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ローズミナの語る真実

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ローズミナは話し出した。
国を出る前のことを初めて言葉にした。

「私が国をでる前の日、お父様とお母様は私に謝りました。娘としてはお姉様と私、どちらも選べない。でも国王、王妃としての立場ならお姉様を選ぶと‥国のために私を切り捨てる選択をして申し訳ないと。」

「どうして危険が迫って国外に逃がすのに切り捨てたことになるの!」
ローズミナの話をミルラレティーは遮った。

城にいた貴族たちは皆、言っていた。
逃す王女の交代、それが意味すること‥
ミルラレティーを捨て、ローズミナを逃がす‥
国王たちは自分たちが愛した王女を逃したかったのだと影で言われた。
そしてミルラレティーを同情の目で見た。
ミルラレティーはその事実が悲しく辛いものだったがそれを声にだすことをしなかった。
その悲しみの後、国王夫妻の殺害が重なり心はボロボロになっていた。

5年経っても心の傷は癒されていないミルラレティーは、眉間にしわを寄せ、苦しそうな表情をしている。

ローズミナは、その時のことを誰にも話すつもりはなかった。
それだけローズミナにとっても辛いことだったのだ。

しかし、ミルラレティーがずっと捨てられたと思い苦しむよりはよいだろうと思い、ローズミナは話す決意をした。

「クーデターが失敗に終わっても、国が不安定となるでしょう。国外に逃げ、民や国で何が起こっているのかも知らない王女に国を導くことができますか?」

その質問に誰も答えることができなかった。
ミルラレティーでさえ。

「お父様達はお姉様に希望を見ていたのです。お姉様なら自分たちがいなくてもこの危機を乗り越え、国を導いていけると。だからこそ、国外に出すわけにはいかなかったのですよ。」

一息おき
「私には‥国をまとめるだけの能力はないと言われました。国を治める器ではないと‥」
ローズミナは震えた声で言った。

「私に課せられた役目は無事に逃げ、もしもの場合に王家の血を残すための子を産むこと。神と聖女の血が流れる王家が途絶えれば、国は衰退する。それを食い止める、それが私の役目です。女王となり国を治められない私は、子をなすためだけの道具なのですよ。逃がす者を決めたのではありません。誰を残すのかで選ばれたのです、お父様達は。」

フィルランダ王国は、神と聖女の子が王とし創設した国だ。

そのため、フィルランダ国は神と聖女の加護を得て繁栄していた。
正確には国が加護を得ているわけではなく、神の血を引く子孫が治めている国だから加護を得ているに過ぎない。

国の中枢にいるものしか知らない事実であり、クーデターが起こした貴族達はその事実を知らなかった。

国王を殺した貴族達は神の怒りを買い、呪われた。

ミルラレティーが生き残ることができたのも、クーデターを起こした貴族達が呪われ、苦しみながら死んだおかげだ。

5年前‥
クーデターを止めきれないと思った国王は、王宮の奥深くにミルラレティーを隠して自分が殺されることにした。
そうすればクーデターを起こした貴族たちに罰が下ることを知っていたからだ。
王妃も最後までミルラレティーを守るために時間を稼いだ。
愛する娘を守るために。
国王に味方した者たちの多くは殺され、その事実を奥に隠されていたミルラレティーに伝える者は誰もいなかった。
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