23 / 39
フィンデルとの契約
しおりを挟む
口付けの後、フィンデルはアイルーナを抱きしめた。
フィンデルは決意した。
アイルーナの横で生きていくと。
護衛でもない。
側近でもない。
アイルーナを愛する事をもう諦めない。
アイルーナは皇帝となる為、夫は一人ではないかもしれない。
だが、私はアイルーナ様一人を愛し抜こうと。
「フィン、ありがとう。もう何も思い残すことない。」
アイルーナがポロポロ涙を流す。
いつでも強く真っ直ぐ前を向くアイルーナ。
元々優秀だ。
だが、それだけではない。
人には言えないような努力をしていたのをフィンデルは知っている。
どんなに辛くても泣く事などなかった。
「アイルーナ様‥」
アイルーナ様が泣くのは何年振りだろうか。
手で優しくアイルーナの涙を拭う。
泣かせているのは自分である。
その優越感に浸った。
「何かお別れみたいな発言ですよ。これからはずっとお側にいます。」
アイルーナ様が愛おしい。
抱きしめたアイルーナは思っていたより小さくて守ってあげたいと思った。
主ではなく、命をかけて愛したい唯一の存在。
それが腕の中にいる。
こんなに愛する方と共にいる事が幸せだなんて‥
今まで知らなかった。
目に涙を浮かべるアイルーナ様は本当に美しい‥
フィンデルはウットリとアイルーナを見つめる。
「ずっと側にいます。アイルーナ様、愛しています。」
フィンデルはアイルーナに微笑む。
アイルーナはフィンデルに返事はせず無言で抱きしめていた。
アイルーナとフィンデルは契約を結ぶ。
アイルーナはフィンデルを夫とする。
フィンデルはアイルーナを妻とする。
皇族の契約は絶対だ。
これが正式に承認されれば二人は夫婦となる。
もう一度口づけをする。
フィンデルはアイルーナを欲した。
だが、成人するまでは、結婚が承認されるまではと踏みとどまった。
これ以上はまずい。
これからいくらでも時間はあるのだ。
ゆっくりすすめていこう。
「今日のところは部屋に戻ります。また、朝に来ますね。明日は本当の恋人として一日過ごしましょう。」
「フィン、本当にありがとうね。あなたがいてくれて本当に幸せだったわ。」
アイルーナ様は優しく微笑んだ。
フィンデルはアイルーナの部屋を出た。
これから大変な事はたくさんあるだろう。
だが、アイルーナ様となら乗り越えていける。
フィンデルはアイルーナとこれからも一緒に生きていけると信じていた。
そう信じていたのはフィンデルだけだった事に翌朝気づく事になる‥
朝アイルーナの部屋に来たフィンデルは嫌な予感がした。
部屋にアイルーナ様はいない‥
部屋は綺麗に整えてある。
昨日、フィンデルから教わった事をしっかりと守っていた。
そしてテーブルの上には手紙があった。
フィンデルは手紙を慌てて読む。
『愛するフィンへ
愛してくれてありがとう。とても良い思い出となりました。あなたの事を忘れる事はないでしょう。あなたに幸せが訪れますように。
アイルーナ』
手紙には涙の跡がある。
アイルーナ様は泣きながら書いたのだ。
何故?
どうして何も言わずにいなくなった?
私と同じ気持ちではなかったのか?
