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アイーダの苦しみ(ルイード視点)
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記憶をなくしてからのアイーダには驚かされる事ばかりだった。
この世界の常識を全て失っている。
ルールというものを息を吸うように無視をする。
全てを忘れてしまいたいくらいアイーダが傷ついてきたのだとしたら俺はアイーダの何を見ていたのだろう。
後悔はある。アイーダの側にいながらその苦しみをわかってあげられなかったのだから。
だからこそ、今まで以上にアイーダを大切にしようと思っていた。
だが、今の彼女は前のアイーダとは違う。
同じ人物であるはずだが、全く違う。
彼女の言動に振り回され困っていたはずが、それすら楽しいと思う俺がいる。側にいると心が落ち着く。
もっと声が聞きたい、笑顔が見たい‥
目覚めてからのアイーダを好ましく思っている自分に気づくのに時間はかからなかった。
苦しみから逃れようと変わってしまった彼女を見て愛おしいと思ってしまう自分は何て嫌な奴だろう。
そう思いながらも惹かれていく。自分でも止められない。
ソファに座ってボーと窓の外を見ているアイーダを見てしまった。
いつもの元気さはない。どうしたのだろうか?
このまま、どこかに行ってしまう。急にそんな不安がよぎった。
そうなったら俺はどうしたらいい?もうアイーダを失うことができない。
「アイーダ‥」
「ルイードさん‥」
ボンヤリした視線を俺によこした。
俺を見ているが、俺を映してはいない。心はここに無いことがわかる。
「ミルダから元気がないと聞いた。何があった?」
つい、ミルダを言い訳に使ってしまった。
俺がアイーダがいなくなりそうで怖いなんて言えるわけがない。
「別に何もないよ。」
彼女にとって俺は自分の内側を見せるだけの関係性ではないのだとわかる。
アイーダに拒否をされたよう気持ちとなり胸が痛む。
「じゃあ、今何を考えている?俺はアイーダの婚約者だ。思いを知りたい。」
その言葉でアイーダは一瞬傷ついたように顔をしかめた。
「何もないと言ってるじゃない!ほっといて。」
アイーダが叫んだ。初めてアイーダが大きな声を出しているのを聞いた‥
「ほっておけない。」
アイーダはほっておいてほしいのだろう。だが、俺がそうしたくない。
アイーダの苦しみを理解したい。それを救うのが俺であってくれれば‥。俺に心を開いてくれれば。
打算まみれで近づいている自分自身に嫌気がさす。
「こんなところにいたくない‥」
「家族がいない、友達がいない。」
「ここは独りぼっちだ。」
「自由がない。何も自分でできない。」
「どうしたら私らしく生きられる?こんな世界じゃ生きていけない。私の世界じゃない。」
ここを出て自由になりたい‥それがアイーダの望みなのだ。
ドレスや宝石ならいくらでもやれる。好きな花なら庭にいくらでも植える。食べたいものがあるならなんでも用意する。
だが、アイーダの唯一の望みは叶えられない。
「すまない、アイーダをここから出せないが、できるだけ希望は叶える。そして俺がそばにいる。独りではない。」
聖女である以上は王城から出ることはできない。
そう、決まっていることだ。
だが、それを言い訳にアイーダを逃せないと考える自分がいる。
俺がずっと側にいる。だから、俺に心を開いてくれ。
本当の婚約者になりたい。
元々、お互い利のある婚約関係だったが、それではもう嫌だ。
彼女の心が欲しい。俺だけを見てほしい。
声を出して泣くアイーダ。
苦しみをすべて俺に出して楽になってもらいたいと思う気持ちとは別に‥
こんな時ですら‥アイーダを初めて抱きしめた事に幸せを感じてしまう自分は本当に最低だと思う。
この世界の常識を全て失っている。
ルールというものを息を吸うように無視をする。
全てを忘れてしまいたいくらいアイーダが傷ついてきたのだとしたら俺はアイーダの何を見ていたのだろう。
後悔はある。アイーダの側にいながらその苦しみをわかってあげられなかったのだから。
だからこそ、今まで以上にアイーダを大切にしようと思っていた。
だが、今の彼女は前のアイーダとは違う。
同じ人物であるはずだが、全く違う。
彼女の言動に振り回され困っていたはずが、それすら楽しいと思う俺がいる。側にいると心が落ち着く。
もっと声が聞きたい、笑顔が見たい‥
目覚めてからのアイーダを好ましく思っている自分に気づくのに時間はかからなかった。
苦しみから逃れようと変わってしまった彼女を見て愛おしいと思ってしまう自分は何て嫌な奴だろう。
そう思いながらも惹かれていく。自分でも止められない。
ソファに座ってボーと窓の外を見ているアイーダを見てしまった。
いつもの元気さはない。どうしたのだろうか?
このまま、どこかに行ってしまう。急にそんな不安がよぎった。
そうなったら俺はどうしたらいい?もうアイーダを失うことができない。
「アイーダ‥」
「ルイードさん‥」
ボンヤリした視線を俺によこした。
俺を見ているが、俺を映してはいない。心はここに無いことがわかる。
「ミルダから元気がないと聞いた。何があった?」
つい、ミルダを言い訳に使ってしまった。
俺がアイーダがいなくなりそうで怖いなんて言えるわけがない。
「別に何もないよ。」
彼女にとって俺は自分の内側を見せるだけの関係性ではないのだとわかる。
アイーダに拒否をされたよう気持ちとなり胸が痛む。
「じゃあ、今何を考えている?俺はアイーダの婚約者だ。思いを知りたい。」
その言葉でアイーダは一瞬傷ついたように顔をしかめた。
「何もないと言ってるじゃない!ほっといて。」
アイーダが叫んだ。初めてアイーダが大きな声を出しているのを聞いた‥
「ほっておけない。」
アイーダはほっておいてほしいのだろう。だが、俺がそうしたくない。
アイーダの苦しみを理解したい。それを救うのが俺であってくれれば‥。俺に心を開いてくれれば。
打算まみれで近づいている自分自身に嫌気がさす。
「こんなところにいたくない‥」
「家族がいない、友達がいない。」
「ここは独りぼっちだ。」
「自由がない。何も自分でできない。」
「どうしたら私らしく生きられる?こんな世界じゃ生きていけない。私の世界じゃない。」
ここを出て自由になりたい‥それがアイーダの望みなのだ。
ドレスや宝石ならいくらでもやれる。好きな花なら庭にいくらでも植える。食べたいものがあるならなんでも用意する。
だが、アイーダの唯一の望みは叶えられない。
「すまない、アイーダをここから出せないが、できるだけ希望は叶える。そして俺がそばにいる。独りではない。」
聖女である以上は王城から出ることはできない。
そう、決まっていることだ。
だが、それを言い訳にアイーダを逃せないと考える自分がいる。
俺がずっと側にいる。だから、俺に心を開いてくれ。
本当の婚約者になりたい。
元々、お互い利のある婚約関係だったが、それではもう嫌だ。
彼女の心が欲しい。俺だけを見てほしい。
声を出して泣くアイーダ。
苦しみをすべて俺に出して楽になってもらいたいと思う気持ちとは別に‥
こんな時ですら‥アイーダを初めて抱きしめた事に幸せを感じてしまう自分は本当に最低だと思う。
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