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番外編 アイルーナとフィンデル

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アイルーナが皇帝となり、数ヶ月後。

「フィン、おはよう。今日は一日一緒に過ごせるのかしら?」

アイルーナは隣で寝ていたフィンに声をかける。

「いつも一緒にいますよ。」
アイルーナの額にチュとキスをする。

「違うわ!いつもは政務の話ばっかりじゃない!今日は2人が結ばれてからの初めての休日なのよ。2人でのんびり夫婦らしい事をしたいわ。」

フィンとは確かに毎日一緒だが、政務上でぶつかる事も多く、全くイチャイチャできない。
もう夫婦ではなく、皇帝と臣下だ。

確かに夜は一緒に寝ているけど、寝ているだけだ。
忙しすぎてお互い寝る時間も限られていて、戻る時間もバラバラだ。
フィンは雑用全てを引き受けており2~3時間しか寝ていない日も多い。
体調を崩すのも時間の問題だった。

フィンに無理やり休ませる事にした。
ついでに私も休むと言ったら補助官はめちゃくちゃ嫌な顔をしたが、皇帝の権力を使い、休みをもぎ取った。

ただ、城から出ない事を条件にされた。
重要案件は私かフィンの決裁がいるからだ。
おじい様は隠居の身だと決裁に関しては決して手を出さず、協力を得られそうにない。

そんなの休みじゃないと駄々をこねてみたが、フィンに告げ口をされ
「それでは別々に休みを取りましょう。」
と言われて諦めるしななかった。

皇帝なのに、全く思い通りにできない‥

凹んでいるとフィンは頭をヨシヨシと撫でてくれる。
「2人でゆっくり過ごしましょう。前にできなかった恋人の時間を過ごしましょう。」

確かにそうかも。
2人だけでゆっくり過ごすのも悪くないわ。
今までできなかったイチャイチャをするのよ!
気持ちを切り替えたアイルーナは今日のために色々と計画を練っていた。
充実した一日が過ごせるように。

やっとその休みの日が来た。
アイルーナは朝から楽しみで仕方なかった。

そんなアイルーナを目を細めて微笑ましくフィンデルは見ていた。

アイルーナのそばにいる事、こんな風にアイルーナが甘えてくれる事はフィンデルにとって嬉しくて仕方なかった。

「アイルーナ様‥」
フィンデルはキスをしてアイルーナを抱きしめた。
キスよりその先にすすみたい。

フィンデルはそう考えていたが、昨日戻ったのが遅すぎてアイルーナは寝てしまっていた。

朝だが、せっかくの休みだ。
このままベットの上で過ごすのも良いかと考えていた。

「フィン!アイルーナ様じゃないわ!愛称で呼んで!」

朝からアイルーナ様のテンションは高い。
恋人としてイチャイチャ過ごしたいと言っていたが‥

アイルーナがやりたい・禁止事項のリストを出してきたので見てみたら

・愛称で呼ぶ
・敬語は使わない
・政務の話はしない
・2人でお茶をする
・手を繋いで庭で散歩する
‥‥
など30項目以上はある。

全く色気がないリストだった。
まだ15歳になったばかりだ。
小さな頃から帝王学しか学んでこなかったアイルーナ様はそういう面では少し幼いのかもしれない。

フッと笑いが出る。
まだ、アイルーナ様はこのままがいい。
今日はお望みのまま過ごそう。

「アイ、じゃあ、着替えてから手を繋いで出かけようか。」

「夢みたい!!愛しているわ」

アイルーナは満面の笑みでフィンデルに抱きつき、長いキスをした。
フィンデルも性欲のある男子である。
しばらく動けなくなったのは仕方がない。
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