フィンデルは混乱した。
思い返せば、昨日からおかしかった。
浮かれていて深く考えなかったが‥
アイルーナ様はずっと過去形で話していた。
もつ私との関係が終わったように。
どうして‥
私は捨てられたのか。
いや、それだったら泣きながら手紙などなど書いていないはずだ。
「フィンデル、愛している。この気持ちは生涯変わらない。これから何があろうとその想いだけは信じて欲しいの。」
昨日アイルーナ様が言ってくれた言葉‥
アイルーナ様に何かあったのだ。
アイルーナ様から真意を聞くまではその言葉を信じよう。
私を愛しているといったアイルーナ様を信じよう‥
フィンデルはそう自分に言い聞かせた。
フィンデルは決意した。
アイルーナの横で生きていくと。
護衛でもない。
側近でもない。
アイルーナを愛する事をもう諦めない。
アイルーナは皇帝となる為、夫は一人ではないかもしれない。
だが、私はアイルーナ様一人を愛し抜こうと。
「フィン、ありがとう。もう何も思い残すことない。」
アイルーナがポロポロ涙を流す。
いつでも強く真っ直ぐ前を向くアイルーナ。
元々優秀だ。
だが、それだけではない。
人には言えないような努力をしていたのをフィンデルは知っている。
どんなに辛くても泣く事などなかった。
「アイルーナ様‥」
アイルーナ様が泣くのは何年振りだろうか。
手で優しくアイルーナの涙を拭う。
泣かせているのは自分である。
その優越感に浸った。
「何かお別れみたいな発言ですよ。これからはずっとお側にいます。」
アイルーナ様が愛おしい。
抱きしめたアイルーナは思っていたより小さくて守ってあげたいと思った。
主ではなく、命をかけて愛したい唯一の存在。
それが腕の中にいる。
こんなに愛する方と共にいる事が幸せだなんて‥
今まで知らなかった。
目に涙を浮かべるアイルーナ様は本当に美しい‥
フィンデルはウットリとアイルーナを見つめる。
「ずっと側にいます。アイルーナ様、愛しています。」
フィンデルはアイルーナに微笑む。
アイルーナはフィンデルに返事はせず無言で抱きしめていた。
アイルーナとフィンデルは契約を結ぶ。
アイルーナはフィンデルを夫とする。
フィンデルはアイルーナを妻とする。
皇族の契約は絶対だ。
これが正式に承認されれば二人は夫婦となる。
もう一度口づけをする。
フィンデルはアイルーナを欲した。
だが、成人するまでは、結婚が承認されるまではと踏みとどまった。
これ以上はまずい。
これからいくらでも時間はあるのだ。
ゆっくりすすめていこう。
「今日のところは部屋に戻ります。また、朝に来ますね。明日は本当の恋人として一日過ごしましょう。」
「フィン、本当にありがとうね。あなたがいてくれて本当に幸せだったわ。」
アイルーナ様は優しく微笑んだ。
フィンデルはアイルーナの部屋を出た。
これから大変な事はたくさんあるだろう。
だが、アイルーナ様となら乗り越えていける。
フィンデルはアイルーナとこれからも一緒に生きていけると信じていた。
そう信じていたのはフィンデルだけだった事に翌朝気づく事になる‥
朝アイルーナの部屋に来たフィンデルは嫌な予感がした。
部屋にアイルーナ様はいない‥
部屋は綺麗に整えてある。
昨日、フィンデルから教わった事をしっかりと守っていた。
そしてテーブルの上には手紙があった。
フィンデルは手紙を慌てて読む。
『愛するフィンへ
愛してくれてありがとう。とても良い思い出となりました。あなたの事を忘れる事はないでしょう。あなたに幸せが訪れますように。
アイルーナ』
手紙には涙の跡がある。
アイルーナ様は泣きながら書いたのだ。
何故?
どうして何も言わずにいなくなった?
私と同じ気持ちではなかったのか?
フィンデルは混乱した。
思い返せば、昨日からおかしかった。
浮かれていて深く考えなかったが‥
アイルーナ様はずっと過去形で話していた。
もつ私との関係が終わったように。
どうして‥
私は捨てられたのか。
いや、それだったら泣きながら手紙などなど書いていないはずだ。
「フィンデル、愛している。この気持ちは生涯変わらない。これから何があろうとその想いだけは信じて欲しいの。」
昨日アイルーナ様が言ってくれた言葉‥
アイルーナ様に何かあったのだ。
アイルーナ様から真意を聞くまではその言葉を信じよう。
私を愛しているといったアイルーナ様を信じよう‥
フィンデルはそう自分に言い聞かせた。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる