王妃様の一言によってアメリアは現実に引き戻された。
「すみません!」
アメリアは反射的に頭を下げ王妃に謝った。
頭をあげるとアメリアを見る王妃の表情は嫌悪感がありありと出ていた。
自分が仕向けた事とはいえ…
前はあの出来損ないの私にも優しい表情を向けてくれていた。
そんな王妃様はもういないのだと思うとアメリアは悲しくなる。
「母上、アメリア嬢をいじめないでください。私が気の利いた話ができないのがいけないのですから。」
アルフードが王妃とアメリアの間に入る。
「…例えそうであってもあなたはこの令嬢より身分は上です。このような場であなたを辱めるような行為は許されません。」
当たり前だけど、名前すら呼ばれない。王妃様が大好きだからこそ、アメリアの胸はチクリと痛んだ。
「私の婚約者だから良いのですよ。その方が親しみがありますしね。」
アルフード様が私の手を取り甲にチュッと口づけをする。
「もう婚約者は決まっているの?」
令嬢達は驚いてざわついてた。
婚約者?何を言っているの?
婚約者なんて決定なんてしていないでしょう?
「まだ婚約者は決定していません。」
王妃様は場のざわつきをおさめるように言い切り、もう何も言うなというようにアルフード様を睨んだ。
「父上も母上もこのお茶会に来た令嬢なら私が選んでも良いと言いましたよね?私はアメリア嬢が良いのです。」
「ですが、さすがに王子妃には…」
「母上。」
王妃様は私が望んだ一言を言ってくれそうになったのにアルフード様が言葉を重ね遮った。
王妃様、早く続きを言ってください。
皆の前で私では王子妃は無理だと。
言質さえとれば、いくらアルフード様だって覆せない。
「私の横に立つのはアメリア嬢しかいません。母上相手でもそれは譲れません。」
動揺する王妃様にニッコリ笑うアルフード様。
「後、アメリア嬢を苦しめるのは私が許しませんよ。」
令嬢達に冷たい視線を向けるアルフード様。
アルフード様が違う?
誰にでも優しくいつでも笑顔だったアルフード様。
なぜか前回までと印象が違う…
それでいてアメリアには満面の笑みを向けていた。
「それを言いたくてこのお茶会に出たのね…」
王妃はため息をついた。
アルフード…あの子なら私達をねじ伏せても自分の意思を貫く。
もう心に決めた令嬢がいたのにこのお茶会に参加した。
アルフードがアメリア嬢を溺愛すると令嬢達の反感を買うのがわかっていた。
だから、アルフードはその前に先手を打った。
アメリア嬢に手を出すと王妃ですら許さない。令嬢ごときが手を出すなと。
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