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22話
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「ホォスを止めなきゃ!」
身体を起こすと労感が襲い身体の動きを鈍くなってるのが分かった。
オーラバリアは大いなる意思を防ぐ力はあっても身体を動かす力はくれないようだ。
「ダメだよ、今のあなたじゃ、まともに戦えないでしょ」
起き上がろうとする私を止めようとリリーの手を止めて私は立ち上がる。
「それでもホォスを止めないと」
「わかったなら私も行く」
「でも、あなた戦うすべがないじゃない」
「ふふふ、これがあるでしょ」
リリーはカードを開いて見せる。
「それで戦えるの?」
「戦えるわよ。ただ一枚最低でも銀貨5枚だから1体倒すのに1枚使ってたら赤字でしょだから使えなかったのよ」
「いいの?」
「良いのよ公爵家にいたときに作ったものだし、いつまでも娼婦がこんなの持ってても未練ができちゃうしね」
「ごめんなさい」
「謝らないでよ、ホォスちゃんを救うために使えるなら本望よ」
リリーは一度へ屋を出ると昔の探索者時代の装備を整え私は長剣だけを持ってホォスの後を追った。
「でも、ホォスなら私よりも動けるし案外アンデッドを倒すんじゃない?」
私のその言葉にリリーは首を横に振る。
「ホォスちゃんが仮にスティアより強くてもアンデッドは倒せない。アンデッドは銀武器か火、光属性、神の加護以外では倒せないの」
「あれ、そのカードの魔法は無属性じゃなかった?」
「無属性は神の力の顕現だから、神の加護と同じ効果なのよ、だから倒せるわ」
「なるほどね」
ダンジョンの前にたどり着くと守衛が叫びながら小型の何かを追いかけていた。
ホォスだ。
「ホォス!」
「お姉ちゃん!」
ホォスが守衛の手を潜り抜けて私に飛び付く。どうやら守衛が一人で入ろうとするホォスを止めてたようね。
それでもホォスなら交わして入れそうだけど。
「あ、そうかホォスちゃんは回収屋だから探索者がいないとダンジョンに入れないのよ」とリリーは笑いながら言う。
リリーが言うには首につけてるタグが判別装置になっていてダンジョン前の結界に弾かれる仕組みなのだとか。
なんにせよホォスになにもなくてよかった。
私はその場でホォスを抱き締めながら腰を抜かして倒れこんだ。
「じゃあ帰りましょうか」
ホォスの手を取り帰ろうとする私の肩をリリーがポンと叩く。
「なに言ってるのよ、ここまで来たらアンデッドを狩りましょう」
このまま帰っても私の症状は明日には再発するわよと帰る気になっていた私をリリーは呆れ顔であ
見る。
私たちは守衛にホォスのことを謝りダンジョンに入った。
最初はカンカンに怒っていた守衛も私を助けるためにやったと聞いて、その忠義に感動していた。
忠義とかそういうのはいらないんだけど、そう考えながらホォスの頭を撫でるとホォスは満面の笑みを浮かべる。
突然思い出したようにリリーが振り向いて人差し指を私の鼻先につける。
「不調の原因が分からないからスティアは火を使ったらダメだからね」
「わかったわ」
私がリリーにコクリと頷くと、正面から三体のゾンビが現れ私たちの方へと向かって襲いかかってくる。
リリーはこちらを向いていたので気がつくのが遅れた、私は禁止されていた火を使って手前の一体を焼いた。
早速約束を破ってしまった。
しかし、火力が思ったほど出ない。
私の攻撃に他の二体のゾンビは怯むこともなくそのまま前進をする。
リリーはすぐさまカードを抜き出して無属性魔法を使う。
「エルソード!」
リリーの持つカードの魔法円から光が飛び出ると二体のゾンビの頭部を破壊した。
ソンビの頭部は一瞬で粉々になり光になり残った首なしの身体はそのまま前のめりに倒れた。
リリーはカードを使わなければ初級魔法しか使えないけど、このカードは完全に過剰攻撃だ。
カードさえあればリリーは十分に探索者としてやっていけるのだ。
ただ収支が償わないので赤字になると言うのを除けば。
ちなみに私が焼いたゾンビは完全に焼失しているので素材は取れない。
「ごめん油断しちゃった、スティア身体は大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ、なんともないわ」
嘘を付いた。本当は火を使った瞬間あり得ないほどの激痛が私を襲った。
だけど、それを言えばリリーを心配させるだけだし顔に出さないようにつとめた。
「ホォスちゃん背骨よろしくね」
「うん分かった!」
ホォスはゾンビを転がすと仰向けにさせて腹を捌いて解体していく。
背骨が必要なら背中から切った方が早いと思うんだけど道具がナイフしかない以上徐々に解体しないと取れないのが分かった。
流石に人形の解体を見るのはキツいものがある。でもホォスも頑張ってるんだから私が目を離す訳にはいかない。
ほどなくして二体の背骨が手に入り私たちはダンジョンを脱出して宿屋に戻った。
ダンジョンを出る際に数度アンデッドと遭遇したけど全部リリーがカードで対処してくれた。
