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わがまま王女の誕生

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「レンドランドが産まれて王位継承が動いたことにより私は次期王のスペアとなった。」

そう、レンドランドが産まれた事はめでたい事であったが、そこからややこしい状況になっていった。

「お義母様が来られたことにより戦がなくなり、お父様の健康状態は安定していた。だけど、無理をすればまた悪化する可能性がある。だから私ができる範囲の政務を手伝っていたの。だけど、スペアである私が手を出すことは表面だっては許されない。」

「そのためのわがまま姫か‥」
クリストファーは納得していた。

「時間確保のためにね、逆らえば罰せられる、そうしておけば家庭教師やダンスの時間を抜け出しても誰も何も言えやしないでしょう。」
ふふふと笑うミルアージュ。

宰相が続きを引き継ぎ話し出した。
「ミルアージュ様はメキメキと頭角を現し17歳になる頃には王の代わりに全ての政務を行っておられた。そんな時、クリストファー王太子との婚約が成立してしまった。これには本当に焦りました。」
と宰相がクリストファーを睨むと

「最初から説明してくれてたらここまで、拗れることはなかっただろう。ミアの事は何でも知っておきたかったのに。」
クリストファーは口を尖らせて抗議する。
賢王になると噂されるクリストファーはどこだと言いたいくらい不貞腐れている。
第二王女もそんな兄を見て、呆れて冷たい視線を送っている。

「隣国のあなたにアンロックの内情など説明するわけないでしょうが。」
宰相は呆れながら言う。

「レンドランドが王位を継ぎ、安定するまではまだもう少し時間がかかる。それまで私は国を離れるわけにもいかず、婚約しないつもりだったのに、外壁を固められて婚約が成立していた時は本当にどうしようかと思った。クリストファーが裏で手を回してたなんて考えもしなかったわ。」

ミルアージュは、ハァとため息をつく。

「だから、悪かったって。だからここまで待っただろう?長かったよ、本当に。」
クリストファーもため息をつく。

無理やり婚約を結んだクリストファーだったが、ミルアージュから「嫌い」ワードをもらい、レンドランドの成人まで待つとの妥協案をのむことにしたのだ。

裏からアンロックの貴族を使い、議会を動かしたクリストファーに宰相、軍部大将が警戒するのは当たり前のことだ。
まぁ、その前から色々やり過ぎて警戒はされていたのだが、そのレベルは格段に上がった。

「私が婚約を破棄した理由は言えない。女王になりたくて王女という立場に執着していると思われるのもダメ。だからクリスから破棄されたことにしたの。わがまま王女だったらあり得るでしょ。」
ミルアージュは当たり前かのように話しているが、それでどれだけミルアージュの評判を落とす結果になったのか‥
皆、そのことを知っているだけに言葉に詰まった。
宰相と軍部大将がクリストファーを敵とみなすのも仕方ない事だった。

「姫様の悪評だけが回り始めどれだけ腹立たしいことかだったか。レンドランド様が17歳で成人し、王位を継げば全てが終わる予定だった。」
軍部大将は苦虫を噛み殺したような顔をしている。

「なのに、あの暗殺未遂事件が起こった。これは我々にもミルアージュ様にとっても予想外のことだった。」
宰相がボソリと言った。
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