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14話

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 宿を追い出されるように出た私たちは回収屋ギルドに向かった。
 働かざる者食うべからず復讐するにも働かなきゃいけないとは……世知辛い世の中ね。

「ご主人様」
 ホォスが私の指をつかんでそう言うのが貴族時代を思い起こさせるので名前呼びをするように私は言う。

「……お姉ちゃん」

「ホォスがそれで良いなら良いけど」
 妹がいなかった私は姉と呼ばれるのが嬉しくて、いつの間にか口許が緩んでいた。

「うん、ボクそれが良い」

 回収屋ギルドへ向かう途中、ホォスが怯えてるようなのでどうしたのか聞くと「返却しない?」と涙目になって聞くる。
 あんな女がいるところに返却するつもりはないことを告げると元気なホォスに戻った。
 やはり道具扱いするギルドの生活は嫌なものなのだろう。

「いらっしゃいませ」
 受付の女性は昨日とは違う人で眼鏡をかけて三つ編みをしている女性だった。

「ランクCを雇いたいんだけど」
 私は自分のペンダントタグを見せ、Cランクの回収屋を頼んだ。

「あれ? あなたのランクですと赤字になる可能性がありますけどよろしいですか?」
 あの女と違いメガネの女性は少し間も抜けた受付をする。

「ええ、今日が初探索なので、出来るだけ良い回収屋が欲しいのよ」
 私がそう言うとホォスの方に目をやる。まあ獣人は回収屋しかいないので気になるわよね。

「あれ? そちらの子も回収屋ですよね?」

「ええ、まだランクがないの」

「ランクがない? あれ? その子もしかしてホォスですか? あれ?」
 昨日まで死にかけていたホォスが元気にしているので、メガネの女性はあからさまに驚いている。

「瘴気で身体が侵されて死ぬはずじゃ? あれ?」

「あれをこうしたらこうなって、奇跡が起こったのよ」
 私の適当な説明にメガネの女性は「はぁ~そうですか」と首をかしげながら適当な返事を返す。

 納得はしてないようだけど業務優先なのか、獣人の命などどうとも思っていないのか、話を切り上げ私の要求にみあう回収屋のリストを3枚提示した。

 二人は男でパス必然的に残った女性になった。
 Cランク回収屋で回収歴15年のベテランだ。
 逆に言えば15年かけてCランクなのだ。
 回収の腕はたかが知れている。

「他にはいないの?」

「ラナ、そいつの回収あたいが行ってやろうか?」
 奥から体格の良い獣人の女性が現れメガネの女性ラナの肩に手を回す。
 もっと獣人とは道具的な扱いをされてると思ったのだけどこの関係を見る限り対等の関係に見える。
 昨日の女が異例なのかな?

「あれ? ダメですよロルカさんはA級なんですから」

「そいつホォスだろ? ランク無し回収屋の権利を売ってそのままなんて、この支部が他の支部から馬鹿にされるぞ」
 話を聞いていると、どうやらランクを貰うまでは見習いとして上級のランクに弟子入りするのが普通なのだとか、そしてランクをもらったらはじめて一人立ちが出来るのだと言う。

「あれ? あれ? あれ? でも、でも」

「まあ、そういうことだからランクCの値段銀貨2枚でいいな?」

「う~わかりましたよ処理しておきます」
 ラナは押しきられて私から渋々銀貨を二枚受けとる。

「頼んだぜ、そういうわけだから、あたいがホォスの教育係をするロルカだよろしくな!」
 元気よくそう言うと私の肩をバシリと叩く。私はその一撃でよろけ叩かれた肩をさする。
 ちょっと野蛮そうだけどA級を銀貨2枚で雇えたのはラッキーだったわねと私は心の中でほくそ笑む。
 
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