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5話
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「これは?」
私は目の前に出された金貨の意味がわからなくて指を差して聞いた。
「入信持参金よ、使って」
先程リリーは借金があると言ったのに、なぜこんな大金を気前よく出せるのかと私は訝しんだ。
それを察したのかリリーはこれは給金をちょっとずつ貯めたお金なのだと私に説明する。
借金だけ返しても将来がないからねと笑って。
「それなら大事なお金でしょ?」
「良いんだよ、目標がある人に最初から娼婦をさせるわけにはいかないからね」
確かにお金は欲しい、だからと言って他人が身体を張ったお金を我が身可愛さに貰うことなどできようか。
「あなたが一生懸命貯めたお金をもらえないわよ」
私の言葉にリリーは首を横に振る。
この町にいる女性はみんな探索者を続けられなかった人たちで、散々悔しい思いをしてきた。
だから、もし続けられる人がいれば、それだけで自分達の生きていく希望になるのだと言う。
そんな希望を勝手に押し付けてごめんねとリリーは謝る。
「そう言うわけだからさ、このお金受け取ってよ」
希望か、私が誰かの希望になれるのかしら。復讐しか考えてない私が。
でも、希望があるから生きていける。私は復讐という名の希望が。それと同じに彼女たちにも希望は必要なのだ。
「……分かったわ。このお金、絶対に無駄にはしない」
もらったお金を袋にしまい食事をしていると、だんだんと客と店員が増えていく。
店長とおぼしきいかつい男がカウンターに入るとリリーに挨拶をしてから私を見る。
「おう、すげーベツピンさんだな。リリー泊まり客かい?」
眼帯を左目につけた男が私を見てにやりとする。まるで商品を品定めするような目だ。
「はい、それで嬢に誘ったんだけど断られちゃって。探索者になりたいんですって」
「探索者か、こんなべっぴんが無頼漢共の慰み物になるのは偲びねぇな。ああ、そうそう俺の名前はゴンザレスだ、この店を仕切ってる。よろしくな」
ゴンザレスは敬礼するようなチャラけた挨拶をして愛想を振り撒く。
「一人で潜るには実力が必要ですし。今日、仕事上がったら手続きとか色々手伝おうかと思ってるんですよ」
「おう、そうだな。詐欺師が多いからな。リリーが一緒に回れば大丈夫だろ」
「さすがにそこまで世話にはなれなわ」
「スティア、服とか買わなきゃいけないんだから一人じゃ店も分からないでしょ」
リリーが腰に手を当てて私に向かい怒るので素直に従うことにした。
「それじゃ店長、今日は上がりますね」
「おうご苦労さん、また明日な」
「それじゃあスティア、行きましょうか」
私服に着替えたリリーは私の腕を掴み店の外へと引きずり出した。
外はすでに日が暮れていたが、明かりに照らされた町はまるで昼のように眩しく人々の喧騒で賑わっていた。
私は目の前に出された金貨の意味がわからなくて指を差して聞いた。
「入信持参金よ、使って」
先程リリーは借金があると言ったのに、なぜこんな大金を気前よく出せるのかと私は訝しんだ。
それを察したのかリリーはこれは給金をちょっとずつ貯めたお金なのだと私に説明する。
借金だけ返しても将来がないからねと笑って。
「それなら大事なお金でしょ?」
「良いんだよ、目標がある人に最初から娼婦をさせるわけにはいかないからね」
確かにお金は欲しい、だからと言って他人が身体を張ったお金を我が身可愛さに貰うことなどできようか。
「あなたが一生懸命貯めたお金をもらえないわよ」
私の言葉にリリーは首を横に振る。
この町にいる女性はみんな探索者を続けられなかった人たちで、散々悔しい思いをしてきた。
だから、もし続けられる人がいれば、それだけで自分達の生きていく希望になるのだと言う。
そんな希望を勝手に押し付けてごめんねとリリーは謝る。
「そう言うわけだからさ、このお金受け取ってよ」
希望か、私が誰かの希望になれるのかしら。復讐しか考えてない私が。
でも、希望があるから生きていける。私は復讐という名の希望が。それと同じに彼女たちにも希望は必要なのだ。
「……分かったわ。このお金、絶対に無駄にはしない」
もらったお金を袋にしまい食事をしていると、だんだんと客と店員が増えていく。
店長とおぼしきいかつい男がカウンターに入るとリリーに挨拶をしてから私を見る。
「おう、すげーベツピンさんだな。リリー泊まり客かい?」
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「はい、それで嬢に誘ったんだけど断られちゃって。探索者になりたいんですって」
「探索者か、こんなべっぴんが無頼漢共の慰み物になるのは偲びねぇな。ああ、そうそう俺の名前はゴンザレスだ、この店を仕切ってる。よろしくな」
ゴンザレスは敬礼するようなチャラけた挨拶をして愛想を振り撒く。
「一人で潜るには実力が必要ですし。今日、仕事上がったら手続きとか色々手伝おうかと思ってるんですよ」
「おう、そうだな。詐欺師が多いからな。リリーが一緒に回れば大丈夫だろ」
「さすがにそこまで世話にはなれなわ」
「スティア、服とか買わなきゃいけないんだから一人じゃ店も分からないでしょ」
リリーが腰に手を当てて私に向かい怒るので素直に従うことにした。
「それじゃ店長、今日は上がりますね」
「おうご苦労さん、また明日な」
「それじゃあスティア、行きましょうか」
私服に着替えたリリーは私の腕を掴み店の外へと引きずり出した。
外はすでに日が暮れていたが、明かりに照らされた町はまるで昼のように眩しく人々の喧騒で賑わっていた。
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