カードを使う度にリリーの表情が曇る。私はリリーに返せないほどの恩を受けているのだと悟った。
身体を起こすと労感が襲い身体の動きを鈍くなってるのが分かった。
オーラバリアは大いなる意思を防ぐ力はあっても身体を動かす力はくれないようだ。
「ダメだよ、今のあなたじゃ、まともに戦えないでしょ」
起き上がろうとする私を止めようとリリーの手を止めて私は立ち上がる。
「それでもホォスを止めないと」
「わかったなら私も行く」
「でも、あなた戦うすべがないじゃない」
「ふふふ、これがあるでしょ」
リリーはカードを開いて見せる。
「それで戦えるの?」
「戦えるわよ。ただ一枚最低でも銀貨5枚だから1体倒すのに1枚使ってたら赤字でしょだから使えなかったのよ」
「いいの?」
「良いのよ公爵家にいたときに作ったものだし、いつまでも娼婦がこんなの持ってても未練ができちゃうしね」
「ごめんなさい」
「謝らないでよ、ホォスちゃんを救うために使えるなら本望よ」
リリーは一度へ屋を出ると昔の探索者時代の装備を整え私は長剣だけを持ってホォスの後を追った。
「でも、ホォスなら私よりも動けるし案外アンデッドを倒すんじゃない?」
私のその言葉にリリーは首を横に振る。
「ホォスちゃんが仮にスティアより強くてもアンデッドは倒せない。アンデッドは銀武器か火、光属性、神の加護以外では倒せないの」
「あれ、そのカードの魔法は無属性じゃなかった?」
「無属性は神の力の顕現だから、神の加護と同じ効果なのよ、だから倒せるわ」
「なるほどね」
ダンジョンの前にたどり着くと守衛が叫びながら小型の何かを追いかけていた。
ホォスだ。
「ホォス!」
「お姉ちゃん!」
ホォスが守衛の手を潜り抜けて私に飛び付く。どうやら守衛が一人で入ろうとするホォスを止めてたようね。
それでもホォスなら交わして入れそうだけど。
「あ、そうかホォスちゃんは回収屋だから探索者がいないとダンジョンに入れないのよ」とリリーは笑いながら言う。
リリーが言うには首につけてるタグが判別装置になっていてダンジョン前の結界に弾かれる仕組みなのだとか。
なんにせよホォスになにもなくてよかった。
私はその場でホォスを抱き締めながら腰を抜かして倒れこんだ。
「じゃあ帰りましょうか」
ホォスの手を取り帰ろうとする私の肩をリリーがポンと叩く。
「なに言ってるのよ、ここまで来たらアンデッドを狩りましょう」
このまま帰っても私の症状は明日には再発するわよと帰る気になっていた私をリリーは呆れ顔であ
見る。
私たちは守衛にホォスのことを謝りダンジョンに入った。
最初はカンカンに怒っていた守衛も私を助けるためにやったと聞いて、その忠義に感動していた。
忠義とかそういうのはいらないんだけど、そう考えながらホォスの頭を撫でるとホォスは満面の笑みを浮かべる。
突然思い出したようにリリーが振り向いて人差し指を私の鼻先につける。
「不調の原因が分からないからスティアは火を使ったらダメだからね」
「わかったわ」
私がリリーにコクリと頷くと、正面から三体のゾンビが現れ私たちの方へと向かって襲いかかってくる。
リリーはこちらを向いていたので気がつくのが遅れた、私は禁止されていた火を使って手前の一体を焼いた。
早速約束を破ってしまった。
しかし、火力が思ったほど出ない。
私の攻撃に他の二体のゾンビは怯むこともなくそのまま前進をする。
リリーはすぐさまカードを抜き出して無属性魔法を使う。
「エルソード!」
リリーの持つカードの魔法円から光が飛び出ると二体のゾンビの頭部を破壊した。
ソンビの頭部は一瞬で粉々になり光になり残った首なしの身体はそのまま前のめりに倒れた。
リリーはカードを使わなければ初級魔法しか使えないけど、このカードは完全に過剰攻撃だ。
カードさえあればリリーは十分に探索者としてやっていけるのだ。
ただ収支が償わないので赤字になると言うのを除けば。
ちなみに私が焼いたゾンビは完全に焼失しているので素材は取れない。
「ごめん油断しちゃった、スティア身体は大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ、なんともないわ」
嘘を付いた。本当は火を使った瞬間あり得ないほどの激痛が私を襲った。
だけど、それを言えばリリーを心配させるだけだし顔に出さないようにつとめた。
「ホォスちゃん背骨よろしくね」
「うん分かった!」
ホォスはゾンビを転がすと仰向けにさせて腹を捌いて解体していく。
背骨が必要なら背中から切った方が早いと思うんだけど道具がナイフしかない以上徐々に解体しないと取れないのが分かった。
流石に人形の解体を見るのはキツいものがある。でもホォスも頑張ってるんだから私が目を離す訳にはいかない。
ほどなくして二体の背骨が手に入り私たちはダンジョンを脱出して宿屋に戻った。
ダンジョンを出る際に数度アンデッドと遭遇したけど全部リリーがカードで対処してくれた。
カードを使う度にリリーの表情が曇る。私はリリーに返せないほどの恩を受けているのだと悟った。
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