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お祭りの陰で

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「マルクス様は今回のお祭りの警護にかなり力を入れているな。」
通常なら警察の見回りだけのお祭りに軍からも警備を出し、厳重体制を引いている。

「安全を国内外にアピールして観光などの産業を盛り立てたいのではないか?王太子として色々と考えてくれるな。」

いやいや、マルクスはただ一人の安全確保だけをしたいのだ。
アイルーナに何かあればと思うと夜も眠れないくらいのプレッシャーがあった。

お祭りくらいの人出があれば至近距離に人がいてもおかしくない。
凶器を隠して背中などに立たれたら‥

近くでフィンデルが護衛をするだろうが、街全体の警備を厳しくしておけば、刺客も手が出しにくくなる。

「あいつ、何考えているんだ!」
マルクスはかなり怒っていた。
護衛もフィンデルだけでは心許ないので周りを固めると言ったら
「そんなんじゃお祭り楽しめないじゃない。デートなのよ、フィンとの。」
とアイルーナに思いっきり嫌な顔をされた。

何であいつらが楽しむ為に俺がこんな苦労をしなければならない?

元々、口が悪いマルクスだが、普段は隠している為その本性を知っているものは少ない。
側近、護衛以外では、いつも怒らせるアイルーナと近くにいるフィンデルくらいしか知らないだろう。
次期皇帝候補とわかっていても‥
そのくらいアイルーナに対し、いつも怒っていた。
まぁ、アイルーナは全く気にしていないが‥。

祭りを中止にするかとまで追い詰められたが、一年に一回の国をあげての祭りを王太子一人の意見でやめることなどできない。

「マルクス様、みてきましたよ。」
唯一アイルーナの存在を知っている側近ターナーに様子を見に行かせていた。
王太子が出て行ったら余計な混乱を招くため、大人しく部屋で待機中。

「どうだった?」

「アイルーナ様、完全に舞い上がってますね。フィンデル様と手を繋いで嬉しそうにお揃いのアクセサリーを選んでました。」
ターナーは見たままを報告した。

ピキピキとペンを折りそうなマルクス。

「はぁ?フィンデルと手を繋いでる?襲われた時、護衛として対応できないじゃないか。フィンデルも何考えているんだ!俺が行くべきか?」

「いやいや、顔が知れ渡ってる王太子が出て行ったらダメでしょう‥」
ターナーは呆れている。

アイルーナが戻るまでの数時間、マルクスのイライラしながら報告を聞いていた。

そんなマルクスをみてフィンデルは申し訳しそうに謝った。
いや、謝ってほしいのはお前の横にいるウキウキしている、そいつだと言いたい。
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