10 / 36
ルイード以外の訪問者
しおりを挟む
忙しくなるとルイードは言った翌日から全く顔を出さなくなった。
王城内でいるらしくミルダさんは時々すれ違う事があるようだ。
どんな様子か聞こうとしても「元気そうでした」といって誤魔化される。
そんなに私に話せない重要機密なんだろうか。
王子様だもん、今までが構われすぎてすぎてたんだよ。
きっと無理してたんだ。
体調が心配だ‥
ちゃんと寝てるのかな?
ちゃんとご飯は食べてるのかな?
毎日会ってた人と急に会えなくなって胸にポッカリと穴が空いた感じ。
でも頑張って仕事している人に寂しいなんてワガママは言えない。
我慢、我慢。
部屋も出るなと言われているし、本を読んで、部屋で教師からマナーやこの世界の事を教わるだけの日々‥
そうそう、先生は私の記憶喪失に驚いていたが、何より驚いていたのが‥
以前に教えた時よりも覚えはかなり悪いらしい‥
同一の存在なのに頭の出来は違うの?
そう思ったけど、勉強に対する姿勢が違うそうだ。
今の私は何故それが必要なのかを聞く。
この世界の当たり前の事を当たり前として捉える事ができない。
日本にいた時の価値観が邪魔をして必要性が全く感じられないのだ。
だから、勉強にもマナーにも身が入っていないんだと思う。
って言い訳なのかな?
まだこっちの世界で生きていく覚悟がないのかもしれない‥
「聖女様‥外務大臣様がお越しですが、どう致しましょうか?前触れもないので断りましょうか?」
ミルダさんに声をかけられる。
外務大臣?
初めての人だ。
護衛さんとメイドさんを除けば、ここに来てルイードとしか会っていない。
私の世界って本当に狭いなぁ。
「いいよ、暇だし。用件だけでも聞こうよ。」
どうせ暇人だし、外務大臣ってどんな人かも興味あるし。
ちょっと会うだけ。
「‥承知しました。」
ミルダさんは頭を下げ、部屋を出ると一人の男性を連れて戻ってきた。
ぽっちゃり体型のおじ様がニコニコと笑いながら会釈をする。
着ているものはキラキラ、フリフリ眩しい。
この世界のファッションセンスも私の価値観と合わない。
こんな人が街歩いてたら不審者で警察に職務質問されてるよ。
怪しさ満載‥
面会して5秒で会うんじゃなかったと後悔した。
「聖女様にはご機嫌麗しく‥」
服が気になって外務大臣のあいさつなんか上の空。
あっ、立たせたままだ。
「どうぞ、お座りください。」
一瞬怪訝そうな顔をした外務大臣。
えっ?
なんか粗相した?
座ってっていっただけだよ?
面会した時の対応マナーあった?
苦情でも来るのかと思い構えたが、
「お気遣いありがとうございます。」
と頭を下げ、外務大臣は椅子に腰をかけた。
外務大臣の話は夜会への参加だった。
「聖女様が体調を崩されてから公の場に出ておりません。ルイード様はまだ早いと仰いますが、皆、心配しておりますし、一度公の場に出席を頂きたいのです。」
お茶を入れているミルダさんを見る。
「前は参加してたの?」
と聞いた。
ミルダさんは遠慮気味に
「はい。」
と答えた。
そっかぁ、アイーダもずっとこの部屋に閉じこもっていた訳じゃないんだ。
ただ、この王城にいれば良いっていうのはルイードが私に気を使っていただけ。
それに私は甘えてたんだ‥。
「お元気な姿を少しだけで良いのでお見せくださいませんか?本日の夜会はフランライグ王国第一王女アーリア姫の歓迎の宴です。アーリア王女も聖女様にお会いしたいと仰っておいでです。」
頭を下げる外務大臣。
「アーリア姫‥」
ミルダさんがつぶやく。
知っている人なんだろうか。
まぁ、王女というくらいだから有名人なんだろうけど。
「聖女様、このお話はルイード様の許可を取りましょう。」
ミルダさんは言う。
「ルイードは忙しそうだし、許可取らなくていいよ。ちょっと顔出すだけでしょう?」
「はい、ほんの数分でも構いません。」
外務大臣はニコニコ答える。
うん、ちょっと顔だしてニッコリ笑って引っ込む。
うん、それで聖女様の役目が終わる。
ここで何もする訳でもない私に課せられた役目。
しっかり果たさないと!
私からの許可を取るとお茶も飲まずに足早に外務大臣は去った。
「聖女様、やはりルイード様に確認致しましょう。」
私はお菓子をつまみながらお茶を飲んでいる。
元々紅茶なんか飲む習慣はなかったけど、ここに来てから毎日飲んでいる。
「気になることがあるの?」
ミルダさんに聞く。
ミルダさんは遠慮気味にいう。
「アーリア姫は確かルイード様をお慕いしていたお方だったと記憶してます。今回、何やら裏がありそうな気がします。」
お慕い?
