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6話
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人々の行き交う道をリリーにつれられていくと、一軒の古着屋に連れてこられた。
「古着?」
「うん、どうせダンジョンじゃ汚れるしすぐ汚くなるからね新品はお金の無駄よ」
そう言うと一枚の古着を私に当てて寸法を見る。
既製品は身体のサイズを計らないんだねと聞くと、シャツは大きめに作ってあるので試着する必要はないのだと言う。
シャツを七点ほど選び店番に渡すと全部で銅貨7枚だった。
そのままリリーにつれられて行くと既製品を売っている店に着いた。
そこではショートパンツを三つ買わされた。さらに他の店でバッグやダンジョンで必要な物を買うと、その足で七剣教会へと向かった。
「ようこそ迷えるモグラ達よ今日はどういったご用で?」
神父様の言葉の意味がこの町に来てようやく分かった。ずっと疑問だったんです、なんでモグラなのかなって。
ダンジョンに潜るからモグラなんですね。
私が一人で納得しているとリリーがさっさと手続きをしていく。
「では、こちらへ」
入信持参金を持っていくと教会の七剣十字の前で神父は私を跪かさせる。
真言を唱えると七剣十字から光が私に注がれ体を包む。
「怖がることはありません、あなたに加護を与えて下さっているのです」
光が消えると七剣十字の前にペンダントが現れ文字が刻まれる。
そこには私の名前とランクが刻まれている。
私の偽名は看破されること無くスティアでランクはFランク。
そのペンダントを神父から渡され、私は探索者になった。
このペンダントは七剣教会でお金の出し入れや実績を記録する物で本人以外は使用できないのだと言う。
「あなたの働きに神のご加護があらんことを」
私たちは一礼をして教会の外に出た。
ちなみに素材買い取りは教会の後ろにある建物で行われる。
リリーはそこに私を連れて行くと受付や待合所を案内してくれた。
待合所ではあのモヒカンたちが居たので挨拶をすると、みっともない声を出して驚いていた。
「あんた達、食事の代金払ってないでしょ!」
リリーが無銭飲食をした三人の男に怒る。
「ああ、すまないお金あるとお思ったんだが、どこがですられたみたいなんだ。すまねぇ」
「まあ、いいけど。ツケておくからちゃんと一言いってよね」
「ああ、悪い……」
「あんたら、ちゃんとお金は払いなさいよね」
私がそう言うと「火で燃やさないでぇ!」と言ってブルブルと震えて奥に逃げて行った。
「スティア、火ってなに?」
「これのこと」
私が指から火を出すと、リリーはすごい形相で私を奥へと引っ張った。
「それを誰かに見せた?」
「この町に来てからだと、あのバカ三人とたぶんローブを着た男だけよ」
「あなたのことをアルツハイゼン王国の者が探してるわ」
リリーの口から出た言葉に私の頭は疑問符で埋め尽くされた。
バルトブルグ王国なら分からなくもない。だけど親戚縁者もいないアルツハイゼン王国がなぜ?
「古着?」
「うん、どうせダンジョンじゃ汚れるしすぐ汚くなるからね新品はお金の無駄よ」
そう言うと一枚の古着を私に当てて寸法を見る。
既製品は身体のサイズを計らないんだねと聞くと、シャツは大きめに作ってあるので試着する必要はないのだと言う。
シャツを七点ほど選び店番に渡すと全部で銅貨7枚だった。
そのままリリーにつれられて行くと既製品を売っている店に着いた。
そこではショートパンツを三つ買わされた。さらに他の店でバッグやダンジョンで必要な物を買うと、その足で七剣教会へと向かった。
「ようこそ迷えるモグラ達よ今日はどういったご用で?」
神父様の言葉の意味がこの町に来てようやく分かった。ずっと疑問だったんです、なんでモグラなのかなって。
ダンジョンに潜るからモグラなんですね。
私が一人で納得しているとリリーがさっさと手続きをしていく。
「では、こちらへ」
入信持参金を持っていくと教会の七剣十字の前で神父は私を跪かさせる。
真言を唱えると七剣十字から光が私に注がれ体を包む。
「怖がることはありません、あなたに加護を与えて下さっているのです」
光が消えると七剣十字の前にペンダントが現れ文字が刻まれる。
そこには私の名前とランクが刻まれている。
私の偽名は看破されること無くスティアでランクはFランク。
そのペンダントを神父から渡され、私は探索者になった。
このペンダントは七剣教会でお金の出し入れや実績を記録する物で本人以外は使用できないのだと言う。
「あなたの働きに神のご加護があらんことを」
私たちは一礼をして教会の外に出た。
ちなみに素材買い取りは教会の後ろにある建物で行われる。
リリーはそこに私を連れて行くと受付や待合所を案内してくれた。
待合所ではあのモヒカンたちが居たので挨拶をすると、みっともない声を出して驚いていた。
「あんた達、食事の代金払ってないでしょ!」
リリーが無銭飲食をした三人の男に怒る。
「ああ、すまないお金あるとお思ったんだが、どこがですられたみたいなんだ。すまねぇ」
「まあ、いいけど。ツケておくからちゃんと一言いってよね」
「ああ、悪い……」
「あんたら、ちゃんとお金は払いなさいよね」
私がそう言うと「火で燃やさないでぇ!」と言ってブルブルと震えて奥に逃げて行った。
「スティア、火ってなに?」
「これのこと」
私が指から火を出すと、リリーはすごい形相で私を奥へと引っ張った。
「それを誰かに見せた?」
「この町に来てからだと、あのバカ三人とたぶんローブを着た男だけよ」
「あなたのことをアルツハイゼン王国の者が探してるわ」
リリーの口から出た言葉に私の頭は疑問符で埋め尽くされた。
バルトブルグ王国なら分からなくもない。だけど親戚縁者もいないアルツハイゼン王国がなぜ?
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