「ルイードを好きだったってこと?」
「はい。」
「付き合っていたの?」
「それはないと思いますが、よくこの国に来てはルイード様の横におられました。」
ルイードの元カノなんだろうか?
アーリア姫という人の片思い?
あれだけカッコいいんだし、元カノの一人や二人、いや三人、四人いたっておかしくない。
アイーダと婚約したのはいつなんだろう。
そこからはアイーダ一筋なんだろうか‥
それとも‥
急に来なくなったルイード‥
アーリア姫がこの国に来ている‥
偶然?それとも?
「ルイードの許可はいらない。私は行く。構わないよね?」
ミルダさんは驚いたように私をみて
「‥承知しました。」
とだけ返事をし、夜会準備に取り掛かった。
王城内でいるらしくミルダさんは時々すれ違う事があるようだ。
どんな様子か聞こうとしても「元気そうでした」といって誤魔化される。
そんなに私に話せない重要機密なんだろうか。
王子様だもん、今までが構われすぎてすぎてたんだよ。
きっと無理してたんだ。
体調が心配だ‥
ちゃんと寝てるのかな?
ちゃんとご飯は食べてるのかな?
毎日会ってた人と急に会えなくなって胸にポッカリと穴が空いた感じ。
でも頑張って仕事している人に寂しいなんてワガママは言えない。
我慢、我慢。
部屋も出るなと言われているし、本を読んで、部屋で教師からマナーやこの世界の事を教わるだけの日々‥
そうそう、先生は私の記憶喪失に驚いていたが、何より驚いていたのが‥
以前に教えた時よりも覚えはかなり悪いらしい‥
同一の存在なのに頭の出来は違うの?
そう思ったけど、勉強に対する姿勢が違うそうだ。
今の私は何故それが必要なのかを聞く。
この世界の当たり前の事を当たり前として捉える事ができない。
日本にいた時の価値観が邪魔をして必要性が全く感じられないのだ。
だから、勉強にもマナーにも身が入っていないんだと思う。
って言い訳なのかな?
まだこっちの世界で生きていく覚悟がないのかもしれない‥
「聖女様‥外務大臣様がお越しですが、どう致しましょうか?前触れもないので断りましょうか?」
ミルダさんに声をかけられる。
外務大臣?
初めての人だ。
護衛さんとメイドさんを除けば、ここに来てルイードとしか会っていない。
私の世界って本当に狭いなぁ。
「いいよ、暇だし。用件だけでも聞こうよ。」
どうせ暇人だし、外務大臣ってどんな人かも興味あるし。
ちょっと会うだけ。
「‥承知しました。」
ミルダさんは頭を下げ、部屋を出ると一人の男性を連れて戻ってきた。
ぽっちゃり体型のおじ様がニコニコと笑いながら会釈をする。
着ているものはキラキラ、フリフリ眩しい。
この世界のファッションセンスも私の価値観と合わない。
こんな人が街歩いてたら不審者で警察に職務質問されてるよ。
怪しさ満載‥
面会して5秒で会うんじゃなかったと後悔した。
「聖女様にはご機嫌麗しく‥」
服が気になって外務大臣のあいさつなんか上の空。
あっ、立たせたままだ。
「どうぞ、お座りください。」
一瞬怪訝そうな顔をした外務大臣。
えっ?
なんか粗相した?
座ってっていっただけだよ?
面会した時の対応マナーあった?
苦情でも来るのかと思い構えたが、
「お気遣いありがとうございます。」
と頭を下げ、外務大臣は椅子に腰をかけた。
外務大臣の話は夜会への参加だった。
「聖女様が体調を崩されてから公の場に出ておりません。ルイード様はまだ早いと仰いますが、皆、心配しておりますし、一度公の場に出席を頂きたいのです。」
お茶を入れているミルダさんを見る。
「前は参加してたの?」
と聞いた。
ミルダさんは遠慮気味に
「はい。」
と答えた。
そっかぁ、アイーダもずっとこの部屋に閉じこもっていた訳じゃないんだ。
ただ、この王城にいれば良いっていうのはルイードが私に気を使っていただけ。
それに私は甘えてたんだ‥。
「お元気な姿を少しだけで良いのでお見せくださいませんか?本日の夜会はフランライグ王国第一王女アーリア姫の歓迎の宴です。アーリア王女も聖女様にお会いしたいと仰っておいでです。」
頭を下げる外務大臣。
「アーリア姫‥」
ミルダさんがつぶやく。
知っている人なんだろうか。
まぁ、王女というくらいだから有名人なんだろうけど。
「聖女様、このお話はルイード様の許可を取りましょう。」
ミルダさんは言う。
「ルイードは忙しそうだし、許可取らなくていいよ。ちょっと顔出すだけでしょう?」
「はい、ほんの数分でも構いません。」
外務大臣はニコニコ答える。
うん、ちょっと顔だしてニッコリ笑って引っ込む。
うん、それで聖女様の役目が終わる。
ここで何もする訳でもない私に課せられた役目。
しっかり果たさないと!
私からの許可を取るとお茶も飲まずに足早に外務大臣は去った。
「聖女様、やはりルイード様に確認致しましょう。」
私はお菓子をつまみながらお茶を飲んでいる。
元々紅茶なんか飲む習慣はなかったけど、ここに来てから毎日飲んでいる。
「気になることがあるの?」
ミルダさんに聞く。
ミルダさんは遠慮気味にいう。
「アーリア姫は確かルイード様をお慕いしていたお方だったと記憶してます。今回、何やら裏がありそうな気がします。」
お慕い?
「ルイードを好きだったってこと?」
「はい。」
「付き合っていたの?」
「それはないと思いますが、よくこの国に来てはルイード様の横におられました。」
ルイードの元カノなんだろうか?
アーリア姫という人の片思い?
あれだけカッコいいんだし、元カノの一人や二人、いや三人、四人いたっておかしくない。
アイーダと婚約したのはいつなんだろう。
そこからはアイーダ一筋なんだろうか‥
それとも‥
急に来なくなったルイード‥
アーリア姫がこの国に来ている‥
偶然?それとも?
「ルイードの許可はいらない。私は行く。構わないよね?」
ミルダさんは驚いたように私をみて
「‥承知しました。」
とだけ返事をし、夜会準備に取り掛かった。
10
お気に入りに追加
340
あなたにおすすめの小説
私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。
アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。
【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】
地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。
同じ状況の少女と共に。
そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!?
怯える少女と睨みつける私。
オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。
だったら『勝手にする』から放っておいて!
同時公開
☆カクヨム さん
✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉
タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。
そして番外編もはじめました。
相変わらず不定期です。
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます🙇💕
これからもよろしくお願いします。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】悪役令嬢に転生したようです。アレして良いですか?【再録】
仲村 嘉高
恋愛
魔法と剣の世界に転生した私。
「嘘、私、王子の婚約者?」
しかも何かゲームの世界???
私の『宝物』と同じ世界???
平民のヒロインに甘い事を囁いて、公爵令嬢との婚約を破棄する王子?
なにその非常識な設定の世界。ゲームじゃないのよ?
それが認められる国、大丈夫なの?
この王子様、何を言っても聞く耳持ちゃしません。
こんなクソ王子、ざまぁして良いですよね?
性格も、口も、決して良いとは言えない社会人女性が乙女ゲームの世界に転生した。
乙女ゲーム?なにそれ美味しいの?そんな人が……
ご都合主義です。
転生もの、初挑戦した作品です。
温かい目で見守っていただければ幸いです。
本編97話・乙女ゲーム部15話
※R15は、ざまぁの為の保険です。
※他サイトでも公開してます。
※なろうに移行した作品ですが、R18指定され、非公開措置とされました(笑)
それに伴い、作品を引き下げる事にしたので、こちらに移行します。
昔の作品でかなり拙いですが、それでも宜しければお読みください。
※感想は、全て読ませていただきますが、なにしろ昔の作品ですので、基本返信はいたしませんので、ご了承ください。
運命の番でも愛されなくて結構です
えみ
恋愛
30歳の誕生日を迎えた日、私は交通事故で死んでしまった。
ちょうどその日は、彼氏と最高の誕生日を迎える予定だったが…、車に轢かれる前に私が見たのは、彼氏が綺麗で若い女の子とキスしている姿だった。
今までの人生で浮気をされた回数は両手で数えるほど。男運がないと友達に言われ続けてもう30歳。
新しく生まれ変わったら、もう恋愛はしたくないと思ったけれど…、気が付いたら地下室の魔法陣の上に寝ていた。身体は死ぬ直前のまま、生まれ変わることなく、別の世界で30歳から再スタートすることになった。
と思ったら、この世界は魔法や獣人がいる世界で、「運命の番」というものもあるようで…
「運命の番」というものがあるのなら、浮気されることなく愛されると思っていた。
最後の恋愛だと思ってもう少し頑張ってみよう。
相手が誰であっても愛し愛される関係を築いていきたいと思っていた。
それなのに、まさか相手が…、年下ショタっ子王子!?
これは犯罪になりませんか!?
心に傷がある臆病アラサー女子と、好きな子に素直になれないショタ王子のほのぼの恋愛ストーリー…の予定です。
難しい文章は書けませんので、頭からっぽにして読んでみてください。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
天才と呼ばれた彼女は無理矢理入れられた後宮で、怠惰な生活を極めようとする
カエデネコ
恋愛
※カクヨムの方にも載せてあります。サブストーリーなども書いていますので、よかったら、お越しくださいm(_ _)m
リアンは有名私塾に通い、天才と名高い少女であった。しかしある日突然、陛下の花嫁探しに白羽の矢が立ち、有無を言わさず後宮へ入れられてしまう。
王妃候補なんてなりたくない。やる気ゼロの彼女は後宮の部屋へ引きこもり、怠惰に暮らすためにその能力を使うことにした。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる